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Ching-O)))の映画雑記

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ミシガン州川口市在住。あなたの隣人の親愛なるキチガイ、Ching-Oの人生を弄んできた色々な映画についての雑記をここに一堂に集めました。人の頭の中を覗く悪い趣味があるあなたのため…
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#映画レビュー

【映画雑記】映画「暴力脱獄」という福音。ルークという救世主。

【映画雑記】映画「暴力脱獄」という福音。ルークという救世主。

 久しぶりに「暴力脱獄」を観た。

 ポール・ニューマン主演の1967年のアメリカ映画。彼が演じるのはとある刑務所に器物損壊でぶち込まれた男。その名はルーク・ジャクソン。自分にとって、映画の中でこれ以上にカッコいい人はいないと断言する。

 ルークはとにかく挫けない。そして、刑務所の中で自分の境遇を惨めに感じている連中に福音をもたらす救世主として描かれていて、劇中には十字架やキリストを彷彿とさせる

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【映画雑記】「フォーリング・ダウン」を観て慄く中年。

【映画雑記】「フォーリング・ダウン」を観て慄く中年。

「フォーリング・ダウン」を観た。

 真面目に生きてきた筈が悲惨な境遇に打ちのめされ、怒りが沸点を越えてしまった男と、人生の折り返し地点も過ぎて諦めの中でなんとか踏みとどまっている男の人生がぶつかった一日の話。

 前者(劇中では名前はなく仮称:Dフェンス)ははっきりと台詞で説明はされないが、離婚し、おそらくDVか何かで分かれた妻と娘に近づくことを禁じられている。おまけに失業者で不良債務者だ。彼の

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【映画雑記】「ヒルコ/妖怪ハンター」/私は14歳の夏を思い出した。

【映画雑記】「ヒルコ/妖怪ハンター」/私は14歳の夏を思い出した。

 塚本晋也監督による1991年の映画「ヒルコ/妖怪ハンター」を鑑賞。初見は中学生の時で、最後に観たのも相当前だと記憶する。

 原作は諸星大二郎の漫画「妖怪ハンター」シリーズ。他に映画化されたものでは2005年公開の「奇談」があります。

異端の考古学者、稗田礼二郎が様々な怪異と遭遇するスキモノにはたまらない傑作です。その原作では喪服のような黒服に長髪、物怖じしない姿勢など、手塚治虫のブラックジャ

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鳴りやまぬ警鐘/「メトロポリス」フリッツ・ラング&ジョルジオ・モロダー

鳴りやまぬ警鐘/「メトロポリス」フリッツ・ラング&ジョルジオ・モロダー

「メトロポリス」はご存知で? 
(戸田奈津子構文)

 1927年公開、近未来の超巨大都市を舞台に労働者と資本家の軋轢と、それによって起こる暴動を描いたSF作品であります。

 さらっと言いましたが、スケールの大きな階級闘争を真っ向から描いていて娯楽映画としては実に深刻なものだったりします。監督はドイツ映画の父、フリッツ・ラング。1927年といえば海外ではビートルズのメンバーは誰も生まれておらず、

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【映画雑記】「GODZILLA/ゴジラ」(1998)/作った本人が黒歴史認定、でも面白いよ。

【映画雑記】「GODZILLA/ゴジラ」(1998)/作った本人が黒歴史認定、でも面白いよ。

 20年ぶりくらいにローランド・エメリッヒ監督の「GODZILLA/ゴジラ」を観た。製作と脚本はディーン・デヴリン。90年代に青春を送った人間には好き嫌い問わず記憶される「インデペンデンス・デイ」のコンビです。

 当時は大きな両生類(字幕:戸田奈津子)で無性生殖をして、マグロ食って、ビル街を走り回るゴジラのキャラ変に違和感バリバリだったけど、庵野秀明が考案した段階を経た形態で成長する「シン・ゴジ

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【映画雑記】「ヒッチャー」/There's a killer on the road…

【映画雑記】「ヒッチャー」/There's a killer on the road…

 1986年公開のサスペンススリラー映画、「ヒッチャー」を久しぶりに観ました。

 映画が好きになった80年代の終わりから90年代にかけてテレビの洋画劇場で何度かみたことがありましたが、あまり詳細は記憶にありませんでした。

 ストーリーは至って単純。眠気覚ましの話し相手にひろったヒッチハイカーがとんでもない異常者で、主人公は執拗に命を狙われるハメになるというもの。主人公を翻弄し続ける頭のキレる殺

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【映画雑記】「アングスト/不安」。体調を整えてから観ましょうね。

【映画雑記】「アングスト/不安」。体調を整えてから観ましょうね。

 ぼんやりと日常を過ごしている俺を、なかなかに鬱々としたダウナーの渦に沈めてくれる素敵な映画を観た。

「アングスト/不安」

1983年公開のオーストリア映画。

 実在の殺人鬼、ヴェルナー・クニーシェックが仮釈中に起こしたアルトレイター一家惨殺事件をベースにしたサスペンス/ホラー。殺人鬼の内面に肉迫するとても危うい映画。

 全編、どうやって撮ったんだろう?という目をみはるカメラワークが続出。

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【映画雑記】「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を怒りをこめて振り返れ。

【映画雑記】「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を怒りをこめて振り返れ。

 「映画秘宝」でもかなり尖った記事を書くお二人、高橋ヨシキさんとてらさわホークさんの対談本の中に、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」がいま必要以上に評価されすぎている気がするという話題があって、物凄くわかる!わかりすぎる!と思いながら読んだ。この夏も金曜ロードショーで3作連続放送されて、Twitter界隈でも大いに盛り上がってましたね。日本ではおそらく映画評論家の町山智浩氏が初めて指摘したと思うけ

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【映画雑記】「プーと大人になった僕」/金のかかった公式二次創作。

【映画雑記】「プーと大人になった僕」/金のかかった公式二次創作。

 「プーと大人になった僕」鑑賞。

 自称「日々疲れがちな大人たちを癒してくれる素敵なストーリー」と言わんばかりの鼻息も荒い物語設定。内容はタイトルそのままで説明の必要は全くない。大人になってしまったクリストファー・ロビンと再会したプー。ストーリー展開はビタ1mmも予想から外れないザ・二次創作。「ディズニーが公式に作ってやりましたぜ」というドヤ感もムンムンに漂うものの、主演ユアン・マクレガーと自然

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【映画雑記】観音様とシンボルちゃん。1970年代アメリカンハードコアポルノ。

【映画雑記】観音様とシンボルちゃん。1970年代アメリカンハードコアポルノ。

 ここ数日、ダラダラと1970年代のアメリカの初期ハードコアポルノを海外のアダルト動画サイトで色々と眺めていた。みんなが大好きなPornhubやXvideosの検索窓にvintage pornと入れると、1970〜80年代に制作されたハードコアポルノがヒットするのだ。
 
 いわゆる洋ピンって女優も男優もやたらと「ア〜ッ!イェ〜ッ!カモーンッ!カモーン、ンーッフ!ンーッフ!」ってとにかくうるさい印

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【映画雑記】このたび「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を好きになった人たちへ。

【映画雑記】このたび「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を好きになった人たちへ。

 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(もうめんどくさいからFury Road略してFR)地上波放送により、にわかに新しいファンがたくさん出来たであろうタイミングで2015年の公開当時に書いた感想を引っ張り出してみる。5年前、その異様なまでに高いテンションに圧倒された観客たちのために、絶叫上映なんてイベントまで開催されてまぁとにかく盛り上がった印象のあるFR。しかし、当時、その内容を深く考察する

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【映画雑記】「マッドマックス 怒りのデス・ロード」地上波放送、頑張ったね、でもがっかりしたね、という話。

【映画雑記】「マッドマックス 怒りのデス・ロード」地上波放送、頑張ったね、でもがっかりしたね、という話。

 一度の放送延期を経て、遂に放送されました。「マッドマックス 怒りのデス・ロード」。ここ数日、フジテレビでは番宣が繰り返し流れ「地上波編集版」という、それっぽく聞こえる言葉を強調していた。これについては全く文句はない。そもそも公開時は「R15」指定だったわけだし。俺はどの辺がカットされるのかをなんとなく気にしながら観ていた。ただ、冒頭のトカゲかじるとこで既にカットだったので、もうその先は期待しませ

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【映画雑記】1本のレギュラーより1回の伝説(©江頭2:50)「キング・オブ・コメディ」。

【映画雑記】1本のレギュラーより1回の伝説(©江頭2:50)「キング・オブ・コメディ」。

 「キング・オブ・コメディ」は去年「ジョーカー」の元ネタとしてそこらじゅうでタイトルを聞いたのがきっかけで観た。
 
 俺としたことが、大好きなマーティン・スコセッシ監督&ロバート・デ・ニーロ主演の「タクシードライバー」コンビにも関わらず、観ていなかった…。そして、なんで今まで観ていなかったんだと悔やまれるくらい(観られたからいいんですけど)ものすごく面白かった…。

 テレビのトークショーの人気

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【映画雑記】岸田森の「エクソシスト 地上波吹替版」は本当にカッコいいぜ。

【映画雑記】岸田森の「エクソシスト 地上波吹替版」は本当にカッコいいぜ。

 岸田森は最高だ。カッコいい。
2018年夏、その岸田森が声優を努めた「エクソシスト 日本語吹替日本初放映版」をムービープラスで観ることができました。

 「エクソシスト」は今まで字幕でしか見ていなかった。吹替で見る必要を感じなかったからだけど、さすがに岸田森が悩める神父を演じる「エクソシスト」があるならそりゃ見るしかない。だって、岸田森だもの。

 「エクソシスト」はホラー嫌いにも有名で、オカル

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