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オレンジ色の夕焼け


後悔なくやってきたつもりでも、
もっとこうしたら良かった、もう少し頑張ってれば変わった?と、自責の念が浮かぶ。
でも去年、彼と出会ったときに戻りたいとは思わない。


島の間の落日が、あたりを染める。
オレンジ色の夕焼けを見ながら、大声で泣いた。泣く以外なかった。
「泣いてるママの顔オレンジ色だよ」

長男がわたしを笑わせようと色々してくれる。


そういえば、十数年前の結婚式の日、
花婿は式の間中ずっと泣いていた。わたしはずっと元夫の涙を拭いていた。
その日はとても天気が良い日で、オレンジ色の斜陽が参加者の顔に射してた。
お互いの離婚していた両親が、久しぶりに顔を合わせていた。

神父は
「仲良くね」と繰り返し言った。
両親が離婚しているカップルの離婚率は8〜9割だと知り合いに言われて、自分はそれでもぜったいに別れないとその頃は誓っていた。

元夫はわたしと結婚するから嬉しくて泣いていたわけでもないし、ただ自分の今までの人生の辛かったことを思い出して感極まっていたんだと思う。結婚すると他人が夫婦になり、家族になる。でも結局は血の繋がらない他人であるから、他人は他人として尊重しなければならない。

わたしたちの結婚生活は戻ってもうまくいっていた場所なんてなかったし、何も後悔するところはない。それでも愛していたから、どんなに理不尽なことが起きようともわたしは夫婦を継続した。


泣く必要なんてない。
どこにもない。
他人にわたしを傷付ける権利なんてない。
皆、無意識に自分を主張する段階で人を傷付けているだけだ。


“愛情はないです”


“多く傷つくことは、多く愛した証である。”
(瀬戸内寂聴『ひとりでも生きられる』)

わたしは一人の人間で、あなたたちはそれを侵害する。それならわたしも約束をすべて破ろうか?上手くいかなかったことなんか、どうしようもない。勝手にすればいい。あなたたちがあなたたちの権利を主張するなら、わたしにも人権があるのだから。

あなたにわたしの人生を拘束する権利なんてない。



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