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だってセンセイは成功者だよ?元々信用しちゃいけなかったんだよ。将来の夢はなんですかに対して職業を答えちゃうタイプの子供を待ち受ける未来。


ある漫画で「だってお母さんが言ったんじゃん!」っていうセリフが終盤の転換ポイントに使われていたんですけど、あそこ共感する人と、え?人のせいにするの?って思う人で二分されると思いました。

毒親へのカウンターが決まってスカっとするシーンととるか、今まで主人公の人生が上手くいかなかった理由の答え合わせととるか。

前者に見せかけて後者だとしたら作者はなかなか性格が悪いと思いますね。

そして多分、そうなんじゃないかなと思いました。

あのラストは希望に見せかけて、本当に残酷だと思います。
あの先、彼女を待ち受ける未来がどうなるか、読者の年齢だったらみんな知ってますもんね。

将来の夢はなんですか?
に対して簡単に職業を答えちゃうタイプの子供は大人に好かれるんですよ。

モデルケースがある一本道は教えるのも進むのも楽です。考えなくていい。トロッコを強く押すだけ。筋トレや個人競技と同じで。でも子供の頃の狭い観測範囲でさっさと道筋を決めてよかったんですかね?

うまくいかなければ本人の努力が足りなかっただけ。

あなたが悪い、でおしまい。

「もう大人でしょう?自分で考え、自分で行動なさい」

綺麗な言葉ですよね。
子供のまま大きくなってしまった人にとってその綺麗さはあまりにも鋭利な刃です。特に、大人の言う事をよく聞いてたイイ子とっては。

そこからの立ち直り方を教えられる先生はいません。だってセンセイは成功者だから。
努力したら努力した分だけ認められて、試験に合格して、公務員という安定を得た人です。

元々信用なんてしちゃいけなかったんですよ。

どうしましょう。

頑張った経験はたくさんあるのに、自分の頭で頑張って考えた事がない。でも人生はまだまだ続きます。

子供の頃の狭い観測範囲で勝手に未来を固定化して、それに向かって走るだけの人生を駆け抜けて、転んだ。
突然、手持ちの武器がすべて何の役にも立たない事に気づく。
支えになるのは貧しい自尊心だけ。だれも助けてくれない。
優秀だったのは子供の頃だけでした。実は周りはもう追い付いて、追い越してる。認めたくない。恐怖。

一を聞いて十を知る、と思い込んでる人が拾やXをやってしまうのはもう何度も何度も見てきました。
理解したつもりになってるのは本人だけで、結局周りが助けるか、23456…を体系的に学んできた人に簡単に負けます。
今まで見下していたやつらに敗北。優秀なはずの自分が。

まあ結果を見て周りが評価するならまだしも、これから学ばんとする者が自分で勝手に十を知っただなんて身の程知らずもいいところですけどね。
上りと下りで7と4の呼び方は変わる。世の中には変化が線形じゃない物事のほうが圧倒的に多い。パターンは予測するものではなく、経験して学ばなければいけないのに。

付け焼刃でダイジェストの本屋学問ではこれに気づけない。

子供のうちはそれでよかったんですけどね。

虚勢を張って過去の栄光を口に出してしまった時点であなたはもう優秀ではないんです。

みんながオリンピックの話してる中で、小学校のかけっこで一位になった話します?しませんよね。
15年も前の受験の栄光を語られても、では次の15年あなたはなにができるのか?のほうが大切だってわかりませんか。

社会経験が浅い人ってそこをわかってないんですよね。
心はいつまでも20歳。受験勉強や大学で頑張ったのは”ほんのこの前”だと思ってるんですよ。

幼いから。

周りはみんなそれを知ってて何も言わないんです。
なんなら褒めてくれるかも。

だって、可哀そうだから。

常に自分はカスであり周りの100倍やらないと追い付けないと思い込むべきなんですよ。
そして現実に自分の100倍優秀な人に挑んで、負けるべきなんです。そこに成長があるんですよ。

雑魚に勝って得られる程度の根拠の無い自信は慢心を生むだけなのに。

子供の頃に優秀だった人はその呪縛から逃れられません。

自分は今まで十分頑張ってきた。
悪いのは時代や環境のせいだ。
それが好転するのを待つ。
諦めなければいつか必ず結果がでる。
人生いつからでもやり直しがきく。
そういう綺麗ごとが大好きです。いま何歳なの?

だから、能力の足りない弱者扱いすると見くびるなとか馬鹿にするなと怒る。
じゃあ強者扱いして同じフィールドで結果を求めると相手が社会が制度に問題がという。

人のせいにするのに慣れてるんですよね。

これはセンセイや大人に見捨てられた敗北の経験、自分の力ではどうしようもなかった状況を正当化する為に、自らの心を守ろうと生み出された防御本能ですのでもう本人にはどうにもできません。

逃げることしかできないのです。

残念だけど、あんたが活躍できる世界なんてもうどこにもないよ。

嫌な上司をやっつけてぐぬぬドラマとか、ビシっと言ってやった系の嘘松。
権威を破壊して称賛を集めたいのは全部ティーンエイジャーの妄想ですよね。
子供向け戦隊ものやアニメ、現実でそれがおきるとでも?
そんなヒーローいなかったでしょ。今まで。一人でも見た事あります?

何も学んでない経験も信用もない人が活躍できる場所なんて残念ながらこの世にないんですよ。

あるとしたら広告塔としてだけ。類い稀な美しさとか若さとかコネクションとか集金力とか。

あなたにそれあります?

無いですよね、

あなたが進むべきだった輝かしい未来への切り替えポイントはもう15年も前に通りすぎていたんですよ。

主人公、あのあとどうなると思います?

あの年齢で、ツテも後ろ盾も継続力もなく、長いブランク、人のせいにする性格、肥大した自尊心、現実に基づかない理想像、東京へのコンプレックス、罪悪感。

離れていた数年間に、あまりにも多くのものを失って周回遅れ以下になっている事に気づいていない客観性のなさ。
自分で地獄に飛び込んでやるというカッコいい言葉。

同じ末路をたどった人は何十万人も何百万人もいたでしょう。

世の中は成功者の話であふれていますが、敗者の話は表に出ません。

死人に口はありませんから。

想像する幸せの形があまりにも幼稚かつ実現不可能なものなのでいつまでたっても追い続けて叶えられない人のお話、だと思いました。

続きが無いのは残酷すぎて描けないからです。

おしまい。


※いじめやハブられ、親や先生から白眼視されるリスクをものともせずに自分の好奇心や学びを追求してきた人にとってはそれを恐れて画一化されたフラットなどんぐりになりたいと願った「普通の人」というのは戦いもせずに尻尾を巻いた負け犬であり、ましてやそのどんぐりの生産者たる学校、先生などというものは邪悪そのものなので尊敬などしません。憎しみの対象です。

だから好かれようともしませんし、そこからの卒業は最初の勝利体験です。

逃げ切りとはいえ、自らつかみ取った勝利は、生涯に渡って彼らを守る武器になります。


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