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パン

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#日記

平成最後に、卒論を書きました。

平成最後に、卒論を書きました。

April 30. 2019

明日から令和。平成最後の晦日は、連休ということもあって、どこか大晦日のような気配が漂っている。メディアではこの30年を振り返る特集が目立つ。

来月発売になる『料理通信』誌の6月号で、わたしは日本のパンのシーンを振り返る、この20年の総まとめとなるような記事を書かせていただいた。

昨年末、All Aboutで編集方針が変わり、20年近く携わってきた「All Abo

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終わりなく続いていくこと

終わりなく続いていくこと

April 1, 2019

昨日、並びながら眺めていた、棚の向こう、厨房で彼女は生地に向かい、仕上げのクープを入れているところだった。見惚れてしまった。それは彼女のパンのように、ファインダーを向けたくなる素の美しさだった。
パン職人になってよかったことは、終わりのないこと、続いていくことが嬉しい。昔、彼女は言っていた。日々試行錯誤して、そうして今も続いている、のを、わたしは眺めていた。

農の仕

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ホワイトデーイブの混雑とスコーンに思う

ホワイトデーイブの混雑とスコーンに思う

March 13, 2019

ホワイトデーイブの行列欲しいものがあって、夕方のデパ地下に足を踏み入れると、よく知る場所なのに動けない。買おうと思った焼き菓子を買おうにも長蛇の列で諦めて、パン屋さんのアンデルセンでマフィンやスコーンなど買って帰る。アンデルセンも並んでいたが、お菓子屋さんほどではなかった、そのときこの賑わいは明日がホワイトデーだからと気がつく。仕方がないな。欲しかったものは帰ってか

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雨の日のクロワッサン

雨の日のクロワッサン

March 7, 2019

雨の夕方、クロワッサンを買って帰る。
普段、クロワッサンを食べる機会があまりない。朝のイメージだし、早朝から開いていて、クロワッサンを焼いている店が、近くにないから。

夕方で、ぱりぱりの層が湿気を含んでしまいそうな雨降りで、わたしは車から降りて店に飛び込んで、クロワッサンと、ついでにいくつかのパンを買い込んで、車に戻った。

クロワッサンを食べたい気分だったのだ。

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お昼はコロッケサンド

お昼はコロッケサンド

February 5, 2019

雑用をすませたあと、鰹節をきらしていたのを思い出して、いつもの店で二袋買う。自分で削ることはしないけれど、いつもたっぷりつかう。手抜きをしても、出汁だけはとるのだ。昔、憧れた綿菓子のように大きな袋を抱えて、贅沢な気持ちになる。

乾物店のはす向かいに精肉店があり、メンチカツが人気で平日でも行列ができている。メンチカツを買わないひとは並ばなくてよいので、コロッケを

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唯一無二であること

唯一無二であること

February 2, 2019

わたしたちはみんな、ひとりひとり違っていて、かけがえのない存在だ。それは学校や企業に所属していてもそうだけれど、個人で独立して店など開業し、長く続けていくためには、他では代替できないモノやコトを提供していることをお客に認識してもらうことが、より大切になってくると思う。製造業であれ、サービス業であれ。たんに消費されるだけではなくて、必要とされるために自分ができるこ

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パンは楽しい

パンは楽しい

January 26、2019

「パンがなければお菓子をお食べ」とのたまっても、誰もなんとも思わない時代、パンとお菓子との境目があやふやな国。わたしたちは、パンがなければお菓子を食べてもいいし、米の飯や蕎麦を、あるいは糖質は抜きにして、肉や魚や野菜だけを食べてもいいのだ。もはや日々の糧でなくなったパンが多様化し、美食化した話は、昨年書いた。

そしてわたしは、日々の糧としてのパンに想いをよせてき

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ヨル15℃な夜

ヨル15℃な夜

January 22, 2019

「note 読みました。今度お茶でも」
と誘ってくださった方と、代々木八幡の15℃へ。彼女は最近、大手出版社から独立して、颯爽と新しい一歩を踏み出したひとだ。

15℃というのは地球の平均気温なのだそうで、世界にはさまざまなひとがいるという多様性を認め、調和を求める店の姿勢を表している。15℃はベーカリーレストランだが、18時からはヨル15℃と名前を変えて、日本

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家から一歩も出ずに

家から一歩も出ずに

January 19, 2019

家から一歩も出ない週末。友達が来て通信環境やMacまわり、というか、複雑に絡み合ったコードのようになっているわたしの頭の中を整理整頓するのを手伝ってくれた。古代のひとかと疑われながらも、10時間みっちりスパルタ教育を受けて、明治のひとくらいまでは文明開化したようです。明治の女性は強くて憧れるけれど……今年は友達に助けられてばかりいる。

そんな日のお昼は、ロデヴ

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どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人か言いあててみせよう

どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人か言いあててみせよう

January 11, 2019

立教大学観光学部で辻調理師専門学校の小山伸二さんが講師を務める「ガストロノミーと観光」の授業、「ガストロノミーとパン」の今回、ゲスト講師として呼んでいただいた。何百人もの学生の前で話をするのは初めてのことだった。

受講する学生たちは20歳前後で、デジタルネイティブで、彼らの幼少時にはもう、日本はクープデュモンド(製パン技術を競う世界大会)でその技が世界一に選ば

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