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【導入編:ものづくりのものがたり】

◆固有技術と管理技術

大卒で大手メーカーの工場に配属された2年目の紫耀(ショウ)と同じ工場に転勤してきた中堅社員で管理者の健(タケル)との対話を通して、ものづくり理論について解説します。ちなみに状況に応じて、他のキャラクターも登場します。

 ショウは入社後、実習・実務を通して仕事自体には慣れてきており、無難な日々を送っていた。1年目の査定も平均的なもの。だが、何とも言えないモヤモヤを抱えていた。そんな時、入社時の集合研修時に教育係として指導していた、タケルに工場でばったり会い相談を始める。

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👱🏼‍♂️;おつかれさーん。

🧒;お疲れ様です。すみません、業務時間外に・・・。

👱🏼‍♂️;いいよ、いいよ。まぁコーヒー飲んで。モヤモヤっていってたけど、何かをまず知りたいね。今はどんな立場で、どんな仕事やっているんだい?

🧒;えっとですね。今は、主任補佐っていう立場です。でも主任は不在なんで、実質主任みたいなもんっす。いまは、日々の生産の確認、日報の入力、安全含めた現場見回りですね。あと、個別製品のコストの収益も報告しています。責任を感じてばっかりで嫌になっちゃいますけどね。

👱🏼‍♂️;責任か。そうか、1年半の経験でよくやっているよ。まずは新人製造マンとしての第一関門は突破だね。

🧒;はい。そうなのですが、こんな感じでよいのでしょうか?製造マンって。

👱🏼‍♂️;そうか、きっと君の違和感というのはそこにあるのかもしれないね。仕事を回せるようにはなった。この部分は成長できたけど、その後の成長がなかなか見えてこない。きっとほかの新人は何か課題を与えられて、頑張っている。少なくとも、君からはそう見える。だけど、自分はルーティンしかしていない。「いいのかな、差がつかないかな。」と、モヤモヤの実態はそんな感じなのでは?

🧒;そうなんです!その通りなんです。悪くはないと思うんです。でも、本社の同期とか他部署の同期とか、改善発表会とかでプレゼンを聞くとなんか自分だけ置いて行かれている気がして。

👱🏼‍♂️;まぁいつだって隣の芝は青く見えるからね。わかったよ。ところで、今年の目標は設定しているかな?

🧒;目標?すみません。指示された生産量を達成するくらいですかね。ほかには特にないですね。上長からもそれ以外は特に。

👱🏼‍♂️;そうか、それはもったいない。管理者っていうのは、日々の仕事を淡々とこなすことも必要であるけど、自分の組織を成長させていくことが最も重要になるんだ。

🧒;組織を成長??与えられた分をこなすっていうのが仕事だと思っていました。組織の成長って言われても。。なにをどうすればいいのですか?

👱🏼‍♂️;組織の成長っていうのは、リーダーの成長、つまり君の成長度合いと比例してくるんだ。リーダーだったら組織の成長を考えるときには、まず自分自身の成長を考えるんだ。広い意味でだよ。自分だけできるなんてだめだよ。それを周りに広めていけるように成長していく必要があるんだ。

🧒;自分の成長??どうやってやればいいか。。うーん。。やっぱり、わからないっす。

👱🏼‍♂️;ものづくりには、”固有技術””管理技術”という言葉あるんだ。明確に線を引いて、これは固有、これは管理といって分ける必要はないのだけど考え方としては整理しておく必要があるよ。


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固有技術:
 ものを作ったり、サービスを提供したりするときに必要な技術、たとえば設計開発や製品加工などの技術を指す。企業レベルで見ると、どのくらいの水準の製品・サービスを提供するポテンシャルを持つかということ。

管理技術:
 固有技術などを安定的に発揮し、アウトプット(=製品やサービス)を一定水準に保つのに必要な技術(品質管理など)

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(出所;日科技連 https://www.juse.or.jp/tqm/about/01.htm)

🧒;何となくわかります。モノ自体を加工する技術が固有技術。造るために管理をする技術を管理技術というのですね。

👱🏼‍♂️;そうそう。ただ、私は管理技術は狭い意味での品質管理だけはなくて、モノの流れであったり、マネジメントであったり、会計であったり、”造る”、”売る”という中での管理すべてを指していると考えたほうがいいと思っている。固有技術と管理技術、この二つはどちらが欠けてもだめなんだ。両輪が揃って価値を発揮していくものなんだ。

🧒;そうなんですね。自己成長、組織成長を考えたときに視野は広いほうがいいですよね。なるほど。

👱🏼‍♂️;ちなみに工場の講習で、各種・固有技術の理論を学んでいたよね。溶接、部品の加工、設備の基礎知識とかカリキュラムがあって受けていたと思うけど。

🧒;はい。受けています。研究員の人から理論を学んで、それからベテラン作業員から実際の作業を実際に加工をしながら教わります。おもしろいですよ。やっぱりこうなるんだとか、なぜか違う現象が起きて、自分の理解が違っていたり、そもそも素材を勘違いしていたりして、理論と実践で身についてく感じがします。でも、結局自分の現場でトラブルが起きると対応は難しいんですけどね。

👱🏼‍♂️;そこまで自分で咀嚼して講義を受けているなんてエラいと思うよ。固有技術に関しては学習ができていそうだね。俺との話で固有技術はもう必要ないと思う。そのまま学習していってくれ。ところで、管理技術についてはどうだい?

🧒;すみません。。。管理技術ってどんなものがあるのですか?

👱🏼‍♂️;そうそう、そこなんだよね、固有技術はわかりやすく、会社にもカリキュラムがあるところが多い。でも管理技術って会社の講習ではカバーできていない場合があるんだ。最近はあるかもしれないけどね。徳育に近いんだ。俺は次のようなものが管理技術の例としてあると思っている。先ほど言った通り、固有技術をまたぐような内容もあるかもしれないけれど、少なくとも製造管理者の一般教養として身に着けるべきものだと思っている。

◆投稿内容(登場人物や各人の役職・立場は適宜かわります)

👱🏼‍♂️;下記の項目が管理技術の内容だと思っているよ。多岐にわたる。(マガジン作成次第随時更新)

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下記各々のリンク

-5Sの基本ステップ(トヨタ流 最強の5Sに沿って)
  2020年5月完了済(全5話)

-トヨタ生産方式とTOC理論(“トヨタ生産方式”と“ザゴール”に沿って)  
      
2020年5月完了済(全13話)

-マネジメント基本知識(ドラッガーの“マネジメント”と“もしドラ”に沿って)  2020年5月終了完了済(全7話)

-会計の基礎知識(“餃子屋と高級フレンチではどちらが儲かるのか?”に沿って。)
  2020年6月終了済(全11話)

-ビジョナリーカンパニー解説(“ビジョナリーカンパニー”に沿って)
  2020年6月終了済(全18話) 

-組織構築・再構築編 両利きの組織をつくる解説
 2020年7月完了(全12話)

-自己心理管理編 アドラー心理学(もしもアドラーが上司だったらに沿って)
 2020年7
月完了(全14話)

-チーム構築編 心理的安全性の理解
2020年8月完了(全12話)


-IT全般知識、情報リテラシー、要件定義編
2020年8月完了(全15話)

-経営リテラシー編
2020年9月完了(全19話)

-仕事の質向上編1 自工程完結
2020年9月終了(済)

-仕事の質向上編2 見える化
2020年10月終了(済)

-実践編
随時更新

-問題可決編 ザゴール2
2020年11月終了(済)

-競争戦略編
2021年1月終了(済)

-図解編
2021年4月終了(済)

-リーダーシップ編
2021年5月(済)

‐イノベーションのジレンマ編
2021年7月(投稿中)

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🧒:なるほど。製造基礎からマネジメントまでいろいろありますね。。両利きの経営や経営リテラシー、戦略論などはちょっと若手や製造の域を超えている部分もありますね。まず、私は最初は5Sですかね。

👱🏼‍♂️:そうそう。もちろん年齢も考えて、段階的に学んでいくべきだ。管理技術は本当に幅が広いからね。製造知識であれば、まずは5Sからかな。これが本当の基本だし5Sって仕事そのものなんだ。

🧒:わかりました!よろしくお願いします!

◆理論と実践

👱🏼‍♂️:それと、ここからが最も重要なことなんだけど、習ったことは自分なりに解釈して必ず実行してみること。溶接の講習でも理論の説明の後に実際に手を動かして理論の理解不足を認識したり、カンコツを掴んで実際にできるようになったでしょ。できるようになることがゴールだから、やってみて足りないことがあったらまた学習して実行を繰り返す。やれるようになるまで理論と実践が必要なんだ。実際にやらなかったら座学勉強の意味はない。この繰り返し自体が自己成長なんだ。

🧒:わ、わかりました!!やります!実行は組織でやるので組織の成長にもなるのですね!

👱🏼‍♂️:その通り!よし!ならば、定期的に集まって勉強しよう.


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◆最後に

すっかりやる気も出て、理論と実践の行き来を約束できたようです。これから、各マガジンで対話を使って”ものがたり”のように、管理技術について解説していきます。登場人物は時々によって異なります。私自身未熟者です。本を読みながらnoteにアウトプットし、経験と反芻しながら学んでいきます。ものづくり全般に関わる方は最も読んでいただきたいですが、別業種の方も興味があればぜひフォローしてもらえると嬉しいです。皆様のフォローがやる気の源になります。

なお、番外編もたまに投稿しています。


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