ドバイで2,000円の味噌汁を飲んだ話
ドバイにいる。つくづく味噌汁が飲みたい。
灼熱、高層ビル、驚くほど高い物価、アラブ人、成金、ガーシー、与沢翼。
そんなもの、私に関係なかった。私はただ、仕事の成り行きでドバイにいるだけなのだ。
ドバイに来て四日目。
普段、慎ましい食生活をおくっているのが祟って、私は貧乏くさいものを口にしたくて仕方がなくなっていた。接待の食事には飽き飽きしていたのだ。
「ドバイ 味噌汁」気が付けば、私は検索エンジンにそう打ち込んでいた。
幸運なことに、場所はすぐ近くみたいだ。
ついてみると、そこはラグジュアリーなホテルだった。どうやらホテルが運営している和食屋さんらしい。
メニューを見て絶句した。なんと味噌汁一杯が日本円にして2000円もするのだ。
しかし、もうあとには引けない。
どんな味噌汁が出て来るのか。
金箔でも浮いているのだろうか。ロブスターでもぶち込まれているのか。
期待ばかりが膨らんでいく。
そうこうしている間に、ボーイが一杯のお椀をサーブした。
味噌汁だ……。
そうだった。私は味噌汁を頼んだのだった。
「ドバイの味噌汁」なんていうから、エキセントリックなミソスープが出て来るかと思ったら、日本の定食屋で出てきても不思議ではない代物だ。
お椀こそエキゾチックだが、具は豆腐とネギとワカメだけ。むしろ日本のこじゃれた定食屋さんなんかより、よっぽどいさぎが良い。
ふと、顔を上げる。ドバイの夜景が広がっている。頭が混乱しそうだ。
唯一ある問題は量だった。お椀3杯分はある。飲んでも飲んでもなくならない。
「ドバイの味噌汁」、あまりにも無骨すぎる……。
飲み終わったころには、私のお腹はたぷたぷになっていた。
「ルポ〇〇の世界」ドバイ支局からは以上である。(高)
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