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昔の学校を見に行こう
森の中の丸太小屋を思わせる日当たりのいいリビングに、最後の生徒が空間に空いた光の穴から現れ、木でできた4人がけの机の席についた。
「はい、みんなログインしましたね。今日は、昔の学校がどんなだったか知るために21世紀の学校を見に行きましょう」
スーツ姿の犬のアバターを着込んだ先生が一緒の机に座る生徒たちに向かって言った。
「はーい」
3人の生徒たちが声を揃えて応じる。
先生は目の前の空間に半
スタイリッシュ歯磨き | 虚構OLエッセイ(2)
寝る前の歯磨きほど、無防備な自分を見ることないわよね。
吉岡里帆を目指して顔に盛っていた塗装が剥げて「室内はリフォームして最新ユニットバスなんですよ~」と勧められる外観ボロボロUR団地みたいな顔面が鏡に映るのであ~る。
さっきの人に「やっぱり人も外見じゃなく、内側ですよねー」と言われたら「それ褒めてねぇよな」という意味で返す無表情っぷりでもあ~る。
化粧落として仕事の疲れマックスの顔はもうね
ひとりディナーのハレーション | 虚構OLエッセイ(1)
仕事終わって帰りにさ「夕飯どうしようかなー」って考えもしないくらい脳髄からの司令でスーパーに入っていくことってよくあるじゃない?
でも、わからなくない? 何を食べたらいいか。
学校ではさ
「お米の栄養素は~?」
「たんすいかぶつー!」
くらいしか食事のことを習わないし。家庭科なんて家族へ食事を作る前提だし。1人で食べる夕飯の選び方なんて習っているわけがないし。
主婦の
「今晩何食べたい?」
2010年代最高の恋愛マンガ「僕の心のヤバイやつ」
「このマンガがすごい!2020」3位を受賞した「僕の心のヤバイやつ」。
めでたい。しかし、これは明らかに過小評価だ。
確かに1位を獲得した「SPY×FAMILY」はキャラの魅力、ストーリーのアイデアが抜群であり面白いことは間違いない。ただそれは、2010年代までの過去の評価法ならばだ。
「僕の心のヤバイやつ」(略して僕ヤバ)は新しい評価基準を作る可能性がある漫画の1つなのだ。2020年代への試
2010年代最高の青春群像劇マンガ「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 」
谷川ニコ先生のマンガ「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」略して「わたモテ」は2010年代で最高の青春群像劇漫画だ。わたモテを読まないで2020年代を過ごすのは、もったいない人生を送ることになってしまう。未来にとって文化的な損失にもなる。だから是非ともわたモテを読んで欲しい。普段マンガ読まない人も、最初読んだけど途中で挫折した人も、ホントに読んで。ネタばれは最小限にするので、その想いを聞い
もっとみる「凄惨」- コンテンツ比喩辞典 #14
プライベート・ライアン冒頭約20分の戦闘シーン
スピルバーグ監督の第二次世界大戦ノルマンディー上陸作戦を舞台にした映画「プライベート・ライアン」における冒頭のシーン。
史実のノルマンディー上陸作戦の通り、オマハ・ビーチの海側から米軍兵数千人が上陸を試みるもドイツ軍の機関銃の餌食になるシーンだが、カメラに血しぶき、飛び散る足や手、はみ出す内臓、血に染まる砂浜と海など凄惨極まりない戦場が表現されて
「あきらめない」- コンテンツ比喩辞典 #13
アムロ・レイ「たかがメインカメラをやられただけだ!」
機動戦士ガンダムの最終話にて、赤い彗星のシャア操るジオングの猛攻で、アムロの操るガンダムの頭が破壊された時のセリフ。
ガンダムの世界はミノフスキー粒子の存在によりレーダーの使えない設定であるため、戦闘では直接の視覚情報が重要である。それゆえ、カメラがついていた頭ごと破壊されることは大ピンチの状況である。にも関わらず「たかが」と言い放つ不屈の
「熱くなる」- コンテンツ比喩辞典 #12
松岡修造「諦めんなよ! 諦めんなよ、お前!!
どうしてそこでやめるんだ、そこで!!
もう少し頑張ってみろよ!」
元プロテニスプレイヤー松岡修造が、しじみ漁ロケ中に視聴者に向けて言ったセリフ。この後さらに「俺だってこのマイナス10度のところ、しじみがトゥルルって頑張ってんだよ!ずっとやってみろ!必ず目標を達成できる!だからこそNever Give Up!!」という熱い言葉続く。寒いロケに熱い言葉、
「誘惑」- コンテンツ比喩辞典 #11
ジャン・バルジャンが服役後に寄せてくれた教会から銀の食器を盗む
ヴィクトル・ユーゴーの大河小説「レ・ミゼラブル」の1シーン。家族の困窮のためにパンを1本盗んだことで19年服役したジャン・バルジャンは、出所後に行き場がなくなり困っていたが、教会に迎えられ泊めさせてもらう。しかし、金を稼ぐ手がないため夜の教会から銀の食器を盗んで逃亡する。その後憲兵に捕まり教会に連れてこられるも司教は「これは彼に与え
「早すぎる」- コンテンツ比喩辞典 #10
クロトワ「腐ってやがる…、早すぎたんだ」
スタジオジブリ作成の映画「風の谷のナウシカ」のワンシーン。王蟲の群れを一掃するためトルメキア帝国軍が巨神兵を復活させるも、成熟前に強引に目覚めさせられたためドロドロと溶け始める巨神兵を見て、帝国参謀のクロトワが独りごちたセリフ。
腐ったもの、未熟なもの、早すぎた時、などの例えやパロディとして使われる。また、早すぎた時だけでなく「〇〇ってやがる、〇〇すぎ