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【将棋】藤井二冠、序中盤で角交換後の中段角を今月もう5回も放っている件

角換わりと相がかり

王位戦第4局は▲豊島竜王ー▽藤井二冠の相がかりだった。両者は居飛車党ではあるものの、戦形は相がかりと角換わりに偏っていて、不思議と矢倉や横歩取りになることはほぼ無い。互いに得意戦法なのだろうと思う。

もはや見慣れた角交換後に中段角を放つ藤井二冠

藤井二冠は相居飛車の将棋で角交換になったのち、四段目から六段目の間、いわゆる中段に角を放っているのをよく目にする。アマチュアとしての自分の感覚を言わせてもらうと、①できれば相手陣に角を打ち込んで馬を作りたい意識と②角を打った成果があげられずむしろ負担になるかもしれない不安に駆られる。「それくらいならいっそのこと、いつでもどこにでも使える持駒として温存しておこう」と角打ちを見送る方へ気持ちが傾く。

なので、こういう大局的な決断ができるという点においてプロとアマとの大きな力量差を感じる。さて、今月藤井二冠が序中盤に放ってきた中段角を見てみよう。

 3日 対豊島竜王(46手目▽5四角)     結果:負
 6日 
八代七段(46手目▽6四角)     結果:勝
 9日 
豊島竜王(65手目▲8四角;名角)  結果:勝
16日 
稲葉八段(42手目▽7五角)     結果:勝
18日 
豊島竜王(28手目▽4四角)     結果:勝

12日に行われた対永瀬王座戦以外、わずか半月の間に5局も現れており、もはや偶然とは思えないほどの出現率になっている。王位戦第4局も角交換後、早々と28手目に▽4四角を先着させて見事に完勝してしまった。おそらく、かなり先まで読んで指した決断の一手に違いない。それとも、この手は定跡なのだろうか?

伏線として、この▽4四角の直前に豊島竜王がほとんど時間を使わずに角交換に踏み込んでいる。藤井二冠からすれば「このまま無難に手を進めていったら、豊島竜王の用意の作戦に飛び込んでしまうかもしれない」と察知して、あえてそこから外れるように角を放ったという見方もできる。が、真相は全く分からない。定跡なのか作戦外しなのかは分からないものの、この際この手を勝負の余白の美として楽しむことにしよう。

このように、藤井二冠が序中盤で中段角を放つことによって局面をリードしようとする傾向があることに気づいたので、次局(22日)の叡王戦第4局、対豊島竜王戦はひっそりとそこに注目して観戦することにしたい。

( 'ω' ).。oO( なんだこの過密スケジュールは?プロ野球の中継ぎか?

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