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バレルと夜の埠頭

埠頭の灯台のひかりの回転の下、波の黒がゆれている。外国への航路をたどる貨物船が夜の水平線に沈んで行く。

ブルーノートのバレルの演奏を耳に描く。冷えたプーアル茶の闇色を一口、おにぎりを一つ。夜中の遠足のような風情に、複雑で優しいバレルの音色。

音色は七色より多く、けれども極彩色でもなく、そのとき、闇のなかから巨大な舳先が突き出した。

雲から漏れ出したあかりに、姿を現したのは巨大な客船だった。

月色のなか、流れるバレルの音色の円環がとじられていく。まだ帰宅をかんがえたくない。プーアル茶の闇色をふたたび一口飲む。とじられた円環をこじあけようとする。


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