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みされぽ 〜天から舞い降りた、夏休みの課題〜

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ミッション系市立中学から出された夏休みの宿題…それは、教会訪問。中一の美沙は親友と一緒に恐る恐る教会に足を運ぶと、そこから美沙に不思議な出来事が起こり始める。生きていることの意味… もっと読む
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みされぽ、佳作入選✨

みされぽ、佳作入選✨

みされぽを、応募していました。

第1回 聖書 × トークメーカー『ライトノベル新人賞』

結果は、佳作入選でした。

みさちゃん、おめでとうー‎・:*+.\((٩(* ´ ω`*)۶))/.:+*:・

「聖書に絡んだライトノベル」という、ニッチもニッチなニッチニッチレーベル創刊です。出版社はキリスト新聞社さんという、創業70年くらいのガチ老舗。…のわりには「なんでもオッケー」的な緩い企画。

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【小説】みされぽ 〜天から舞い降りた、夏休みの課題〜 あらすじ

フツーの中学生女子が【教会(≒異世界)】に足を踏み入れたら…?!

ミッション系中学校に通い始めたゆるふわ系女子、美沙。
学校から夏休みに出された課題…それは「教会訪問」。

親友と一緒に教会に足を運ぶと、
そこには少し不思議な空間が広がっていた。
すると、不可思議な出来事が美沙の人生に起こり始める…

【奇跡】って、本当にあるの?

【祈り】って、なに?

聖書に出てくる【神さま】って、どんな方

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みされぽ もくじ

はじめに

あらすじ

1章 ー 夏休み ー

2章 ー 初教会 ー

3章 ー 戸惑い ー

4章 ー 再訪問 ー

5章 ー 世代 ー

6章 ー 祈り ー

7章 ー ガード ー

8章 ー 性 ー

9章 ー みされぽ ー

10章 ー 奇跡 ー

11章 ー みされぽ 再 ー

12章 ー みされぽ提出 ー

あとがき

はじめに

この物語はフィクションです。実在する個人や団体などとは一切関係ありません。

文中に貼ってある外部リンクをクリックすると、物語のモデルとさせてもらった出来事や絵画、歌などをご覧になれます。作中のものとリンク先のものが完全に一致しない場合もありますが、作者がイメージした音楽や雰囲気をほんの少し感じてもらえたら、と思いリンクを貼りました。どうぞご了承ください。

なお、この小説は2017年6月末まで無

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1章 ー 夏休み ー

 キーンコーンカーンコーン……

「ふぅ……おわったぁ……。」

 ほっと息をついて天井を見上げる。肩まで伸びた栗毛色のストレートヘアをさらりと揺らし、梛 美沙(なぎ みさ)は小柄な身体で伸びをした。

「かだい……あぁーーーっ!もうっ!!!」

 目の前の席で長身な少女が声を上げた。丸みを帯びた横長のメガネを外し、まゆ根をぎゅっと寄せて、坂本千尋もしなやかな伸びをする。整った顔立ちに、腰まである

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2章 ー 初教会 ー

 美沙はリビングにある父のパソコンを開いて、

「……きょうかい、せんだいし、いずみく……っと。」

 たん、とエンターキーを押して検索をかけると、教会のホームページとおぼしき検索結果が並ぶ。町のマップに赤い点があちこちについた。
(……思ったよりもあちこちにあるんだなー……)
気になったものを次々に開いていく。

「仙台駅の方だともっとあるのかな?」
 そう思いマップをスクロールしていくと

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3章 ー 戸惑い ー

 美沙は家に帰って、タカに教えてもらったBBN聖書放送のウェブサイトから今日のメッセージを聞き直していた。

「……話、早いなあ……。メモ取るのたいへん……。」
 時々戻って聞き直しつつ、必死に理解しようとしていた。

「美沙、何聴いてるの?」
 母の美智子に後ろから声をかけられた。ヘッドホンを片耳だけ外して美沙が答える。

「今日行った教会の牧師さんのお話ー。」

「あら。どんなお話だったの?後

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4章 ー 再訪問 ー

 明くる日曜日。

「お母さん、行ってきまーす!」

「あら美沙、今日はどこに行くの?」

「えっとね、教会!」

「え?」
(きょうかい?何かの協会の集まりがあったかしら?)
 そう考えてから、「キリスト教会」の事だと気付く。

「……美沙、千尋ちゃんと一緒なの?」

「ううん、ひとり。」

「あらー……。」
 時折、意外なほどの行動力を発揮する我が娘に、母親としては喜ぶべきなのか、励ますべきな

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5章 ー 世代 ー

「ただいまー。」

「お帰りなさい、美沙。結構遅かったのね。どうだった、教会は?」

「うん、えっとね……。」

 美沙は母に約束したとおり、ひとつひとつ頭の中を整理しながら、母に話していった。美智子は時折「へえ」とか「まあ」とか相づちを打っていたが、次第に無言になっていった。

「……お母さん、わかった……?」

「……まあ……だいたい……?」
 そう言う美智子も、やや自信がなさそうだった。

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6章 ー 祈り ー

 週末のその日、美沙は意図的に時間を取って【空白】を作ることにした。理由は、牧師さんのメッセージの中で印象に残った言葉からだった。

「静まって、わたしが神であることを知れ。」

「静まり、なにかをすることを止めることで、神が語り、働かれる空間・スペースを作ることができるのです。」
 確か牧師さんはそんな風に言っていたように記憶している。

「祈りとは、耳を傾けることです。目に見えない神の語りかけ

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7章 ー ガード ー

「おーっす、美沙!」

「千尋ちゃーん。」

 地下鉄のホームで待ち合わせた二人は、蒸し暑い天気だったからか、やたら肌の露出の多い服装だった。千尋は明るいミントグリーンのノースリーブに編み目の粗い上着を羽織っていた。ホットパンツからすらりと伸びる長い足にふり返る男性もいた。美沙はふわりとした明るいオレンジ色のスカートにパステルイエローのキャミソール、胸に白いウサギのマークをあしらった柔らかいグレー

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8章 ー 性 ー

 その晩、美沙は眠れなかった。

 だんせい。

 男性。

 ダンセイ。

 ぐるぐるぐるぐる。

 10時半を回っていたが、美沙はがばと起き上がり、上着を羽織って1階へ降りていった。

「あら美沙、眠れないの?」
 母がリビングで帳面をつけていた。

「うん……。」

 すとん、と母の隣のとなりの椅子に座る美沙。視線はテーブルに落ちたままだ。母はちら、と美沙を見たが、すぐに帳面に目を戻した。話

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9章 ー みされぽ ー

 ミーンミーンミーン。

 ちりんちりん。

 ぅぅぅぅぅぅぅん…。

 夏休みの半分が過ぎた。扇風機が静かに回っている。

(……ああ、そう言えば、教会のレポート、まだ書けてなかったぁ……)

 昼下がり、自室のベッドに体を仰向けに放り出して、右手の甲をひたいに乗せた格好でぼんやりと思い出す。

 暑い。

 あづい。

 美沙の部屋にはクーラーがない。夏の間に熱帯夜が1週間あるかどうかの仙台で

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10章 ー 奇跡 ー

「レポート、書けたのか?」
 父の道房が夕食時に尋ねてきた。

「あ、うん。えっとね……なんだっけ……」
 箸先を口元に当ててやや上の方を見ながら考える美沙。

「あ、そうだ。いいニュース。福音って、いいニュースなんだって」

「ほう」

「何がいいニュースなのかってね……ええと……なんだっけ」
 レポートを取りに行こうとする美沙。

「ああ、いいよいいよ、食べ終わってからで。料理が冷めちゃう」

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