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屋根と部門を一緒に良くする

人間は、任された範囲については責任を持って対応しようとしますが、範囲外のところについては必要性を感じない限りなかなか手を出さないものです。

例えば、私たちの介護業界においては、拠点という一つ屋根の下に複数部門を併設しているケースがままあります。

ひとりの上長が複数部門をみているところも一部ありますが、当社においては大抵の場合それぞれ部門毎に所長を立てています。

特定の部門を任された所長としては、それぞれが任されたところはきちんと責任感を持って担当してくれる方がほとんどですが、各所長が立てる方針は部門としてのものであり、屋根である拠点の方針ではありません。

実は他部門と上手く連携を図るために必要なのは、この「拠点としてどうするか」を明確にしておくことで、初めて複数部門が一緒にある意味合いが生じますしその機能を活かすことに繋がっていきます。

ですから、理想なのは各部門の所長の上に拠点を束ねる係長のような拠点長を配置することなのですが、ただ間接部門ばかり増やしてしまっても経営的にはなかなか厳しいものもありますし、中にはそれぞれの部門がまだそれほど大きくない拠点もありますから全拠点に拠点長を置くというのもなかなか難しいのが現状です。

そうした屋根のリーダーを置いていない拠点において、各部門長同士で連携を円滑に図っていただくためにはどうすればいいのか。

複数部門が併設しているということは、当然ながら多部門に渡ってサービスのご依頼を受けることもあります。

そして、目的は同じく「お客様の状態を今より良くしていくこと」なわけですから、その考え方を中心に置いた時にそれぞれの部門がどのような関わり方や協力をし合うことがお客様の生活にとってもベストなのか、という視点が必要となります。

仲良しこよしの集団である必要はありませんが、上記の視点でお客様に向き合う目的集団ではあるわけですから、そのための話し合いや部門の垣根を超えた付き合い方が不可欠です。

そして、部門長同士お互い話し合った内容が、お客様のケアに反映されていなければ結果にも反映されないわけですから、それぞれ相手が行動レベルに落とし込んでいくような向き合い方や関係性が求められます。

「何も皆の前であんな言い方しなくてもいいのに・・・」
「なんでいちいち感情的になって怒鳴ったりするんだろう?」
「外部の関係機関に、併設部門のことをわざわざ悪く受け取られるように言うのはなぜなの?」

関係性において上記のような印象をお互いに抱くようになるのは、なぜならば拠点としての目的意識が欠如しているからです。

皆で協力した結果として、関わるお客様にどのようになって欲しいのか、地域からどのような拠点として見られたいのか。

この拠点で働く人たちにはどのような環境を提供したいのか。

いがみ合う夫婦同様に、萎縮してしまっている子供たちのことはそっちのけで感情のままに振舞うのは何のためなのか。

関係性は鏡です。鏡は先には笑いません。
無礼は無礼を呼び、礼節は礼節を呼びます。
自身のとった言動はそのまま自らに跳ね返ってきます。

なんのために、そのような発言をするのか。
なんのために、そのような表情をするのか。
なんのために、そのような感情を発露させるのか。
それらを受け止めた相手に本来はどう感じて欲しかったのか。

相手本位の関係性を築く人は、自分の言動の目的を明確にしています。

人間は「自分の好きなこと」や「自分の好きな人に言われたこと」なら喜んで行います。

この法則は認知症のお客様に向き合った時にも、拠点内における人間関係にも当てはまります。

部門長は、自分の部門はしっかりと守っています。

あとは部門長同士が手を結べば、その拠点の環境はもっともっと良くなります。

前述した、「いがみあう夫婦の子供の立場」に立ってみて、あらためて今の自分の言葉遣いや態度や姿勢を見直してみるといいと思います。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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