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カガリビ書房

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火の暖かさに誘われて、着いた先には小さな書店。あなたにとって大切な一冊が見つかりますように。
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【お涙前線にご注意を】読書ロク~2022年1月に読んだ三冊~

【お涙前線にご注意を】読書ロク~2022年1月に読んだ三冊~

 一月といえば、僕のいる会計業界にとっては、忌むべき繁忙期の幕開けである。

 手始めに牙を剥くのは年末調整業務と、支払調書などの法定調書作成業務。何のことだか分からない人は検索してみよう。こちらから説明することは億劫だ。文章を書く時くらいは仕事から離れたいのだ、ご勘弁願いたい。

 さてそんな一月だが、三冊の小説を読んだ。繁忙期の中よくぞ読み進められたと自分を労いたい思いだが、奴らは繁忙期の中で

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衝撃の新人類史~「地球星人」を読んで~

衝撃の新人類史~「地球星人」を読んで~

私は、人間を作る工場の中で暮らしている。
私が住む街には、ぎっしりと人間の巣が並んでいる。

上記は、芥川賞受賞作家の村田沙耶香さん著、「地球星人」より。

今回は、「衝撃的傑作」と呼び声高いこの作品について、ご紹介していきたいと思います。

どんなお話か
一言で言うと「世間の常識からの脱却、その新人類史」と言ったところでしょうか。異論は認めます。
村田沙耶香さんの物語には、毎回驚かされているので

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熱く、毒のある。~芥川賞受賞作「彼岸花が咲く島」を読んで~

熱く、毒のある。~芥川賞受賞作「彼岸花が咲く島」を読んで~

今回は、李琴峰(り ことみ)さん作、「彼岸花が咲く島」について紹介してまいります。
こちらは、2021年第165回芥川賞を受賞し、大きな話題を呼びました。

装丁の絵が美しうていたり。いと好き。

李琴峰さんは台湾出身の作家さんです。台湾出身というだけで、冷たい批判の声を浴びたことがあるという李さん。そんな李さんが紡ぐ文章には、不当な差別に対する是非を、私たちに考えさせるような箇所も見受けられまし

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