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【完全版】トレーニング前/中/後の栄養補給。プロテインの真のゴールデンタイムとは?

「プロテインは運動後30分以内がゴールデンタイム!」
筋トレしている人はもちろん、そうでない人でもそう聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

実はこれ、間違いではないのですがちょっと古い考え方なのです。

今回は、【トレーニング前/中/後の栄養摂取の考え方と方法】について、
・身体の中でどのような反応が起きているのか?
・そのためにはどんな栄養素が必要なのか?
・じゃあ食事やサプリで何をどれくらい摂ればいいのか?

という観点からお話していこうと思います。

トレーニング前、中、後と時系列に沿って、それぞれどのような栄養摂取が必要なのか順に解説していきます。


●トレーニング2時間前

トレーニング2-3時間前に、炭水化物を含んだ食事をしましょう。

トレーニング2-3時間前に食事をする理由は、トレーニング中にエネルギーが必要になるからです。
筋肉は、「グリコーゲン」をガソリンにして動いています。
グリコーゲンは糖質を体内で消化・分解することで作られます。

ですので、トレーニング前には糖質を摂っておきたいということになります。

しかし、トレーニング直前の食事はやめましょう。
理由は、食べ物が消化吸収されるためには数時間程度かかるからです。
体内に食べ物が残ったままトレーニングをすると、エネルギーが十分に作られないだけでなく、消化吸収に必要な血流が足りずに消化不良を起こす可能性もあります。

なので、トレーニング2時間前には食事を終えている状態が理想です。
また各種栄養素を吸収する手助けとなるビタミン・ミネラルもこのタイミングで摂取しておくといいでしょう。

→ビタミン・ミネラルについて


●トレーニング1時間前

トレーニング1時間前に、30g程度のプロテインを飲みましょう。
実はこれが真のゴールデンタイムです。

私たちの筋肉は、常に合成と分解活動を繰り返しています。
分解よりも合成のほうが優位であれば筋肉が増え、分解のほうが優位であれば筋肉は減っていきます。
余談ですが、加齢によって筋肉が落ちるのは合成よりも分解のほうが優位になる時間が多いからですね。成長期の子どもは逆です。

さて、ここで問題。
トレーニングをすると、筋肉の合成と分解どちらが優位になるでしょうか?

答えは、分解
トレーニングには身体からするとストレスであり、エネルギーが必要です。
なのでトレーニングをすると、私たちの身体は筋肉を分解してアミノ酸を取り出し、エネルギーを生成しようとします。

トレーニング中にアミノ酸を取り出されるのであれば、そのアミノ酸が最初から体内にあったらどうでしょう?
プロテインを飲むと、体内に大量のタンパク質が一気に入り込みます。
それを吸収するために、タンパク質を分解してアミノ酸を作り出し、アミノ酸は血液に乗って全身に渡ります。

つまり何が言いたいかというと、血中アミノ酸濃度が高い状態であれば、トレーニング中に筋肉を分解してエネルギーを作る必要がなくなるのです。

血中アミノ酸濃度が最大になるのは、プロテインを飲んだ60-75分後。
なので、トレーニング1時間前にプロテインを飲みましょう。

→おすすめのプロテインについて

ちなみに、アルギニンやシトルリン、βアラニンといったトレーニングの質を向上させる目的で飲むアミノ酸系のサプリメントもこのタイミングで摂るのが効率が良いようです。

●トレーニング30分前

トレーニング30分前に、100-200mg程度のカフェインを摂りましょう。

カフェインが苦手な方は無理して摂る必要はありませんが、カフェインは集中力向上、総負荷量の増加、脂肪分解などトレーニングに関するポジティブな効果がたくさんあります。

詳しくはカフェイン論シリーズを参照していただきたいですが、エナジードリンク等に含まれる無水カフェインよりも、コーヒー等の飲料から摂取したほうが吸収率が高くなります。

カフェインの最高血中濃度到達時間には個人差がありますが、ほとんどの人が30-120分後にピークを迎えるようです。
トレーニング1時間前のプロテインをコーヒー割で飲むのもおすすめです。

ただし、カフェインには覚醒作用があり、その効果は8時間程度持続します(個人差があります)。
遅い時間に飲んでしまうと夜眠れなくなるということがあるので、筆者は、夕方16時以降のカフェインの摂取を避けています。
→カフェインとの付き合い方について

●トレーニング中

トレーニング中に、15-20g程度のBCAAかEAAちびちび飲みましょう。

ここでBCAAやEAAなどのアミノ酸を摂る目的としては、トレーニング1時間前にプロテインで上げた血中アミノ酸濃度を高く保つためです。

トレーニング中にプロテインではなくアミノ酸を摂る理由は、消化吸収にかかる時間が少ないから。
BCAAやEAAでは、血中アミノ酸濃度が30分後にピークになります。
必要最低限のものを摂ることで、身体に余計な負荷を与えずトレーニングに集中することができます。

→BCAAとEAAについて

さてもう一つ大事な論点があります。
トレーニング中に糖質を摂ることについて。

結論から言うと、増量期でない限りトレーニング中の糖質は必要ありません
2時間以上の激しいトレーニングでない限り、トレーニング中にグリコーゲンが枯渇することはないからです。

ただし、トレーニング中に糖質を摂りすぎたからといってそれが原因で体脂肪が増える心配はしなくていいと考えられます。
トレーニング中はアドレナリンやグルカゴン、コルチゾールといった血糖値を上げるホルモンがたくさん分泌されているため、糖質が体脂肪に変わりづらいタイミングだからです。

財布やカロリーに余裕があれば、30-50g程度のデキストリンをトレーニング中に摂取するのも手です。

→デキストリンなど、糖質の種類について


●トレーニング30分後

トレーニング30分後に、30g程度のタンパク質と0-80g程度の糖質を摂りましょう。

前述の通り、トレーニング中は激しくエネルギーを消費します。
エネルギーが少ない状態だと、身体は筋肉を分解してエネルギーを生成するというのも既にお話した通り。

従って、トレーニング後に栄養を摂取する目的は以下の2点になります。
・筋合成を促進する
・トレーニングで失ったエネルギーを迅速に補充する

さて、ここで冒頭の疑問に戻ります。
「プロテインは運動後30分以内がゴールデンタイム!」
という説がありますが、トレーニング後はどのタイミングでどのように筋合成が高まっているのでしょうか。

トレーニング後の筋タンパク合成率の推移を表した図です。
これを見ると、トレーニング後15分-30分で筋合成がピークになり、120分後まで続くことが示されています。

この筋合成効率が上がるタイミングと、血中アミノ酸濃度が上がるタイミングを合わせてあげることが適切な栄養摂取だといえるでしょう。

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出典:Nutrient Timing
http://anasci.org/ebooks/Nutrient-Timing-Ivy-Ph-D-John.pdf

プロテインの吸収にかかるリードタイムは、60-75分。
従来のゴールデンタイムである「トレーニング30分後」にプロテインを飲んだとして、血中アミノ酸濃度が最大になるのは「トレーニング90分後」。

これでは、最も筋合成効率が高いタイミングを逃していますよね。 
先ほど、トレーニング1時間前が真のゴールデンタイムと言った意図はここにあります。

ではトレーニング後にプロテインを飲むのは意味がないのか?というと、そうでもありません。
トレーニング30分後、筋合成が最大になっている時間帯はトレーニング中に飲んでいたBCAAやEAAの効果がまだ残っています。
これで上がった血中アミノ酸濃度が落ちてくるタイミングで、もう一度プロテインによって上げてあげる必要があるのです。
それがトレーニング30分後のタイミング。

これがトレーニング直後すぎると、血液が内蔵ではなく筋肉に行き渡っている状態のため、筋肉への栄養補給やプロテインの消化効率が下がってしまうと考えられます。

またホエイプロテインはインスリン感受性を上げるホルモンであるGLP-1を分泌させたり、筋分解を促進するホルモンであるグルカゴンを抑制するなどの効果も期待できます。

そしてもう一つ大事なのが、このタイミングで糖質を摂ること。
理由は以下の2点。
・インスリンを分泌させることで筋合成を促進する
・トレーニングで使用されたグリコーゲンを回復させる
糖質の種類は、吸収が早いデキストリンが好ましいでしょう。

・インスリンの話
摂取したタンパク質がアミノ酸に分解され、どのように筋肉に行き渡るかというと、インスリンというホルモンがアミノ酸を運んでくれるからです。
トレーニング後はホルモンの働きによってインスリン感受性が高いタイミング、つまり筋肉に栄養が行き渡りやすく体脂肪に栄養が行き渡りにくい状態になっています。

つまり、トレーニング後はなるべく早く糖質を摂取し、アミノ酸を吸収しやすい環境をつくってあげましょう。
ダイエット目的でトレーニングを行う場合、このタイミングは糖質を摂っても太りにくいご褒美タイムともいえます。

→インスリンについて

・グリコーゲンの話
グリコーゲンは糖質を元につくられ、筋肉と肝臓に貯蔵されます。
トレーニングする際にエネルギーを消費するので、当然トレーニング後は筋肉中にグリコーゲンが少ない状態になります。
体内グリコーゲンが少ない状態だと、身体は筋肉や脂肪を分解してエネルギーを作り出そうとします。

ここで重要なのは、トレーニングや運動をするときだけでなく、普通に生活するだけでもエネルギーが必要ということです。

つまり、トレーニング後はなるべく早く糖質を摂取し、トレーニングで使用されたグリコーゲンを回復させてあげましょう。


●トレーニング1時間後

トレーニング1時間後に、タンパク質と糖質が豊富な食事をしましょう。

プロテイン等のサプリメントは食事に比べて吸収が早いため、トレーニング前後には役に立ちます。
しかし、やはり身体の根本を作るのは食事だとボディメイクのプロ達は口を揃えて言います。

食事の消化吸収には数時間かかることを考慮すると、トレーニング後はなるべく早く食事を摂りたいところですが、全身の血流が落ち着いたトレーニング1時間後くらいがちょうどいいタイミングでしょう。


●トレーニング前中後の栄養摂取まとめ

・トレーニング2時間前に食事
・トレーニング1時間前にプロテイン
・トレーニング30分前にカフェイン
・トレーニング中にBCAAあるいはEAA
・トレーニング30分後にデキストリンとプロテイン
・トレーニング1時間後に食事

プロテイン

マルトデキストリン(粉飴)

EAA

カフェイン



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