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【この歌詞が凄い!】#1 Sweet Child O' Mine /Guns N' Roses
【はじめに:軽薄・下世話で何が悪い】
「この歌詞が凄い」と聞いて、どんな歌を思い浮かべるだろうか。松本隆、井上陽水、松任谷由実、中島みゆき、宇多田ヒカル...といった面々?当たり前だが、そこに作家性や世界観があったり、映像が頭に浮かぶような情景描写があったり、造語やパンチラインとなる強いワードがあるほど、その詞の評価は高まる。
つまり、純文学風なほど評価されるのは否定出来ないだろう。反対に軟
『不適切にもほどがある!』(2024年)に感じる3つの違和感
はじめに〜考察ブームについて現在放送中の『不適切にも程がある』。放送の度に反響が多いのは、視聴者がどうしても物申したくなる「ツッコミしろ」の多い作品だからだと思う。
この「ツッコミしろ」は、近年の考察ブームとの相性が良い。たとえば『VIVANT』が日本での大流行に反して、世界進出に苦戦しているが、それは無理からぬことだと思う。
喧伝されている予算額に見合うだけのルックになっていない以上に、支
【歌詞考察】藤井風 『花』(2023年)〜「内なる花」とは何か、なぜ葬式なのか
【はじめに】これは本当に「死生観の歌」なのか藤井風の(現段階での)最新シングル『花』。MVについての複数の「考察」記事を読む限り、「死生観の歌」という解釈が多いと感じる。
確かにそれは間違いない。過去の難解なMVに比べて、今作は非常に分かりやすい。棺桶の自分を運び、イーゼルの遺影が歌い出し、線香をあげ、先住民的衣装をまとった祝祭感溢れる踊りがクライマックス。誰がどう見ても葬式で、しかも多様な信
【『THE FIRST SLAM DUNK』(2022)評論】ノスタルジーを否定するための映画化
【はじめに】
かなり今更な感もあるが、THE FIRST SLAM DUNKについて論じたい。
強調したいのはここで語るのは、「なるべくドライな視点」から見た仮説だということ。もちろん公開時に大変に感動し、スラムダンクひいてはバスケットボールを好きで良かったと心から思った。だが、この映画を評価する上で、そういったウェットな感情はなるべく排したいし、だからこそ熱が収まったいまあえて取り上げてみた
サザンオールスターズ『キラーストリート』から読み解くゼロ年代
【はじめに 原体験としてのキラーストリート】
2005年に発表されたサザンオールスターズの『キラーストリート』は、
91年生まれの自分にとって、サザンの原体験だった。
それだけでなく、いま振り返るとゼロ年代を象徴するアルバムのように思える。本作をサザンの最高傑作にあげる人はほとんどいないと思うが、この作品を掘り下げると、ゼロ年代の日本が見えてくるような気がする。
【平成3年生まれにとっての
2023年に読んだ本 10選
「今年出版された」ではなく「今年読んだ」本です。ノンフィクション、エッセイ、小説、画集など全部で54冊(12/18時点)でした。多くはありませんが、後回しにしてきた分厚いのを多く読破できた充実の1年でした。
①.『口訳 古事記』 町田康
「今年出版された」中で1番好はこれです。以前から日本の神話に興味はあり、「町田康の訳?なら読むしかない!」と即買いでした。
ポイントはやはり文体。すっとぼけた
【HELP EVER HURT NEVER / 藤井風】後編:『帰ろう』歌詞考察
【はじめに 世紀の名曲】
誤解を恐れずに申し上げるならば、『帰ろう』は『Let It Be』や『Goodbye Yellow Brick Road』、『Bridge Over Troubled Water』クラスの大傑作バラードである。当人の中にも、ホームランを狙う意識は間違いなくあったはず。そして実際に曲を聴けば、誰もがその超特大ホームランぶりを認めざるを得ないと思う。
もっともポール・マッカ
【HELP EVER HURT NEVER / 藤井風 】前編:『何なんw』歌詞とMV考察
【2020’sの主役 藤井風】
藤井風という衝撃。宇多田ヒカルが世に出てきた時も、こんな感じだったのかもしれない。アフターコロナの世界で、間違いなく一番聴いている。
彼の魅力はなんといってもその圧倒的な「根アカ感」だと思う。(あと圧倒的なルックスも)
それ以前の主人公たちは、どこか「影」があったり物憂げだった。悪い言い方をすると、Mステのひな壇で一言も喋らずにスカしている感じ。2000年代までは