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心象空間 エッセイ・小説

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エッセイは日常の出来事に触れ感じたことを心のままに、書き連ねています。 小説は頭の中のモヤモヤを言葉にする作業です。
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#イラストエッセイ

私たちは愛されていることを忘れている

私たちは愛されていることを忘れている

娘が通う幼稚園から送られてくる定期通信に、目を通すようにしている。

娘はプロテスタント系キリスト教会私立幼稚園に通っているのだが、長男の頃から数えて幼稚園通いは今年で10年目。

兄妹間の歳の差からこんなにも幼児教育を学び続けている母親も、珍しいのではないか・・・と我ながら思う。

だからと言って私自身は10年前と変わらず、今も育児に悩み、あたふたし続けている。

そんな私に有難い育児指南書が、

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天使にラブ・ソングを〜魂を動かすもの

天使にラブ・ソングを〜魂を動かすもの

久しぶりに夜更かしした。

私の大好きな映画「天使にラブ・ソングを」
金曜ロードショーでテレビ放送されており、最初から最後まで目が離せないのはいつものこと。
なんたって、ウーピーゴールドバーグ演じるクラブ歌手・デロリスがたまらなくチャーミングなのだ。

自由奔放でとにかく明るい。その表情はいたずらっ子の少女のよう、一眼見てもう目が離せなくなってしまう。

彼女は偶然目撃した殺人現場の犯人等から身を

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行方不明になった右手

行方不明になった右手

今朝、妙な感覚を得た。

手が、ない。

右手で自分に毛布をかけようと思ったその手が、行方不明になったのである。

どこに行った?

起きて間もない私はぼんやりしつつ、スマホを無くしたとき自宅電話から音を鳴らしてスマホを見つけたやり方で、指をパラパラ動かして音がしたらいいなと思いつつ指令を出した。

指よ、動け。

頭の上の方で、畳の上に小さなビー玉がたくさん転がるようなパラパラ音がした。

指が

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誰もがタイムマシンを持っている

誰もがタイムマシンを持っている

過去・未来を自由に行き来できるタイムマシン。
私は、この不思議なアイテムを誰もが持っていると思っている。

未来へは、予知夢という形で。
過去へは、記憶という形で。

私は今朝、過去へ行ってきた。
時は1997年。

父はまだ、生きていた。

朝から二人は、喧嘩をしている。

私「早く会社行ったら?」

父「うん。もう少しテレビを見て茶を飲んでから」

私「早く」

父「まだだよ」

私「もう終わ

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大切な人は必ずそばにいる

大切な人は必ずそばにいる

いつの間にか、瞬間移動したようだ。

自宅で娘と寝ていたはずの私は、いつの間にか実家の自分の部屋に一人佇んでいた。

ドアのノック音がした。

部屋に入ってきたのは、父だった。

「やあ、久しぶり。」

と言って父は、紙袋を私の前にそっと置いた。

「あ、うん。」

父が何を持ってきたのかと袋を覗いたら、袋いっぱいに大小色様々な駄菓子が詰め込まれていた。

懐かしいな。

幼い頃、近所に駄菓子屋さ

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