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全話無料! オリジナル小説。テル・イフと読みます。高校生のときのことを思い返して書きました。こんなに書くつもりは無かった……!
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tel(l) if ... extra 3 / 風邪引いた(後編)

tel(l) if ... extra 3 / 風邪引いた(後編)

前編はこちら

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 卓実の部屋にいる。今日は疲れたから帰って眠りたいと言ったら、俺の家で寝ていいよと返され、押し切られる形でここに来た。
たしかに、卓実の家は学校から近い。普段から友人がよく遊びに来ていて、家族も気にしていないようである。
でも、いざ、彼の部屋に通されてベッドで横になると、緊張して心が休まらなかった。

 卓実の家は三階建てで、一階がガレージになっていた。上がったら、卓実のお母

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tel(l) if... vol.1 廃ホテルと人気者

tel(l) if... vol.1 廃ホテルと人気者

 高校からそう遠くない場所になぜだか一つラブホテルがあった。私が通う頃にはすでに、廃業して久しいようだった。
「if…」という名前だ。
初見では「tel if…」が名前なのかと思った。
ただそれだと微妙に英語がおかしい気がしてよく見ると、塗装の剥げた「Ho」があり、これはホテルの「tel」なんだと気づいた。

 どうしてそんなことを思い出したのか。
そこで私は彼に初めて話しかけられた。

 彼に話

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tel(l) if... vol.2 毎週火曜日は放課後に

tel(l) if... vol.2 毎週火曜日は放課後に

 高校二年生の秋から、私は伊勢先生に勉強を見てもらっている。

 伊勢先生は社会科の先生だ。
でも、授業につまずいたら、とりあえず伊勢先生に聞くようになっていた。

 私はどちらかと言えば文系の人間だ。
だから元から理数系の科目が苦手だった。
スポーツもできない。
ともだちも少ない。
なぜかクラスメートからは勉強が好きだと思われているふしがあるが、そんなことは全然ない。
クラスメートは教室で授業を

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tel(l) if... vol.3 呼び捨てにして

tel(l) if... vol.3 呼び捨てにして

登場人物

千葉 咲恵
 主人公。進学コースの女子生徒。伊勢のことが好き。

伊勢
 特進コースの社会科教師。咲恵の勉強を見ている。

麹谷 卓実
 特進コースの男子生徒。咲恵から勉強に誘われる。

 巻き戻した時間を、廃ホテル前で卓実に初めて話しかけられたところまで進めよう。

 彼には三つのことを話した。
だいたい毎週火曜日の放課後、社会科準備室で勉強を見てもらっていること。
おかげで成績が向

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tel(l) if... vol.4 三人

tel(l) if... vol.4 三人

登場人物

千葉 咲恵
 主人公。進学コースの女子生徒。伊勢のことが好き。

伊勢
 特進コースの社会科教師。咲恵の勉強を見ている。

麹谷 卓実
 特進コースの男子生徒。咲恵から勉強に誘われる。

 放課後、社会科準備室に行くと、既に卓実がいて先生の隣に座っていた。その反対側、いつも私が座っている椅子は空けてあった。

 塾のように、問題集を出して、わからないところや勉強の方法を聞く。授業で習っ

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tel(l) if... vol.5 小さな変化

tel(l) if... vol.5 小さな変化

登場人物

千葉 咲恵
 主人公。進学コースの女子生徒。伊勢のことが好き。

伊勢
 特進コースの社会科教師。咲恵と卓実の勉強を見ている。

麹谷 卓実
 特進コースの男子生徒。

 体育のあとの着替えの時間、クラスメートに話しかけられた。

「サッキー、もしかして、眉毛整えた?」
 思わず、脱ぎかけていたTシャツをまた着ると、「ごめんね、変なタイミングで話しかけて」と彼女は笑った。
「うん。整え

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tel(l) if... vol.6 前期中間試験

tel(l) if... vol.6 前期中間試験

登場人物

千葉 咲恵
 主人公。進学コースの女子生徒。伊勢のことが好き。

伊勢
 特進コースの社会科教師。咲恵と卓実の勉強を見ている。

麹谷 卓実
 特進コースの男子生徒。

 試験準備期間に入れば、伊勢先生に会うことはできない。だから、卓実と私を結ぶ、唯一の共通点も、この時期だけは消滅する。 
だから、クラスメートの歓迎モードも緩やかに通常モードに戻っていくと予想された。

 卓実から「試

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tel(l) if... vol.7 怒られた

tel(l) if... vol.7 怒られた

登場人物

千葉 咲恵
 主人公。進学コースの女子生徒。伊勢のことが好き。

伊勢
 特進コースの社会科教師。咲恵と卓実の勉強を見ている。

麹谷 卓実
 特進コースの男子生徒。

 学校祭の準備期間になった。
私にとっては、当日よりもこの期間のほうが慌ただしく、悩みのタネだった。
放課後は、ほとんどの生徒が作業のために残っている。
人目も気になったし、みんなが作業をしているときに、私一人勉強を見

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tel(l) if... vol.8 マグカップ

tel(l) if... vol.8 マグカップ

登場人物

千葉 咲恵
 主人公。進学コースの女子生徒。伊勢のことが好き。

伊勢
 特進コースの社会科教師。咲恵と卓実の勉強を見ている。

麹谷 卓実
 特進コースの男子生徒。

「伊勢先生」
 思わず名前を口にした。本物だ。久しぶりすぎて、現実感がなかった。

「ぼくに用があったんじゃないの?」
「え?」
「社会科準備室の前で見かけたから、どうしたのかなって」

「あ、えっと……」
 上手く言

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tel(l) if... vol.9 メール三通

tel(l) if... vol.9 メール三通

登場人物

千葉 咲恵
 主人公。進学コースの女子生徒。伊勢のことが好き。

伊勢
 特進コースの社会科教師。咲恵と卓実の勉強を見ている。

麹谷 卓実
 特進コースの男子生徒。

 私の携帯電話に、伊勢先生の連絡先が登録されている。これはあくまで今日、確認を取るための連絡先だ。
学校の最寄り駅に到着したとき、
母と合流したときの二回の連絡を済ませば、無用の長物になる。

 伊勢先生が私の連絡を待

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tel(l) if... vol.10 小樽へ

tel(l) if... vol.10 小樽へ

登場人物

千葉 咲恵
 主人公。進学コースの女子生徒。伊勢のことが好き。

伊勢
 特進コースの社会科教師。咲恵と卓実の勉強を見ている。

麹谷 卓実
 特進コースの男子生徒。

 私が見聞きしたことしか書けないと言うと、卓実は「どこかに行って取材したら?」と提案した。

「当てはあるの? 行きたい店とかさ」
 私は少し考えて、「小樽で海が見たいかな」と答えた。
「じゃあ、小樽。決まり! 10時

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tel(l) if... vol.11 朝里行きのスロウ・デート

tel(l) if... vol.11 朝里行きのスロウ・デート

登場人物

千葉 咲恵
 主人公。進学コースの女子生徒。伊勢のことが好き。

伊勢
 特進コースの社会科教師。咲恵と卓実の勉強を見ている。

麹谷 卓実
 特進コースの男子生徒。

 私たちはあと少しだけ、小樽で時間を潰さなくてはならなかった。
有名なガラスとオルゴールのお店を見て、市場に行った。もう一生、小樽には来ないのでは、というくらい観光した気がする。

 運動不足から来る疲労のせいで、私の

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tel(l) if... vol.12 飽きられた

tel(l) if... vol.12 飽きられた

登場人物

千葉 咲恵
 主人公。進学コースの女子生徒。伊勢のことが好き。

伊勢
 特進コースの社会科教師。咲恵と卓実の勉強を見ている。

麹谷 卓実
 特進コースの男子生徒。

 前夜祭が明日に迫っていた。
初日こそ怒られはしたが、大きなトラブルも無く、クラスメートと作業を終えられたことに安心した。
私がボーっとしていることが早めにバレたおかげか、同じ係の女子が気にかけてくれた。
伊勢先生には

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tel(l) if... vol.13 こんな歌は似合わない

tel(l) if... vol.13 こんな歌は似合わない

登場人物

千葉 咲恵
 主人公。進学コースの女子生徒。伊勢のことが好き。

伊勢
 特進コースの社会科教師。咲恵と卓実の勉強を見ている。

麹谷 卓実
 特進コースの男子生徒。

 後夜祭の前に、卓実からメッセージが来た。

 嫌な予感がした。卓実から連絡が来たことにはホッとしている。でも、それよりも、動揺のほうが大きかった。

 私のことはどうぞお構いなく。このまま何も言わないでください。私は

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