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介護におけるエゴ

仕事におけるエゴ、とも言い換えていいのかもしれません。

現場が大好きで、介護技術もあり、お客様への関わり方もピカいち。
ご家族からも好かれて、上長からの信頼も厚い。

「〇〇さんというヘルパーさんは素晴らしい」という評判が立ち、それがそのうちに「〇〇さんというヘルパーさんでなければダメ」というお客様が出てきます。

これがいちヘルパーさんの場合であれば、ありがたい話で終わるのですが、組織であれば優秀なスタッフはそのうち上長として取り立てていきます。

ところが、こういうヘルパーさんを管理者に取り立てた時に生じるのが、これまでどおり「〇〇所長でなければダメ」というケアを増やしていってしまうこと。

そして何よりも一番の問題が、こうした所長の多くがお客様の言葉を真に受けて、「私でなければダメ」と思い込んでしまうことです。

お客様に評価されるのはありがたいことですが、「あなたでないと」というお客様の想いと「私じゃないと」という所長の想いを必ずしも同列で考える必要はありません。

そもそも、所長でないといけないのは、他のスタッフがそのお客様に関わる機会を与えられないため、いつまでも成長できていないという問題があるからです。

「所長、あなたでないと」という甘い言葉は、「所長」という役割に対しての声かけではなく、「ヘルパー」という役割への評価です。

自分でなければできないケアを増やすことによって、所長業務に注力する時間はどんどん削られていきます。

所長の仕事は、自分でなくても誰もがサービス提供できるような配慮と意識づけをお客様にもスタッフにも積極的にしていくことです。

お客様に他のヘルパーさんがケアをさせていただいてもいいかどうか、お伺いを立てて学ばせていただくチャンスをいただくことです。

誰もが初めてはありましたし、その時には皆お客様に教えてもらって成長してきたはずです。

話が変わりますが、皆さんが愛用しているスマホのキャリア会社がこの世から無くなったらどうされますでしょうか。

十数年お世話になっていたって、おそらくすぐに次の候補の会社が思い浮かぶはずです。

不祥事で消えてしまった芸能人についても同じことが言えますよね。そのタレントや俳優がいなくなっても、いつの間にか誰か別の人がその枠を埋めているのが現実です。

「自分がいないと回らない」

そんなのは錯覚です。
ないならないで、誰かが回します。
事業所が無くなったって、どこか別の業者さんにサービスをお願いするだけです。

お客様からしたら、その程度の話です。

少しキツイ言い方になるかもしれませんが、「私にしかできないケアがある」、「私にしか担当できないお客様がいる」という管理者の姿勢は、単なる「エゴ」や「自己満足」でしかないと思っています。

管理者は良いケアをする人ではなく、良いマネジメントをする人。
お客様に選ばれるスタッフを育成するのもその役割のひとつです。

「あなたでないと」を「あなたたちでないと」に変えていく。

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