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【組織開発・戦略人事のプロが徹底解説!】"メンタリング" 導入における成功の鍵とは?

現代のビジネス環境はますます複雑化し、迅速な変化が当たり前となりつつあります。この変化は、技術の革新的な進歩、グローバルな市場の拡大と競争、曖昧で俊敏な環境変化への新たな課題や挑戦など、多岐にわたります。

その様な状況下において、企業は、今までとは異なる新たな視点と手法で人財を特定・育成し、組織全体を活性化させる必要があります。ここで、その手段のひとつとして注目すべきなのが「メンタリング」。ただし、従来の視点とやり方でただ導入するのではなく、その効果を最大限に引き出すためには、"戦略的かつ綿密なプランニング" や "関係者の適切な巻き込みと当事者意識の醸成" が必要不可欠です。

今回の記事では、数々のグローバル企業において、約17年間、「組織開発と戦略人事」をけん引し、国内外に対して『メンタリング・プログラム』の戦略的導入を主導してきた実体験と実績から、ビジネスにおいて有効になり得る『メンタリング』の導入アプローチと、その導入に際して成功するために必要とされる具体的Tipsについて深堀りをしていきます。


<ご参考に>
「メンタリング」と混同されやすい「コーチング」については、こちらの記事をご覧ください!




1. メンタリングとは

「メンタリング」とは、時間の経過とともに一方が他方の成長を助ける、互いの成長を願う2人の個人(メンターと、メンタリングを受けるメンティー)の関係の上に成り立つプロセスです。

メンターは、メンティーに対して、専門知識・価値観・スキル・視点・経験などの共有をすることで、メンティーが仕事をするうえで、または、キャリア開発などにおいて、大きな変化を起こすことを助け、今の役割や将来の役割に備えることに役立たせます。
 
メンターとは、コーチ、ラインマネージャー、カウンセラーではなく、アドバイザーやガイドの様な立ち位置で、メンティーが抱える課題や未来に描く姿に対して、適切な経験・行動特性・ビジネスのマインドセットなどを持ち備えた立場の人です。
 
また、メンティーに関しては、メンターとの時間を通して、自身の将来の役割や社内でのキャリアにおいて、重要となる要素をさらに学ぶことでベネフィットを得ることができる、あらゆるレベルの方が対象となり得ます。たとえ、プログラム自体が会社から提供されるものであったとしても、メンティーは、"研修を受けるという立場” で臨むべきではありません。メンティー自身が、この貴重な機会に対して、真剣に臨み、準備をし、ゴールに向けて、その期間、充分にコミットすることから全てが始まると言えるでしょう。
 
 
では、メンターとして適任な人って?>

私自身、外資系企業でHR責任者を歴任していた際には、日本法人内のみならず、APAC(アジア太平洋地域)各国法人の Future Leaders(ポテンシャルのある将来のリーダーシップ層の候補タレントの方々)に対しても、「社内メンター」として、当時はSkypeを活用して、国内外の複数人に対してメンタリングを提供していました。また、HR責任者として、 Future Leadersの個々に対して、適任のメンターをアサインする責任も持っておりました。そして、今では、「社外メンター」として、大手企業の組織リーダー、CHRO(最高人事責任者)などのHRリーダーを目指す方、スタートアップ企業の経営者、起業家など、多岐に渡る複数の方々に対して、メンタリングを日常的に提供差し上げています。

それらの数多くの豊富な経験から、「メンター」とは、次のような人が適任であることが多いと考えています。

  • 自身が長年のキャリアの中で蓄積してきた経験・ビジネス知識・ノウハウ・ネットワークなどを、自身の中だけで留めることなく、キャリア開発や成長を希望する人に対して、進んで共有することに意欲的な、メンティーよりも上位職位者に当たる人

  • メンター自体が情報源としても効果的に機能するために、メンティーを支援できる優れたビジネスネットワークを持つ人

  •  メンティーの未来に焦点を当てた関係性を築くための時間を、積極的に確保する意欲が高い人

  • メンティーを、誠実さと情熱を持って、中長期的かつ継続的な関係で支援できる人


2. メンタリングのフォーメーション

次に、組織でメンタリングを導入するにあたって、コアとなる各登場人物の役割を見ていきましょう。

次の4つの基本フォーメーションを整え、それぞれにおける役割を明確にしておくと良いでしょう。以下で、推奨フォーメーションを示します。

<①メンティー>

経験豊富なメンターの関与による体系的なキャリア開発から恩恵を受ける対象者です。 メンティーは自分自身の成長に責任を負います

<②メンター>
メンティーが、ビジネスの認識と知識・行動特性・ビジネスのリーダーシップ・ステークホルダーなどについて深く理解できるよう支援する人です

<③ラインマネージャー>
メンタリングによって成長する部下への関心を持ち、部下がメンタリングに時間と努力を費やすことへの最大の理解者であるべき人です。また、必要な場合には、支援を提供する責任がある人です

<④メンタリング・チャンピオン>
メンターとメンティーをサポートおよびガイドし、進行中の全てのメンタリングでの概要や進捗を把握する人です。また、メンターから求められる情報を提供し支援する人です。HR(人事)機能が整備されている組織では、HRBP(戦略的人事ビジネスパートナー)が担うことが多いです


3. メンタリング実施でのベネフィット

では、そもそも、個人・組織、それぞれが時間や労力、場合によっては予算を投じるこの「メンタリング」におけるベネフィット(恩恵・有益となること)って何でしょうか?

断言できるでしょう! メンタリングを導入することで、"個" と "組織" 双方に様々な効果とベネフィットをもたらします

以下、その主なものを挙げてみます。

<①メンティー向け ベネフィット>

  • 上位職位者からの情報・ガイド・アドバイス・ネットワークなどに触れたりアクセスしたりできる、またとない貴重で有益な機会になる

  • 新しい役割、未知のビジネス分野、見えていない上位層の視座、組織風土への適応など、ステップアップした領域に踏み出す未来の挑戦機会になる

  • 自身の特性・強みへのさらなる理解と、能力開発の必要性についてのより高い自己認識を持つ機会になる

  • 部門・職務特化のテクニカルなスキルの改善や向上の機会になる

  • 部門横断的なプロジェクトや連携に踏み込んでいくきっかけになる

  • 新しい発想・イノベーション・リーダーシップを自身に取り入れる方法についての理解を深める機会になる


<②メンター向け ベネフィット>

  •  他者(特に後進)が成功するために、どのような知識や情報が必要かについての理解を深める機会になる

  • 自身が培ってきた経験値や専門的スキル、対人スキルやネットワークなどを、改めて自己評価できる機会になる

  • 「知っていること」と「それを知らない人に教えること」の違いを体験することで、自身の成長機会にもなる

  • 重要なビジネス知識やノウハウを後進に共有することで、長期的に会社に「知」を蓄積することに貢献できる機会になる


<③ラインマネージャー向け ベネフィット>

  •  他部門の上位職位者から、メンティー(部下)に対する客観的意見や共有を受けることで、違った視点で気づきを与えてもらえる機会になる

  • メンティー(部下)の今後の変革フェーズ(異動・昇格・チャレンジ機会など)が効果的になる可能性が高まる

  • メンティー(部下)の オーナーシップとエンゲージメント(ビジネス意識・当事者意識・会社への参画意識など)の向上機会につながる

  • 自身の後継者特定と育成の有効な手段のひとつになる


<④会社向け ベネフィット>

  • 将来の組織リーダーとなる候補人財を、より迅速かつ深いレベルで、新しい役割に導く機会になる

  •  全社横断的に、メンターとラインマネージャー間、並びに関わる皆の関係構築や協力体制が向上する機会になる

  • ビジネス上の重要な情報の属人化から脱却し、組織的にそれらが蓄積され継承されていく機会になる

  • 実績を上げている組織リーダーからの実証されたリーダーシップ行動が、将来の候補者たちに波及する機会になる

  • 部門横断的に、対話が育まれた組織風土が醸成されていく機会になる


これら全ては、長年のグローバル企業でのHR責任者として、組織内でメンタリングを導入・推進してきた私自身の実体験から、実際に、"個” と "組織" に与えることができたと実感しているベネフィットです。

もちろん、組織フェーズ・外的/内的環境・登場人物などで、その実感は異なるかとは思いますが、これだけ見ても、上手く作用させることで、メンタリングのプログラムを組織に導入するメリットは非常に大きいものだと、ご理解いただけるかと思います!


4. メンタリングで期待されること

次に、それぞれの立ち位置に「期待されること」を見ていくことで、メンタリングに各自が向き合っていくべき姿をイメージしていきましょう。

<①メンターに期待されること>

メンタリングを成功に導くためには、たとえ些細なことであってもメンティーにとって重要だと思えることについては、メンターが見逃さないことが重要です。決して、メンターの負担が大きいという心理的ハードルやバイアスを持つことなく、費やす時間やエネルギーに対して創出される中長期的な効果やメリットが、メンティーのみならず、組織全体、そしてメンター自身にも膨大になる可能性を秘めているという気持ちで臨むことが成功に近づく鍵のひとつかもしれません。

成功のためには幾つかの行動が必要です。
次のことを考慮して進めてみると良いでしょう。

  • メンティーと一緒に、目指す姿や目標を特定し、それらの目標に協同で取り組むことを約束しましょう

  • それらの目標が、メンティーにとって適切な能力開発であると考えられるものかどうか、またはビジネスの優先事項と一致しているかどうかを確認しましょう

  • 毎回のセッションの時間を確保することを重要視しましょう(ペースは、2週間に1回、もしくは月に1回 / 1回あたりの時間は、45-60分程度が適当)

  • 知見や経験を自身のものだけに留めるという狭い気持ちを解放し、自身の経験に基づいて、メンティーに役立つことは惜しみなく共有しましょう

  • 2人の対話の内容で機密とすべきことは、たとえメンティーのラインマネージャーに対しても、機密を保持しましょう

  • メンタリング内で双方向にすり合わせて合意した方向性 (話し合ったテーマの大枠や、進捗など) をチャンピオン(HRBP)に適宜、共有しましょう

  • メンティーが成長するうえで役立つ課題や行動などについては、メンティーに、ストレッチさせる挑戦を与えてみましょう

  • メンティーのために、心理的に閉ざされたドアを解放したり、上位層などのネットワークにつなげたりするなどの支援をしましょう

  • その場で見聞きしたことについて、前向きな意見や建設的・発展的な意見など、正直なフィードバックをしてみましょう

  • チャンピオンから依頼されるドキュメントへの記録などには、責任を持って協力しましょう


<②メンティーに期待されること>

メンタリングを成功させるには、メンティーが自分自身の成長に責任を持つことが絶対的に求められます。メンティーの成長を、メンティーに代わってメンターが全責任を持つという目的で組むことはありません。メンターは、メンティーが到達する必要がある場所に到達できるように支援するために存在するのです。あくまで、メンティーは「自分の成長には自己責任を持つ」意識を忘れずにしましょう。

進めるうえで、メンティー側は次のことを意識すると良いでしょう。

  • メンターと一緒に目指す姿や目標を特定するために、関係性構築を大切にし、自己開示をしましょう

  • それらの目標が、適切な開発と考えられるか、またはビジネスの優先事項と一致しているかを、常に意識しましょう

  • 毎回のセッションの時間を確保する責任を持ちましょう(日時・場所を設定するのはメンティーのオーナーシップで進めるべき)

  • 事前準備をして、当日はメンターに積極的に質問をして、オープンな対話を心掛けましょう

  • 2人の対話の内容で、ラインマネージャーであっても機密とすべきことは、その旨をメンターに適切に伝えましょう

  • メンターからの体験・知見などの共有やアドバイス内容が不明瞭な場合は、正直にメンターに伝えましょう

  • メンターがつないでくれるネットワークやイベント・活動などには、放置などせずに、適切にコンタクトしましょう

  • メンターが話す内容などで気になることがあれば、正直にメンターにフィードバックしましょう

  • チャンピオンから依頼されるドキュメントへの記録・提出などには、責任を持って取り組みましょう

  • 自己の成長のために、会社や多くの関係者が注目と努力を注いでいるという意識を忘れないようにしましょう


<③チャンピオン(HRBP)に期待されること>

チャンピオンには、プログラム内で果たすべき明確な役割があります。チャンピオンは、メンタリングのプログラム全体に目を向けて、関係者の方向性、連携、コミットメントを維持・向上することに努めることが求められます。

具体的には、次のことをチェックリストとして考慮すると良いでしょう。

  • 組織リーダーなども巻き込んで、メンターとメンティーの選択とマッチングのコーディネーションをしましょう

  • メンター対象者がメンターとして成功・活躍できるように、必要に応じて、メンターのコーチ役になりましょう

  • プログラムに付随するプロセス、方法、ツールの使用方法などを適切に対象者に説明し、支援しましょう

  • メンタリングでの成功事例を、メンターやメンティーから収集することで、プログラムの価値を向上させましょう

  • 経営陣・組織リーダーに適宜情報共有をし、必要な同意や積極的な支援を得るようにしましょう

  • メンティーが抱える可能性のある潜在的な課題・リスクに対するセーフティネット窓口として機能しましょう

  • メンティーから提出されるドキュメントを必ずチェック・フォローして、プログラムの改善に活かしましょう

  • 必要であれば、どこかのタイミングで、メンター間の対話会などのコミュニティーを形成するのも良いでしょう

  • メンタリングの全ての対象者のテーマ概要を把握し、最終的にプログラム全体の成功の測定をしましょう(*7章で詳しく触れます)


5. メンタリングでの議題事例

メンタリングの焦点は、将来の組織リーダー候補者が、今後の新しい役割や挑戦に対して、積極的、且つ前向きに前進していけるよう支援することです。その結果、ビジネス意識とリーダーシップの意識を高め、個々のパフォーマンスを向上させることでチーム力も高まり、サステイナブルに組織と事業が目標を達成し、成長し続けていくことにもつながるのです。
 
メンタリングのセッションでは、次のようなテーマが取り上げられることが考えられます。

  • 組織リーダーとして、もしくは将来の経営層としてのリーダーシップ行動への意識醸成

  • 会社が掲げるミッション・バリューなどへの、組織内での体現方法

  • 部門横断的なコラボレーションや全社的プロジェクトの参画・推進に向けて

  • マネージャー/チームメンバーという1層だけではなく、将来的に経験を積むであろう、2層または3層のチームマネジメントに向けて

  • テクニカルな知識、専門的知見などのインプットを通して、今後のビジネス意思決定力の向上

  • 組織リーダーとして、影響力があり、動機付けができるようなパワフルなコミュニケーション・対話力の向上

  • 社内外のステークホルダーマネジメントの方法

  • 社内外のキーパーソンなどとの接点の取り方や、効果的、且つ良好な関係性構築について

上記のようなテーマ例も参考に、メンターは、メンティーのWill(意志・ありたい姿)をしっかり確認し、メンティーのラインマネージャーともすり合わせをして、個々に合わせたテーマ設定をしましょう。


6. メンタリングの機密保持について

メンターとメンティーの関係性が信頼性あり誠実であるかどうかは、メンティーが成功を望むだけでなく、願望・懸念・弱さ・不安・疑問などもメンターに共有しようとする意欲にも掛かっています。

そのため、両者で機密として話した内容がある場合、この関係を越えた外で情報展開や議論がなされると、メンティーからの信頼関係と尊敬は一気に崩れ、プログラム自体が失敗する可能性が高くなります。その観点で、メンターとメンティーの関係は機密保持の一種とも言えます。

<機密保持の例外>
全メンタリングプログラムに共通する機密保持の "例外" は、メンタリングの対話の中でメンターが発見した、メンティーが違反しようとしている潜在的なコンプライアンスまたは法的問題・労務的問題がある場合です。

これについては、どのような場合でも、メンターは直ちにチャンピオンのところに伝えに行く必要があります。チャンピオンはこれらの問題の解決を支援します。これは、会社だけでなく関係者全員を保護するために必要なことなのです。
 

7. メンタリングの成功の測定

この記事の冒頭で「ただ導入するだけではなく、その効果を最大限に引き出すためには、"戦略的かつ綿密なプランニング" や "関係者の適切な巻き込みと当事者意識の醸成" が必要不可欠」と述べました。

メンタリングが、"個” と "組織" にとって大いなるベネフィットをもたらすためには、さらには、このプログラム自体が継承され、次につながっていくためには、プログラムの成功を測定することが、とても大切なことであります。

メンタリングの期間が完了する際には、メンターには、主に、次の2つの成功の測定に関与する責任があるべきだと考えます。

① メンティーの目指す姿に対する成功
② ビジネス・組織におけるメンタリングのプログラム自体の成功

 
では、以下で、それぞれを見ていきましょう。


① メンティーの目指す姿に対する成功

メンティー自身が、当初描いていた目標に対する成果・成功をどのように評価しているかについて、メンターは確認し、同意する必要があります。

その例としては次のようなものが考えられますので、チェックリストとして参考にしましょう。

  • 新しい役割・タスク・今後の挑戦に対する動機と自信の変化はあるか?

  • 360 度評価(適用される場合)、または関連データ(エンゲージメントサーベイなど)でのポジティブな変化感や動きが出ているか? また、メンティーはそれに対してどう感じているか?

  • つながりのネットワークが強化されたか?

  • より幅広い視野・洞察を持てたか?

  • ビジネス面で、会社の戦略的取り組みの一員として参画できているか(もしくは意欲が出てきたか)?

  • 全社横断的なプロジェクトに参画できているか(もしくは意欲が出てきたか)?

  • 部下育成に対する意識と行動に変化感が出たか?

  • メンティーとしてメンタリングを体験することで、今後は、自身がメンターになりたいと思えたか?


 ② ビジネス・組織におけるメンタリングのプログラム自体の成功
次に、チャンピオン(HRBPなど)がプログラム全体の成功を測定するのに役立つメンティーのデータを、メンターはチャンピオンに提供する必要があります。チャンピオンはそれを分析・統合し、スポンサー(経営層)に共有することで、プログラム全体の成果を測定し、次の組織開発・人財開発に活かすことが大切です。

これらの例としては、次のようなものがありますので、チェックリストとして参考にしましょう。また、これについては、プログラム終了後に、メンターが、メンティーについて記憶がフレッシュなうちに迅速に作成し、チャンピオンに提出することが大事です(10営業日以内を推奨)。

  • 将来のリーダーシップ候補としての、次の役割・挑戦へのレディネス・覚悟感

  • 将来のリーダーシップ候補としての、メンティーが発揮できている強み・意識すべき改善領域

  • リーダーシップコンピテンシーのニーズに対するスキル・経験の習得度とその習得スピード傾向

  • 会社のバリューやリーダーシップの行動・振る舞いに対して観察できたこと

  • チーム内で醸成される組織風土や、チーム内の主要メンバーのリテンションへの影響変化

  • 次期社内メンターになる素養・レディネス、また、その根拠(強みや活かせる特性など)

上記のような視点で、メンティーの変化と成長をメンターはレビューし、チャンピオン(HRBPなど)に共有をし、チャンピオンは、統合・分析し、スポンサー(経営層)に報告し、会社として次につなげていくことが大切です。


8. 最後に

今回取り上げた事例なども参考にして、まずは、自社の将来のリーダーシップ層人財の特定と育成における、現在の手段や取り組みを見つめ直す機会にしてみると良いでしょう。

自社が適切なタイミングとプロセスで、将来のリーダーシップ層候補人財の特定と育成ができていくことが、その対象者が、将来的に、経営者や経営陣として会社をサステイナブルに継承していく可能性を高めることにつながることでしょう。結果、それらの人財が、経営面・事業面・組織面・人財面における「目的」「目標」「課題」の3つを見極めて設定する力を持ち、経営資源・資本である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を的確に動かす権限を持ち、自社の今後の成長と発展に深く関わっていけることにつながります。その結果、広い視野で見ると、社会に必要とされ、安定的に成長できる企業を作り、従業員には安心安全で日々働ける環境が提供されることにつながるのです。


私の実体験からの共有で恐縮ではありますが、本記事を通して、組織開発や人財開発、または経営に携わる皆さまにとって、従来の『メンタリング』の視点と手法から、一歩前進するためのヒントのひとつにつながるようであれば嬉しく思います。また、今後、メンタリングを受ける機会に恵まれる方にとっても、有益な事前情報になるようであれば、嬉しく思います。

私が昨年 2023年3月に設立した 株式会社EpoChでは、"経営視点での戦略立案” と "実務推進” 双方が伴う "3つのパートナーシップ事業” として、①伴走型での組織開発、②戦略人事、③コーチング・メンタリング  の提供をしています。

①【組織のパートナー】組織開発アドバイザリー
経営戦略に連動した最適な組織戦略の立案と導入におけるお悩みを、長年の事業会社での実務とリーダーシップ双方の経験を生かして、組織の中に入り伴走解決いたします。
⇒ <直近実例> エンゲージメント向上施策全体の支援 / 組織のパーパスと個人のWillの紐付けの施策推進 / サクセッションプラン導入から後継者人財特定と育成の推進 / 社内メンタリング・プログラムの構築と導入 / 評価制度改定の推進 etc.

②【人事のパートナー】戦略人事・CHROパートナー
東証プライム市場上場企業CHROと外資系企業HRの豊富な経験から、経営視点と実務推進双方が伴う戦略人事・CHRO代行、HRメンター、人的資本に関する顧問・社外取締役などを承ります。
⇒ <直近実例> CHROを目指す方への1on1メンター / 大手日系企業で人的資本経営に繋がる戦略人事立案と実行を推進 / 中小企業とスタートアップ企業でCHRO機能として週に数日間実働 etc.

③【個のパートナー】コーチング・メンタリング
より一層人間性豊かで優れたリーダーとして周囲に肯定的な影響を及ぼすよう、事業会社での豊富な組織リーダー経験と国際コーチング認定の知見から伴走いたします。
⇒ <直近実例> 外資系企業の幹部候補の方へのリーダーシップコーチ / 大手日系企業の本部長・部長へのエグゼクティブコーチ / スタートアップ若手経営者への伴走型ビジネスコーチ / 外資系・日系企業、それぞれでの将来のリーダーシップ層候補人財へのメンター etc.

上記の通り、今回の記事に挙げた『メンタリング』に関しても、企業内への導入~実行推進の支援や、社外メンターとしてメンタリングを提供したりと、個々のお客様のニーズにしっかりと向き合って、誠実さと情熱をもってご支援中です。

ご質問やご依頼のある方は、当社website内の「Contact」ページより、是非ともお気軽にお問い合わせください!

<EpoCh Ltd. website>


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外資系17年(HRトップ 7年)とプライム市場上場企業 Global CHRO(最高人事責任者)経験の私が「誰もが独自性を強みとして持ち、新しい無限の可能性を秘めている」を自身のコーチング哲学に、2023年3月 起業をしました。サポートくださる方々と一緒に日本を元気にしたいです!