北村ヒジリ

ニュージーランド在住歴30年を超え、未だ自分がどこに向かっているのかわからない。 だか…

北村ヒジリ

ニュージーランド在住歴30年を超え、未だ自分がどこに向かっているのかわからない。 だから人生面白いんだろうなあ。 ブログ『あおしろみどりくろ』継続中。https://blog.goo.ne.jp/hijiri_1968

記事一覧

一巡りしたなぁ

冬がやってきた。 南半球ニュージーランドでは冬至を迎え、いよいよ冬本番である。 日の出の時間は遅く、なかなか太陽が上がってこない。 暗いうちに家を出て、車を走らせ…

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ブルシットジョブ

ブルシットという言葉は直訳すると牛の糞だが、とんでもないとかでたらめとかくそったれとかコンチクショーとか、ロクでもない意味だ。 ちなみに英語の発音をカタカナ表記…

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さらばガラケー

やっとなのか、ついになのか、年貢のおさめどきなのか、今さらになってようやくなのか、ガラケーを卒業した。 こうやって書くと知らない人は、旧石器時代の人間に文字を教…

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北島悠遊記

ブドウ畑の仕事が一段落してホリデーに入ったので所用を兼ねてオークランドへ行ってきた。 オークランドから荷物を運ぶ必要があったので、行きは飛行機、帰りはレンタカー…

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シーズン終了

旅の終わりはいつも虚しくて誰かと一緒に、気の合う仲間とオーイエ。 『また会えるさ』というタイトルのJCが作った歌だ。 この歌ができたのも30年ぐらい昔になるか。 冬…

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ワイナリーとビンヤード

あわただしい収穫が終わり、ブドウ畑も落ち着きを取り戻した。 その後は収穫コンテナを洗ったり、ネットを片付ける作業に入るが、収穫の時のように時間に追われる仕事では…

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収穫は続く

農場でのメインの葡萄はシャルドネとピノである。 これが畑全体の8割ぐらいだろうか。 ワインとしてもこの二つが主軸なので、優先で収穫をする。 ピノの収穫が終わると、…

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収穫 収穫 また収穫

3月後半から4月頭にかけて、葡萄畑では収穫の時期を迎えた。 先ずはシャルドネから収穫が始まった。熟しきったシャルドネは緑から金色っぽくなり、とにかく甘い。 そして…

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善悪とは何か ロシア・ウクライナ戦争について考える。

 最近はウクライナ戦争のニュースでコロナの話も霞んできている。ここらでこの戦争に関する自分の意見というか考えをまとめてみたいと思う。まずは意見を持つにあたり、ど…

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初収穫

先週の事だが、今年初の収穫があった。 収穫するブドウはシャルドネという品種で、今回はスパークリングワイン用に1500キロを収穫する。 10人ぐらいの人が来て、1日…

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ブドウ畑にネットが広がった。

農家の朝は早い。 仕事は7時半からなので、6時半には家を出る。 仕事場まで1時間のドライブだが、通勤ラッシュと反対向きなので渋滞は全く無くスイスイと走る。 市街地…

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資本主義について熱く語ってみようと思った。

資本主義の話である。 僕が持っていた資本主義のイメージとは、金が全てであり金の為ならなんでもやる悪いヤツ。 そんなイメージを持っていた。 拝金主義や利他主義とごっ…

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最後の年賀状

手元に一枚の年賀状がある。 二枚の白黒写真を葉書サイズにプリントした物だ。 大きないのししの像の両脇に父と母が立ち、精悍な顔つきの父の前には当時6歳の兄がジャイア…

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ブドウ畑で働いているけど葡萄という漢字は書けません。

訳の分からないタイトルで始まったがぶどう畑の仕事の話である。 前回は啓蒙思想のような話を偉そうに書いたが、今回は今の僕を取り巻く環境の話を書く。 仕事は基本的にと…

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一巡りしたなぁ

一巡りしたなぁ

冬がやってきた。
南半球ニュージーランドでは冬至を迎え、いよいよ冬本番である。
日の出の時間は遅く、なかなか太陽が上がってこない。
暗いうちに家を出て、車を走らせるうちに日が昇ってくるのを見ると1日の始まりだ、という気分になる。
葡萄畑の地面は牧草で覆われているが霜で真っ白で、踏むとバリバリと音がする。
朝一の作業もソレルのスノーブーツにヘストラのグローブ、と雪山並みの装備で行う。
それでも太陽が

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ブルシットジョブ

ブルシットという言葉は直訳すると牛の糞だが、とんでもないとかでたらめとかくそったれとかコンチクショーとか、ロクでもない意味だ。
ちなみに英語の発音をカタカナ表記にするとボゥシッになるが、今回はブルシットで行こうと思う。
ブルシットジョブとはロクでもない仕事という意味で、デイビッド・グレーバーという人の本のタイトルでもある。
ブルシットジョブの定義は『被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど

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さらばガラケー

さらばガラケー

やっとなのか、ついになのか、年貢のおさめどきなのか、今さらになってようやくなのか、ガラケーを卒業した。
こうやって書くと知らない人は、旧石器時代の人間に文字を教えるようなでっかい変化を想像するかもしれない。
実際のところはそれほどではなく、戦国時代の人間に無線通信を教えるぐらいのものである。
今まで使っていたガラケーは、防水防ショックで1回充電すれば2週間ぐらいもつという優れものだ。
最後に充電し

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北島悠遊記

北島悠遊記

ブドウ畑の仕事が一段落してホリデーに入ったので所用を兼ねてオークランドへ行ってきた。
オークランドから荷物を運ぶ必要があったので、行きは飛行機、帰りはレンタカーでドライブしてクライストチャーチまでという5泊6日の行程だ。
オークランドへ仕事以外で行ったのは20年ぶりだ。
僕が初めてニュージーランドに来たのは1987年の5月だから35年前になるのか。
その時は3ヶ月オークランドの英語学校に通った。

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シーズン終了

シーズン終了

旅の終わりはいつも虚しくて誰かと一緒に、気の合う仲間とオーイエ。
『また会えるさ』というタイトルのJCが作った歌だ。
この歌ができたのも30年ぐらい昔になるか。
冬から冬へ、南半球と北半球を渡り鳥のように行ったり来たりしていたあの頃、春は別れの季節だった。
スキー業界という特殊な世界で生きていた仲間とは、春になれば別れて次の冬にまた出会う。
そんな事の繰り返しだった。
ニュージーランドに定住するよ

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ワイナリーとビンヤード

ワイナリーとビンヤード

あわただしい収穫が終わり、ブドウ畑も落ち着きを取り戻した。
その後は収穫コンテナを洗ったり、ネットを片付ける作業に入るが、収穫の時のように時間に追われる仕事ではない。
気持ちが楽だ。
たまにワイナリーの方の手伝いをする。
ここで僕同様、ワイン業界のことをよく知らない人達に用語をいくつか説明する。
まずはビンヤード、これはブドウ畑のことで、ワイナリーとはワインを作る醸造所だ。
この二つによってワイン

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収穫は続く

収穫は続く

農場でのメインの葡萄はシャルドネとピノである。
これが畑全体の8割ぐらいだろうか。
ワインとしてもこの二つが主軸なので、優先で収穫をする。
ピノの収穫が終わると、先が見えて肩の力が抜けるが収穫はまだ終わったわけではない。
残りの畑では、リーズリング、ピノ・グリ、ギベルツ、マスカットなどがある。
どれも白ワイン用の葡萄で、リーズリングでワインも作るが、ブレンドしてオマージュというワインも作る。
葡萄

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収穫 収穫 また収穫

収穫 収穫 また収穫

3月後半から4月頭にかけて、葡萄畑では収穫の時期を迎えた。
先ずはシャルドネから収穫が始まった。熟しきったシャルドネは緑から金色っぽくなり、とにかく甘い。
そしてボスの受け売りだが、鼻に抜ける葡萄の香りがして、この香りがワインになった時の香りになる。
正直ぼくはワインの味はよく分からないが、葡萄が美味いのは分かる。
甘くてやや酸っぱくてみずみずしい葡萄、これをバクバク食いながら仕事をする。
食うと

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善悪とは何か ロシア・ウクライナ戦争について考える。

善悪とは何か ロシア・ウクライナ戦争について考える。

 最近はウクライナ戦争のニュースでコロナの話も霞んできている。ここらでこの戦争に関する自分の意見というか考えをまとめてみたいと思う。まずは意見を持つにあたり、どの情報を選択するか。これによって人が持つ印象や思想は変わるので、これは慎重に選ばなくてはいけない。そしていかなる情報も100%信用してはならないということだ。情報は常に操作される可能性があるものだし、伝言ゲームのように少しづつ変わるうちに全

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初収穫

初収穫

先週の事だが、今年初の収穫があった。
収穫するブドウはシャルドネという品種で、今回はスパークリングワイン用に1500キロを収穫する。
10人ぐらいの人が来て、1日の作業量だ。
先ずは下準備で収穫場所のネットの覆いを外し、ブドウを入れるコンテナを畑に点々と置いていく。
そんなことをしているうちに人がやってきて作業が始まった。
今回は収量が少ないので、働く人は全てボランティア、ワインメーカーの知り合い

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ブドウ畑にネットが広がった。

ブドウ畑にネットが広がった。

農家の朝は早い。
仕事は7時半からなので、6時半には家を出る。
仕事場まで1時間のドライブだが、通勤ラッシュと反対向きなので渋滞は全く無くスイスイと走る。
市街地を抜けるとすぐにのどかな牧場の風景が広がる中のドライブを、僕は気に入っている。
最近はカーステレオを新調して、ブルーツースで好きな音楽を聴けるようになったので余計に嬉しい。
カーステレオを買うにあたり、中古で買って自分でやれば安くあがるな

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資本主義について熱く語ってみようと思った。

資本主義について熱く語ってみようと思った。

資本主義の話である。
僕が持っていた資本主義のイメージとは、金が全てであり金の為ならなんでもやる悪いヤツ。
そんなイメージを持っていた。
拝金主義や利他主義とごっちゃまぜになっていたのだと思う。
資本主義は悪の手先で、そのうちに仮面ライダーみたいな正義の味方にやっつけられちゃう。
そんな印象を漠然と持っていた僕が資本主義を学び、どうやらそう単純な話ではないようだということに気がついた。
ぶどう畑で

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最後の年賀状

手元に一枚の年賀状がある。
二枚の白黒写真を葉書サイズにプリントした物だ。
大きないのししの像の両脇に父と母が立ち、精悍な顔つきの父の前には当時6歳の兄がジャイアンツの帽子をかぶって立っている。
保育所の帽子をかぶり、いかにも腕白ボウズといった3歳のボクが母の横に立つ。
母は少し前かがみでボクの手を両手で包んでいる。当時の母は30代半ばぐらいだろう。なかなかの美人である。
もう一枚は全く同じ場所の

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ブドウ畑で働いているけど葡萄という漢字は書けません。

ブドウ畑で働いているけど葡萄という漢字は書けません。

訳の分からないタイトルで始まったがぶどう畑の仕事の話である。
前回は啓蒙思想のような話を偉そうに書いたが、今回は今の僕を取り巻く環境の話を書く。
仕事は基本的にというか完全に外で行うアウトドアだ。
人間が持つ印象というのは面白いものでアウトドアなどという言葉を使うとオシャレなイメージを思い浮かべるが、なんてことはない『野外活動』、もっと野暮ったく言えば『野良仕事』だ。
若い頃からいろいろな仕事をし

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