マガジンのカバー画像

何度も読み返したい素敵な文章の数々 vol.6

88
運営しているクリエイター

2018年3月の記事一覧

チャーハンなんか、うまくなくていい。

 フライパンの上に、サラダ油をがんと注ぐ。大さじ一杯、二杯、知らねえ知らねえ。ボトルのままどくどく流し込んだら、ひねりを一気に回して強火にしてやる。パチパチカンカンにあったまったフライパンの周りから、白い煙がひょろひょろ舞い上がってきた。

 卵を手に取って、雑多に割ったらそのままどぼん。バチバチ言いながら固まり始め、このまま炒り卵として醤油でも垂らせば1品完成しちゃう。その頃、冷や飯をぶち込む。

もっとみる

倚りかからず

反省と共に書いているのだけど、権威があるものに倚りかかることは何ともダサいことである(僕はダサいと思っているが、価値観は人それぞれです)。

倚りかからずとも、いい仕事をしていたらお客さんと人はついてくる。ダサいと思いながら権威に寄りかかることから生じる負い目の悪影響は、権威にすがることの好影響を相殺して余りある。少なくとも、僕の場合は。

何かにすがるのは、自分のやっていることに自信が無い証拠で

もっとみる
ヒーローは傷だらけ

ヒーローは傷だらけ

どうしようもないことに、いつまでも浸っていたってなにも生まれない。声をあげて上を向いた瞬間、霧の中に光が差した日。ふと、そんなことを思った。

昨日R-1ぐらんぷりで優勝した濱田祐太郎さんは盲目の漫談家。ネタの中には目が見えないことにまつわるエピソードが連ねられて、それがおもしろおかしく語られる。

賞金を意味のないことに使いたいんですよね、例えば3Dテレビとか買って、だまされへんぞ!とか言い

もっとみる
言葉とその奥にあるものと伝わらないもの

言葉とその奥にあるものと伝わらないもの

ネットで「xxの本当の発音は〇〇だから、日本もそれに合わすべきじゃない?」というのを見てちょっと考えた。

そういうことを言い出すのは英語を得意とする人たちだ。他の言語の人はあまりそういうこと言わない気がする。(英語以外は全てマイナー言語の意識があるから?フランス人は言いそうだな)

「ゲイリーじゃなくて、本当はギャリーだよね」的な。まあ間違っていないとは思うけど。言葉ってそう簡単にはいかないよな

もっとみる
愛すべきおバカ映画たち3選。

愛すべきおバカ映画たち3選。

映画っていいですよね。
知らなかったことが知れたり、
見たこともないような映像が観られたり、
物語に自分を重ねて感動したり。

楽しみ方は人それぞれだけど、
映画が持つちからって、すごい。

たくさんの映画たちの中で、
上質な人生の無駄遣いができる映画というジャンルがあります。
とても真剣に作られているのに、
観るとなぜか可笑しい。
深くない。
気軽に楽しめる。
そして観終わった後、そんなに何

もっとみる
なんで自分はこんなことやってるのかなぁ…という悩みに襲われたら。

なんで自分はこんなことやってるのかなぁ…という悩みに襲われたら。

結論から書きます。

なんであなたがそんなことをやっているのかというと、

それはあなたが「世界をよりよくする新しい”グルーヴ=うねり”を、この世界にもたらすために存在している人だから」です。

なので、そういう悩みに襲われたら、

自信を持っていまやっている「そんなこと」をやり続ければいいと思います。

これだけではあまりに乱暴だと思いますので、ここからちょっとくわしく書きます。

の前に、

もっとみる
「非日常」を味わうことの意味

「非日常」を味わうことの意味

ただひたすらに「なんてことのない日常」が目の前にあること、それはすごく素敵でかけがえのないことだな、と思う。

こぎたない居酒屋で気の置けない友人とワイワイお酒を飲んで、ああ今日もお仕事がんばったなあってベッドに入って5分で就寝して、低血圧でちょっと気だるい朝を迎えて、休日になったら行きつけの喫茶店でマスターと話しながらカフェオレを飲んで、お気に入りの映画館で見逃した映画を見て。

自分にとって、

もっとみる
不思議なあの日々のこと

不思議なあの日々のこと

「今となっては何故だかわからないんだけど」と言いたくなるような不思議な日々が人生の中にはある。

自分の価値観を180度変えてしまうくらいの衝撃を受けた本や漫画が今となってはどこがいいのか理解できなかったりするし、身を削ってでも頑張らなきゃいけないと思っていたあの頃の自分のことを「なんであんなに必死だったんだろう、かわいいな」と思ったりもするし、身を焦がすような恋愛のことだってもうすっかり思い出せ

もっとみる
脇目のススメ

脇目のススメ

会社員時代は、「細かい仕事をいくつも抱えている状態が苦手」と思っていました。
案件Aを進めている時に、つい案件Bの事が気になり、そっちに着手すると、今度は案件Cについて考え始めてしまって……という状況に陥りがちで、「Aをやってる時はAにだけ集中!」と、よく自分に言い聞かせていたんですよね。

でも今は、複数案件が同時に動いている状態も悪くないなと感じています。
案件Aについて考えたことや調べたこと

もっとみる

本屋が楽しい、そのわけは

本屋がある街に住みたい。
本屋か図書館が近くにあることは、私にとって引っ越し場所を探すときの条件のひとつでもあります。

Amazonという便利なものができてから昔に比べるとめっきり本屋に行く機会は減ってしまったけれど、やっぱりあのぎっしり紙がつまった場所の匂いは、定期的に嗅ぎに行きたくなるものです。

買うものが決まっているときはAmazonが便利ですが、一度にたくさん見た上でセレンディピティを

もっとみる

頼まれもしない仕事をしよう。

その文章を読んだが最後、しばらくのあいだ、頭から離れてくれないことばというものがある。腐れ縁の親友が部屋に居座ってなかなか帰ってくれない、そんな感じ。もちろん嬉しくて楽しんだけど、他にやることもあるんだけどなぁとちょっと厄介みたいな。今回のそんなことばはこれ。

もちろん、100%そのまんまこのことばの通りではないけれど、じぶん自身に当てはまる。しかし、当てはまるだけでは頭に居座ることはない。横尾

もっとみる
「本音を引き出す」のにたぶん必要な1つのこと

「本音を引き出す」のにたぶん必要な1つのこと

フレーズを見て何となくできそうな気になることがある。「本音を引き出す」というのもそのうちの一つだ。普段は建前やお世辞で塗り固めている人にも必ず本音があって、「何か良い方法を使うとそれがたちまち引き出せる」という前提がうっすら存在している。

私はライターの仕事で初対面の人から話を聞く機会が多く、聞き方関連の電子書籍も出しているけれど、実は「本音を引き出せます」と謳ったことはない。なぜならそのフレー

もっとみる
二人のじぶんが葛藤する。

二人のじぶんが葛藤する。

人は思い通りには動いてくれないもので…。

ぼくはいま、会社の役員や顧問をやったり、電子書籍出版社の編集長をしている。いち編集者やプロデューサーとしても動いている。仕事がらたくさんの人たちと一緒に仕事をすることが多い。結果、いろんな人に仕事をお願いしたり、アドバイスをする機会がそこかしこにある。

ときたま、友人と話をしていても、「あー、絶対こうしたらいいのに〜。もったいない!」と思うことがある。

もっとみる