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上司と部下が求めるイメージの差

現在、研修の企画をしています。

きっかけは地域子会社における研修からだったのですが、コロナ禍が始まった年に入社してきた新卒のスタッフたちは、入社式から研修に至るまで全てにおいてリモート環境を余儀なくされたため、同期入社の仲間たちをリアルには知らないという問題が浮上しました。

正確には、同じエリア同士の新卒はともかくとしても、所属するグループ会社が違ってしまったりすると、もう名前どころか顔も分からない状態であると。

リモートのパソコン画面に、何十人と顔と名前が表示されていたわけですが、そんな状態で研修を受け続けたところで、おそらく「同期の絆」は生まれないでしょう。

そして、彼ら彼女らから上がった声が、せめて近くにいる仲間とあらためて知り合いたいという要望でした。

そういう要望であれば叶えてあげたいよねと話を受けたものの、部署の皆は忙しそうであったため、請け負った張本人である手前「じゃあ、オレがやるか」と研修の企画を引き受けることにしました。

少し前に、ちょうど同じような企画で講師を頼まれて参加したこともあり、そちらの内容をなぞればそんなに無理なくいけるかなということで、その企画の際に一緒に講師をやったかれこれ30年近く一緒に働いている仲間にも声をかけました。

というか、実際にはこちらの講師の方がメインの内容となりますので、私の講話は「よもやま話」ということで時間が余ったら埋める程度のものなのですけど。

そこで、研修のための打ち合わせをしたのですが、内容自体はすんなり決まったものの、脱線話の方が面白かったりして、今日のテーマは実はそちらになります。

「こんなのがあったのよ」と、今回の研修とは関係のない過去のグループワークの成果物をいただきました。

それは、入社1・2年目の新卒社員グループと係長・課長・次長の幹部グループに分けて、それぞれがイメージする「所長(拠点長)」の姿についてブレスト(アイデア出し)してもらったという内容でした。

似たようなフレーズも散見できるのですが、並べてよく見てみると全然違うのですよね。

部下たちが求めるイメージと上司たちが求めるイメージがこれほど違うものなのかと驚かされます。

まずは係長・課長・次長といった上司たちが求める拠点長のイメージを見てみましょう。

幹部が所長に求めるイメージ

・ 目標管理ができる
・ 計画性がある
・ 経営方針を率先垂範している
・ 環境整備が実践できる
・ 責任感がある
・ 優先順位を決められる
・ 実行力がある
・ 忍耐力がある
・ 向上心がある
・ 失敗を恐れない
・ スタッフから信頼される
・ コミュニケーション力が高い

さすがに会社の方針にあるような単語もちょくちょく入ってきますし、確かに仕事を任せられるようなしっかりとしたイメージがありますよね。

その反面、なんだかお堅いカチッとしたイメージもあるかもしれません。

それに対して、新卒1・2年目のスタッフが求める上司のイメージを見てみましょう。

部下が所長(上司)に求めるイメージ

・ 営業所を管理する人
・ 営業所の目標を決める人
・ チームのリーダー
・ 営業所の顔
・ 結果を出す人
・ 周囲から信頼される人
・ 自分の考えを持つ人(上からの指示だけで動かない)
・ スタッフのモチベーションを上げる人
・ 付いていきたいと思わせる人
・ 偉ぶらない人
・ 約束を守る人
・ 元気な人
・ 人情のある人
・ 一緒に泣いたり笑ったりできる人
・ 強みも弱みも見える人

リーダーではありますから、こちらにも同じように「管理」というキーワードは入ってはいるものの、偏見かもしれませんが部下たちから見た条件の方が、温度感というか、より人間味を感じる印象を受けるのは私だけでしょうか。

上長たちがワンフレーズに落とし込んでしまうような「コミュニケーション力」というものを、細やかな人間的な要素としてひとつひとつ大切に扱ってスタッフに向き合っていく拠点長の姿勢が、実際に部下たちから信頼される下地になるのでしょう。

前回のコラムのテーマで「理屈」と「情動」を取り上げました。

情動による向き合い方をモチベーションに働いてくれる部下たちに対して、理屈を押し付けて運営しようとする上層部があった時に、組織は綻びを見せていき、所属するスタッフたちの気持ちも少しずつ離れていってしまうのだと思っています。

上長たちは、この新卒が掲げたリストから目を背けずに、自身の言動と照らし合わせて拠点運営に反映して活かしていってもらえると、それがスタッフ定着への近道となるかもしれません。

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