死の注射

とある白い診察室で、
私は死の注射を受けた。

受けた瞬間、同席して、傍観するだけの我が弟を憎んだ。

ああ、もう私は死ぬのだ。
腕から指先の方にかけて、どんどんと青白く、冷たくなっていくー

と思いきや、腕が壊死することはなく、
ぶっ倒れることもなく。
私たちは診察室を後にした。

歩いても歩いても、腕の色は小麦色。

まるで人生を生きるのと変わらないことに気づいて、仕方ないから「二度目は無いぞ」と釘を刺して、弟を許すことにした。

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