記事一覧

憎い箏弾き

お琴をはじめた。 ぽやんと光るここが、私の席。 入門してすぐでも、 ここの席は瑞々しく、華々しく、健やかな音が鳴らせるものだから、 一回り二回り上の人たちが、座り…

詩集
2日前
1

死の注射

とある白い診察室で、 私は死の注射を受けた。 受けた瞬間、同席して、傍観するだけの我が弟を憎んだ。 ああ、もう私は死ぬのだ。 腕から指先の方にかけて、どんどんと青…

詩集
2日前

強い子についていく

どう考えても 意地悪で攻撃的なあなたが わたしを惹きつけたのは 気 が強かったから なんだね 情報でも 芸術でも ポジティブなものでも ネガティブなものでも 気の…

詩集
7日前

信号無視

明らかに車どおりが少ないと  ーほらほら、渡っちまえ  ーいやいや、待てないほど余裕の無い人間になりたくない と葛藤する そんな中、横からするりと渡る人がいるとむ…

詩集
11日前

機嫌叱責

「自分の機嫌は自分で取ろう」って言われると なんだか 怒られているみたい 「自分の気を整えよう」って言えばいいのに それなら 言うこと聞いてあげる

詩集
11日前

母の息

わたしは 母の笑った時の息が 顔に吹きかかることが たいへん 不快なのだけれど とある虫にとってみれば 森を駆け抜けてきた 清 わたしが嫌っていても 一定数には …

詩集
11日前

寒椿

寒椿 雪で桃に染まりけり 空の青が高くなる

詩集
11日前
1

呼んで

きっとさえじゃない どうして私はさえなんだろう あなたに呼ばれるに  ふさわしい名前があったはず

詩集
11日前

世界の始まりは

もし世界は はじめ1つで、 分離することで 生まれたのなら、 その2つは心の底から お互いを嫌っていただろう。

詩集
11日前

法事

生に生きている四十九日。 通りを隔てて あっちの席は 死に生きざるを得ないだろう。 強まる生命感と 家族愛。

詩集
11日前

朝 目が覚めると うっとうしかった 眠たくなった時に 不機嫌になりそうなことに 不機嫌になった

詩集
11日前

通学電車

少し汗くさくなった座席 あの塀の蔦は 少し茂ったかな 朝は学生でいっぱいになる この車両から やっぱりいろんな学校が見えて 過去のわたしたちも 見えてくる 出発の…

詩集
11日前

結婚祝い

行く先がすっかり変わるくらい、 私たちは大人になりましたね。 一緒に行こう のあの頃、 お互いの行く先が幸せであることを願いあえる 今。 確かな時のうつろいと嬉し…

詩集
11日前

カメレオン

わたしは虹色に変わってしまう。 怒ったときは赤くなり、楽しいとかは黄色になり、 落ち着いてると青色で、暗くなるとどす黒くなる。 あなたはずっと同じ色で、穏やかで…

詩集
11日前

プリンセス

シンデレラ 白雪姫 ベル エルサ 小さいころから 身近にいた きれいな プリンセス 今日、道を歩いていたら ぶうううんという音を立てながら 顔の長い アメリカの車…

詩集
12日前

じぶんの家を広げてみれば あそこも ここも 全部わたしの家ならば きっと世界も くつろげる あのショッピングセンターの きらきらしたバックも 家の中で 移動してい…

詩集
12日前

憎い箏弾き

お琴をはじめた。
ぽやんと光るここが、私の席。

入門してすぐでも、
ここの席は瑞々しく、華々しく、健やかな音が鳴らせるものだから、

一回り二回り上の人たちが、座りたそうにしているのをよく知っている。

本当はあっちもこっちも、
光る席が空いているってことは、
秘密にしている。

死の注射

とある白い診察室で、
私は死の注射を受けた。

受けた瞬間、同席して、傍観するだけの我が弟を憎んだ。

ああ、もう私は死ぬのだ。
腕から指先の方にかけて、どんどんと青白く、冷たくなっていくー

と思いきや、腕が壊死することはなく、
ぶっ倒れることもなく。
私たちは診察室を後にした。

歩いても歩いても、腕の色は小麦色。

まるで人生を生きるのと変わらないことに気づいて、仕方ないから「二度目は無いぞ

もっとみる

強い子についていく

どう考えても 意地悪で攻撃的なあなたが わたしを惹きつけたのは
気 が強かったから なんだね

情報でも 芸術でも
ポジティブなものでも ネガティブなものでも
気の強いものって 大人気

わたしも 今では
「~しなさい」なんて 言えるように なったから
みんなに大人気

信号無視

明らかに車どおりが少ないと
 ーほらほら、渡っちまえ
 ーいやいや、待てないほど余裕の無い人間になりたくない
と葛藤する

そんな中、横からするりと渡る人がいるとむかついて
 ーこの人はきっと日常的にこうなのだ
 ー自身の気付かざる内に他人のペースを犯す危険分子だ
と毒づく

でもこれはその人に対してだけじゃなくて
自分に対しても言えることだから

できるだけ自分が不審がらないように
私は律儀に信

もっとみる

機嫌叱責

「自分の機嫌は自分で取ろう」って言われると
なんだか 怒られているみたい

「自分の気を整えよう」って言えばいいのに

それなら 言うこと聞いてあげる

母の息

わたしは 母の笑った時の息が 顔に吹きかかることが
たいへん 不快なのだけれど

とある虫にとってみれば
森を駆け抜けてきた 清

わたしが嫌っていても
一定数には どうしても快い

だから やむを得ない

寒椿

寒椿

雪で桃に染まりけり

空の青が高くなる

呼んで

きっとさえじゃない

どうして私はさえなんだろう

あなたに呼ばれるに 
ふさわしい名前があったはず

世界の始まりは

もし世界は はじめ1つで、
分離することで 生まれたのなら、

その2つは心の底から お互いを嫌っていただろう。

法事

生に生きている四十九日。

通りを隔てて あっちの席は
死に生きざるを得ないだろう。

強まる生命感と 家族愛。

朝 目が覚めると
うっとうしかった

眠たくなった時に 不機嫌になりそうなことに 不機嫌になった

通学電車

少し汗くさくなった座席
あの塀の蔦は 少し茂ったかな

朝は学生でいっぱいになる この車両から
やっぱりいろんな学校が見えて
過去のわたしたちも 見えてくる

出発の合図は電子音に変わったんだ
でもアナウンスの英語は同じだ

私はいつも4両目
窓越しにあの子と手を合わせてお別れしたここは
改札から一番遠い場所だったんだね

またあの子と散歩しようかしら
変わらない看板
看板って10年保つのね

結婚祝い

行く先がすっかり変わるくらい、
私たちは大人になりましたね。

一緒に行こう のあの頃、
お互いの行く先が幸せであることを願いあえる 今。

確かな時のうつろいと嬉しさに、胸がむっといっぱいになります。

カメレオン

わたしは虹色に変わってしまう。

怒ったときは赤くなり、楽しいとかは黄色になり、
落ち着いてると青色で、暗くなるとどす黒くなる。

あなたはずっと同じ色で、穏やかで柔らかくて、優しい存在。
あなたはわたしの何重にもなる変化を楽しく眺めている。

わたしはあなたのようになりたかった。

だって時々、
わたしはあまりにも暗い色になったり、激しい色になることがある。
そんなときあなたは、カービィみたいに

もっとみる

プリンセス

シンデレラ 白雪姫 ベル エルサ

小さいころから 身近にいた
きれいな プリンセス

今日、道を歩いていたら
ぶうううんという音を立てながら
顔の長い アメリカの車が走っていった

わぁぁ
と口から出て
ふと ミニオンがいい と思った

ミニオンだったら
こっそり みんなと違う意見を持っていたって
誰も困らない

流行りを作る人たちのこととか
それを信じてしまう人たちのこととか

ミニオンだった

もっとみる

じぶんの家を広げてみれば
あそこも ここも 全部わたしの家ならば
きっと世界も くつろげる

あのショッピングセンターの きらきらしたバックも
家の中で 移動しているだけであって
全部 わたしのもの だったりするのだ

わたしは優しいから
家族がそれを使うのを 許していたりするけど
やっぱり ちょっと 使いたかったな