◆「占有原理」はなぜ必要か。もちろん個人の自由のためだが逆から述べて、以下の概念に代表される諸事象を排除し抑圧し牽制し極小化させるためである。ゆえに高度な分節線の引き方が焦点となる。 支配、拘束、奴隷、実力行使、威圧、恐怖、結託、口出し、紐付き、いじめ、曖昧不透明 etc.
◆木庭顕『ポスト戦後日本の知的状況』を所々読む。私自身は読み解く基礎を欠くが、問題群が透徹した眼差しに射貫かれている。 「世界の現実の総体と対峙するという学問の基本姿勢」「古い時代から続いてきた知的姿勢の基本、とりわけ社会の圧倒的な潮流に一人で立ち向かうという基本」310頁
◆今の法学部生(広く学生)が羨ましいのは、木庭顕『法学再入門 秘密の扉―民事法篇』(有斐閣,2016)を読めることである。じっくり何度も読み、何かを感知し無数の問いが自らの中に立ち上がるのを感じ、諸方面に探究作業をすることができること、その発火点を得られることは素晴らしいことだ。
◆自由なる個人その経済のために、費用果実連関(費用→基盤資源→果実)の理解 ・費用と果実は比較的すぐに消滅し、基盤資源も消滅するがタイムスパンが原則としてまるで違う。形成にも時間を要す。 ・基盤資源は危険なことに切り崩して費用にすることもできてしまう。 ・開かれた基盤資源もある。
◆木庭顕「ロシアのウクライナ侵攻と日本国憲法9条」法律時報94巻6号63頁(2022). 颯爽たる明晰な論説とはこのことである。今般の事態とこれからの日本を憂慮するすべての人の必読文献。