見出し画像

なんで酸化グラフェンで新型コロナウイルスを撃退できるの?

2020年11月、熊本大学産業ナノマテリアル研究所は酸化グラフェンが新型コロナウイルスを撃退することを確認したそうです。しかも、酸化グラフェンはヒトへの細胞毒性がないことも確認済みだとか。以前から化学的な興味があったので、これについて思うところを綴っていこう。

新型コロナウイルスのワクチンに酸化グラフェンが含まれていて接種者がそれによって死亡したのではないか?と噂されています。どこの誰が発表してるのか分からないことと、細胞毒性がないと確認したとしっかり記事になっている熊大の研究所とを比べたら、自分は後者の方を信じるスタンスです。

グラフェンとは?

鉛筆やシャープペンシルの芯の原料である黒鉛は化学の世界ではグラファイト(Graphite)と呼ばれています。グラファイトは上の画像みたいなグラフェン(Graphene)というバカ広い炭素シートが何枚も積み重なった構造をしています。イメージとしては、グラファイトが一冊の本ならグラフェンは本の中にある1ページ分の紙です。

ちなみに、グラフェンは鉛筆の表面にセロハンテープを貼っつけて、それを引きはがせば物理的に取り出すことができます。実は、この方法を使って「グラフェン」を取り出した人が2010年にノーベル物理学賞を受賞しています。

受賞理由は、グラフェンが炭素原子1個分の厚みしかないため薄くて軽く、ダイヤモンドよりも硬く、電気をめちゃくちゃ通す画期的な素材だということが分かったからです。あと、詳しくは分かりませんがアカデミックの分野でも量子物理学の研究に一役買うみたいです。

そういえば、日本の”脱炭素化”とかいうあたかも炭素が悪者であるかのような印象を与えるクソみてぇなネーミングセンスにはめまいがしますが、あれは飽くまで二酸化炭素の排出を抑えるという意味合いのようです。炭素材料は軽くて丈夫な理想的な材料なので、例えば電線の銅をカーボンナノチューブに変えたりするように、人体に有害な金属を炭素に置き換えていく”身の回りの炭素化”は次世代に必要だと思います。

どうして酸化グラフェンが新型コロナウイルスに効くか?の予想

酸化グラフェンはグラフェンの一部が酸素酸化を受けたもので、詳細な化学構造は東京化成工業株式会社さんのリンクで見ることができます。買おうとしたら¥13200/100ミリグラムのようですね。

さて、ここからは酸化グラフェンで新型コロナウイルスが撃退できる理由を少し予想してみます。先に酸化グラフェンとウイルスの大きさを比較しましょう。

       酸化グラフェン    新型コロナウイルス(球状と仮定)
厚み      1~数nm            100nm
広さ   100nm×100nm      直径100nmの円

酸化グラフェンはちょうど新型コロナウイルスとほぼ同じ広さのようですが、厚みが大きく違います。大きさのスケールを無視すれば、コースターとロックグラスくらいの関係性でしょうか。酸化グラフェンはグラフェンと違って、表面が酸素や水素などで構成される官能基によって修飾されています。それらが+-の極性を生んで、未修飾とは違う性質を発現します。例えば、ウイルス表面に電気的な偏りがある場合、そこと引き合うのです。

電撃殺虫ラケットで蚊🦟を退治するように、酸化グラフェンも新型コロナウイルスを静電気的に捕まえると同時に、電気化学的なエネルギーによって攻撃していると思われます。官能基修飾による効果によるものだとすると、化学的な酸化によって新型コロナウイルスの表面を直接分解していくという見方が個人的には濃厚かなぁという気がしています。

まとめ

1.新型コロナウイルスは酸化グラフェンで撃退できるという報告がありました。

2.新型コロナウイルスを酸化グラフェンが撃退できる理由として、表面に修飾された官能基が直接ウイルスに作用することによって分解しているのではないか、と予想しました。


この記事が参加している募集

化学がすき

「ためになるわ」と感じて頂ければサポートを頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。