OHO KANAKO

写真が好きな人。 https://www.ohokanako.com/

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記事一覧

思い出せない

9月に入ってからか、8月からだったか、物忘れがひどくなって日常生活に支障をきたしている。 薬の副作用のせいかストレスのせいか若年性アルツハイマーか。忘れていること…

OHO KANAKO
2週間前
23

人を百回愛するということ。

母と電話で近況を話していたら、母がふと 「うちのブーゲンビリアの名前、かなこっていうの」と言った。 何年も前にわたしが母の日に贈ったものだ。 「なんでかなこって呼…

500
OHO KANAKO
3週間前
5

好きなことをやり遂げる

朝からクラシックを聴いている。 エリーゼのために、月の光、トルコ行進曲… 小さい頃、ピアノを習っていたせいかピアノの音がいちばん落ち着く。 毎週金曜日、庭にいる大…

OHO KANAKO
3週間前
27

選ぶことって必要なのかな

2階の窓から見える実家の庭。 竹藪に松に柿の木。コントラストの高い眩しい光とともに揺れている。 この景色を見ていると、気持ちが落ち着く。 自分にとっての原風景。 …

OHO KANAKO
3週間前
22

台風一過

ワイパーが雨をかき分けるあいだから、ずっと道ゆく人を見ていた。 何時間経っても動けなくて、別に彼が来なくてもいいけど、彼を探していた。 留守電に最後のメッセージを…

OHO KANAKO
4週間前
15

すごくすごく好きだった。

駅の改札の向こうであなたが微笑んでわたしが追い付いて出てくるのを待っている。 「髪の毛伸ばしてよ。ぜったい似合うから」 「どのくらい?」 「俺長い髪が好きだから…

300
OHO KANAKO
1か月前
7

秋が来る。

久しぶりに散歩しながら書いている。 夜勤明けの夕方散歩は気分が良い。 赤く染まった入道雲のまわりに動きの早い雨雲。 もう、秋が来る。 9月に三男の手術が決まり、一気…

OHO KANAKO
1か月前
17

富士山に登ったはなし②

前回の続きになります。 13年前に登ったときの下山の苦労から、 もう登るまいと思った富士山だったが 息子には「一生に一回は登ったほうがいいよ」と常日頃言っていた。 …

OHO KANAKO
1か月前
20

富士山に登ったはなし①

13年前、富士山に登った。 結婚二年目だったか、子どもはいなかった。 なぜ登るような流れになったのかは覚えてないが、その頃、元夫と色々なところに旅行に行っていたよ…

OHO KANAKO
1か月前
22

世界を敵にして、たった一人に愛されるか。 たった一人を失って、世界に愛されるか。

わたしには兄がいる。 わたしにとっては宇宙人のような存在で、話も噛み合わないし、何を考えているのかもよく分からない、小さい頃は大小問わず色々迷惑をかけられてきた…

OHO KANAKO
1か月前
16

わたしが立ち直れた理由

夕方、子どもたちと散歩に行く。 川沿いの砂利道をゆっくりゆっくり。 早く歩くと三男は怒り出すから。 途中で歩けなくなった三男をおんぶして歩く。 まだまだ軽い。30キロ…

OHO KANAKO
1か月前
19

強くなければならなかった

6月に開けたピアスの穴。 眠る時に枕にあたると痛くて、左向きにしか横になれなかった。 最近ようやく右に向いても痛みなく眠れるようになった。 市役所で教えてもらった…

OHO KANAKO
1か月前
25

not six

長島有里枝の4冊目の写真集。 タイトルは『not six』__意味はろくでなし_ 愛する男を撮った作品かと思いきや、彼女はこの写真集を刊行したあとに離婚している。

500
OHO KANAKO
1か月前
6

オレンジ色の夕焼け

後悔なくやってきたつもりでも、 もっとこうしたら良かった、もう少し頑張ってれば変わった?と、自責の念が浮かぶ。 でも去年、彼と出会ったときに戻りたいとは思わない。…

OHO KANAKO
1か月前
15

s.o.s

“いい気味だと思ってるでしょ?” 倒れて動けなくなったわたしにあなたがキスをする。ただ黙ってご飯を作ってくれた。 “今日が最後” そう言われた日から、 泣いて泣…

OHO KANAKO
1か月前
6

この一生だけでは辿り着けないとしても

中島みゆきの命のリレーという曲。 ここでのコメントで教えてもらった。 人の人生は一回だけ。一回を生きる、それが一生という。何回もやり直しが利くわけじゃないから、皆…

OHO KANAKO
2か月前
15
思い出せない

思い出せない

9月に入ってからか、8月からだったか、物忘れがひどくなって日常生活に支障をきたしている。

薬の副作用のせいかストレスのせいか若年性アルツハイマーか。忘れていることを忘れているし、間違ったことを記憶していて、予定管理ができない。
そのうち仕事にも支障が出てくるんじゃないかと思って怖い。

今月、病院の通院や学校行事のためにとった休みも、ぜんぶ日付を間違えていて、待ち合わせ場所に行っても誰も居なかっ

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人を百回愛するということ。

人を百回愛するということ。

母と電話で近況を話していたら、母がふと
「うちのブーゲンビリアの名前、かなこっていうの」と言った。
何年も前にわたしが母の日に贈ったものだ。

「なんでかなこって呼んでるかっていうとね、折れても枯れても、何度も何度も芽を出して、花を咲かせるのよ。それが、めげてもめげても立ち上がるあなたみたいで。気付いたらあなたの名前で呼ぶようになったの」

贈ったことも忘れているような南の花が、母の家で奮闘してい

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好きなことをやり遂げる

好きなことをやり遂げる

朝からクラシックを聴いている。
エリーゼのために、月の光、トルコ行進曲…
小さい頃、ピアノを習っていたせいかピアノの音がいちばん落ち着く。
毎週金曜日、庭にいる大型犬と遊ぶのを楽しみにしつつ声楽家の先生に教わっていた。
先生が変わってからは嫌になって辞めてしまって、今は全く弾けない。

好きなことをずっと続けることは難しい。

わたしは20歳の時に写真を始めたので、そろそろ写真をはじめて20年にな

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選ぶことって必要なのかな

選ぶことって必要なのかな

2階の窓から見える実家の庭。
竹藪に松に柿の木。コントラストの高い眩しい光とともに揺れている。
この景色を見ていると、気持ちが落ち着く。
自分にとっての原風景。

写真仲間から教えてもらった映画を観ていた。
summer of 85
写真仲間から勧めてもらったドラマを観ていた。
海のはじまり

どちらも別れのシーンがあり、涙を流しながら別れを告げる。涙を流して選ぶ別れ。
これは人が作った物語である

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台風一過

台風一過

ワイパーが雨をかき分けるあいだから、ずっと道ゆく人を見ていた。
何時間経っても動けなくて、別に彼が来なくてもいいけど、彼を探していた。
留守電に最後のメッセージを入れる。

「結婚おめでとう。彼女と仲良く、頑張ってね。さよなら。」

電話を切ったら、涙が止まらなくなった。

もう何も言えることはないし、
もう何も出来ることはない。

大学の単位認定試験が終わった。
二学期もおしまい。向精神薬を増や

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すごくすごく好きだった。

すごくすごく好きだった。

駅の改札の向こうであなたが微笑んでわたしが追い付いて出てくるのを待っている。

「髪の毛伸ばしてよ。ぜったい似合うから」

「どのくらい?」

「俺長い髪が好きだから、長ければ長いほど。」

「いいよ」

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秋が来る。

秋が来る。

久しぶりに散歩しながら書いている。
夜勤明けの夕方散歩は気分が良い。
赤く染まった入道雲のまわりに動きの早い雨雲。
もう、秋が来る。

9月に三男の手術が決まり、一気にもう自分のことなんてどうでもよくなった。
憑きものが落ちたように執着が消える。
苦しかった恋愛もおしまい。
明日も明後日もその次も、予定で埋まっているのだ。わたしに残された道は目標を立て、制作し、埋められなかった悲しみのピースを自分

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富士山に登ったはなし②

富士山に登ったはなし②

前回の続きになります。

13年前に登ったときの下山の苦労から、
もう登るまいと思った富士山だったが

息子には「一生に一回は登ったほうがいいよ」と常日頃言っていた。

そして、今の自分は、どうにも生きる希望のようなものが見当たらない。

息子にそんなようなことを呟いたら

「えっ 俺たちの存在は!?」と目を丸くして言われたので

「あなたたちの存在は巣です。ママは鳥。巣に鳥が帰ってくる。でもその

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富士山に登ったはなし①

富士山に登ったはなし①

13年前、富士山に登った。

結婚二年目だったか、子どもはいなかった。
なぜ登るような流れになったのかは覚えてないが、その頃、元夫と色々なところに旅行に行っていたように思う。

夫婦で富士山頂を目指した。
その頃のわたしはCanonの5D markⅡが相棒で撮ってはブログに載せるのを楽しみにしていた。写真が本当に生活の一部だった。

真夜中に家を出て、高速で登山口を目指す。今はどうなっているのか分

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世界を敵にして、たった一人に愛されるか。 たった一人を失って、世界に愛されるか。

世界を敵にして、たった一人に愛されるか。 たった一人を失って、世界に愛されるか。

わたしには兄がいる。
わたしにとっては宇宙人のような存在で、話も噛み合わないし、何を考えているのかもよく分からない、小さい頃は大小問わず色々迷惑をかけられてきた。

そんな兄が17歳のときだったか、片思いしていた女の子にフラれて部屋で一人、声も出さずに泣いていた。静かに目から落ちた涙が頬を伝っていく。
お嫁さんに離婚したいと打ち明けられた時もそう。夜中にしくしく泣きながら電話をかけてきて、あーだこ

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わたしが立ち直れた理由

わたしが立ち直れた理由

夕方、子どもたちと散歩に行く。
川沿いの砂利道をゆっくりゆっくり。
早く歩くと三男は怒り出すから。
途中で歩けなくなった三男をおんぶして歩く。
まだまだ軽い。30キロ台の長男もまだ背負える。そのうち彼らを持ち上げられない日が来るだろう。

途中で寄ったコンビニの軒先にツバメの巣があり、丸々太った子ツバメがこちらを見ている。

彼と出かけたとき、どこだったか忘れてしまったがSAの建物にツバメの巣がた

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強くなければならなかった

強くなければならなかった

6月に開けたピアスの穴。
眠る時に枕にあたると痛くて、左向きにしか横になれなかった。
最近ようやく右に向いても痛みなく眠れるようになった。

市役所で教えてもらった、ひとり親への月一回の食糧配布。お米とか賞味期限が近いレトルト食品やお菓子、企業が寄付をしてくれて成り立っている。正直とても有り難い。昨日、夏休みで暇を持て余している子どもたちを連れて行ってみた。

「三人も男の子がいて大変ね。お母さん

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not six

not six


長島有里枝の4冊目の写真集。
タイトルは『not six』__意味はろくでなし_
愛する男を撮った作品かと思いきや、彼女はこの写真集を刊行したあとに離婚している。

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オレンジ色の夕焼け

オレンジ色の夕焼け

後悔なくやってきたつもりでも、
もっとこうしたら良かった、もう少し頑張ってれば変わった?と、自責の念が浮かぶ。
でも去年、彼と出会ったときに戻りたいとは思わない。

島の間の落日が、あたりを染める。
オレンジ色の夕焼けを見ながら、大声で泣いた。泣く以外なかった。
「泣いてるママの顔オレンジ色だよ」

長男がわたしを笑わせようと色々してくれる。

そういえば、十数年前の結婚式の日、
花婿は式の間中ず

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s.o.s

s.o.s

“いい気味だと思ってるでしょ?”

倒れて動けなくなったわたしにあなたがキスをする。ただ黙ってご飯を作ってくれた。

“今日が最後”

そう言われた日から、
泣いて泣いて感情をぶつけた日から
何ヶ月経ったんだろう。

“あなたはそうは思わないかもしれないけど、自分はずっとあなたたちから離れないよ。一生側にいる。そう決めてるんだから”

何も言わないで話だけ聞いてくれる。
何も感じない。じゃあそれで

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この一生だけでは辿り着けないとしても

この一生だけでは辿り着けないとしても

中島みゆきの命のリレーという曲。
ここでのコメントで教えてもらった。
人の人生は一回だけ。一回を生きる、それが一生という。何回もやり直しが利くわけじゃないから、皆、失敗することのないように、やり残すことのないように、そして時として投げやりにひとつの生という線路の上を走っていく。
でも、人生は思ったより短いし、同時にふたつのことは選べないし、何かを達成するには儚い。

天の川が見える。
浜辺で大の字

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