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アスペルガーの恋【小説】

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アスペの女の子の恋愛物語。ひとよりも多くの困難を乗り越えたラブストーリーの結末は?
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2019年11月の記事一覧

私(21)、自閉症でした。

私(21)、自閉症でした。

専門外来を訪れたのは21歳の時だった。

厳しい受験競争を勝ち抜いて有名大に進学して2年が経った頃だった。
大学入試の合格により、その実力を証明し、努力も世間から認められた。
そのことは私にとってかなり自信になっていた。誰にでもできることでは無かったから。

努力すれば人並みのことはできるんだということも体感した。
それなのに、私の認知行動がやはりおかしい。

勿論勉強はできた。私立だったので推薦

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アスペルガーの恋

光太との出会い①人生で初めての私の恋人

M氏と私は大学時代から同じ授業を受け、様々な思い出を写真と共にSNSで共有していた。だからなんの授業を受けて、どこに旅行に行ったのかもそれなりに思い出話が出来るほどだ。

それなのに顔さえ合わせたことがなかった。
何度か会わない?なんて言われたけれど、それとなく話を逸らしてきた。
もし、私が大学時代、なんてことない普通の女子大生なら会っていたかも

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社会的引きこもりの女の子がSNSの不思議な友達を通じて初めての恋愛を経験する話。
外に出て「私ってこう見られているんだ。」
「私の知らない間にこんなことが起きてるんだ。」
人と深くわかり合うことを知るが、重大秘密を抱えていた。
引きこもりになった訳とは #アスペルガーの恋

アスペルガーの恋



訳もなく涙が溢れる時がある

嫌なことがあったからとかじゃなくて、これこらなにかぎ憂鬱なわけでもない

それらを堪えた経験があって、その傷が痛むみたいに心にふっと湧き上がることがある。

アスペルガーの恋

〜私という存在〜

この街から消え去りたいと思った。

私には楽しい思い出というものがあまりなかった。
人生の中での成功経験も辛うじてうかった有名大の受験合格以外はなかった。

思い出のある場所には大抵辛い過去がこびりついて離れない。

私の歩く場所全てが二度と近づきたくない場所になっていったみたいだった。
そんな風にしか人生を進めていけないことが悲しかったのに、変える方法など全くわか

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アスペルガーの恋

〜私〜

私は変わるんだ!
変わらないと本当に死んでしまう!
生きたまま死ぬんだ。生き地獄をまた味わうことになる。

私は感情を殺し続けた。

どんなに辛いことがあっても一瞬で立ち直る!
自分に暗示をかけた

切り替える!
切り替えて手を動かす!

かなり異常だが、私は世界史で見たアウシュビッツ収容所に収監されてる人になったつもりで辛いとか生きることを諦めた瞬間にもっと酷い仕打ちを受けるこ

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社会人の私!?

大企業を辞めて、ブランクをあけたものの親のつてで転職をした私は辛うじて正社員という立場にいた。

おじさんとおばさんしかいないけれど、ニッチな分野で生産性を保っていたその企業で私はかなり甘やかされていた。

私はゆりかごの中でしか生きていけないんだ。

同世代が切磋琢磨してプロフェッショナルを目指していた意識の高い環境から一転した。

同世と接することをしなくなった私は益々幼いまま

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私という存在

わたしの遺伝子が世の中の尺度と合っていないことは幼い自分にもひしひしと分かった。

それでも、やっぱり自分の性質を歪曲して世の中の尺度で評価されると嬉しかったりもした 。

私の中で無理やり変えている私の感覚や感性。殺し続ける感情。

「私」を押さえつけることが成長っていうのかなぁ…そんな風に感じた。

みんな子供のうちはできてない子が多いこと…
でも、いつしかそれは多くの場合、当たり前のことと

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アスペルガーの恋〜光太との初対面〜

光太とラインをするようになって一週間が経過していた。

ラインってすごいものでテンポよく話していると一週間しか話してないのに、かなり長く話してるように距離感を縮めることができる。

光ちゃんと初めて会うことになったのはそんな一週間後だった。

今日光ちゃんと会うことをM君に言ったら「ドキドキする〜」と言っていた。
M君は完全に私と光ちゃんの橋渡しをしていた。こういう風に「誰か紹介して」なんて言

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〜私の人生って〜

〜社会人一年目〜
大手金融機関での研修生活がスタートした頃

何百人といる同期の雰囲気は久しぶりの高校生活みたいに、クラスに分けられてスタートした。

メモにとる情報量に溢れ時間内で処理しきれない上に、集団での行動は会話が通じないこたが徐々にばれ始めていくのがわかった。

いつの日か転校したあの日みたいに、クラス替えが行われたあの日みたいに私を見る人の目が変わり始めた。

注目されていただけ

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アスペルガーの恋 〜私〜

私の人生は綱渡りみたいだった。
それか空中ブランコ?
なんと例えればいいのか、綱と綱が繋がった瞬間に渡らないと空中から落っこちてしまうようなものだった。

よくそんなのどうなるかわからないよ。
とか
運だから仕方ないよ。
なんていう人がいるけれど、

そんなざっくり考えてても人生進めていけるんだからすごいと思う。

私は虎視眈々とタイミングを狙い続ける。

私はもし後一年浪人してい

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「初めまして彼氏のいる私」

〜告白までの距離〜生まれて初めての恋人

3回目に会ったのはフランス料理の店だった。仕事帰りに2人ともスーツを着ていた。

ラインでしょっちゅう話してるから私の性格も少しずつ漏れていたかもしれない。でも、未だに仲良くしてくれていた。

料理屋を出て駅の改札で普通に手を振って別れた。

「来週から三週間出張に行く…」
M君にも光太にもこのことは伝えてあった。

その夜いつものようにラインを

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いつものことを忘れてしまう
初めての経験だとこの先何かあるのか予測する分にはいいが、

毎日やることの繰り返しだと記憶の面で偶に出てくることに瞬時に答えられない

子供の頃の私

パソコンも事務的なやり取りも、私が関わるとなぜか全て調子悪くなるみたいでした。