2021年11月の記事一覧
毎日読書メモ(179)『私の中の男の子』(山崎ナオコーラ)
まだ11月で、今年の総括をするにはちょっと早いけれど、今年のわたしのエポックメーキングだった出来事のひとつは山崎ナオコーラの再発見であった、と言える。『肉体のジェンダーを笑うな』(2020年発表)に驚愕し、『鞠子はすてきな役立たず』(2019年)でダメ押しをされた感じ(発表順は逆だが)。作者プロフィールに「性別非公表」と書いてあり、ジェンダーへの違和感が上記2作にもあらわれているが、2010-20
もっとみる毎日読書メモ(178)『団体旅行の文化史』(山本志乃)
しばらく前の朝日新聞の書評欄の情報コーナーに山本志乃『団体旅行の文化史 旅の大衆化とその系譜』(創元社)という本が紹介されていて、文化史の本好きなので、早速読んでみた。作者は神奈川大学教授だが、長く、旅の文化研究所(近畿日本ツーリストが運営している研究機関)で研究活動をしていた人で、その前は千葉の館山市立博物館で学芸員をされていたということで、ご本人のこれまでの研究成果を踏まえ、更に多くの資料にあ
もっとみる毎日読書メモ(176)『三月は深き紅の淵を』(恩田陸)
恩田陸の「水野理瀬」シリーズ第一作。『三月は深き紅の淵を』(1997年、短編)の後、
『麦の海に沈む果実』(2000年、長編)
『黒と茶の幻想』(2001年、長編上下巻)
『黄昏の百合の骨』(2004年、長編)と続き、今年、
『薔薇のなかの蛇』(2021/5/26)が刊行されたらしい。読まねば!
2001年7月の日記より。
恩田陸『三月は深き紅の淵を』(講談社文庫)。理瀬シリーズ第一作。
タ
毎日読書メモ(173)英国中上流階級と多産
2006年3月、映画「ナルニア国物語」を見てきた直後の日記。
映画「ナルニア国物語」を見て来ました。
原作に忠実に作られていて、よくも映像化したものだと、感心しながら見ました。
原作ものなので、ネタを割りますが、この物語の主要なテーマのひとつはきょうだいの相克です。
長男風を吹かす兄ピーターへの、次男エドマンドの憎悪心が、ナルニア国の中で、悪につけ入られる隙となり、ナルニア解放への道を困難なも
毎日読書メモ(172)山本文緒追悼:『シュガーレス・ラヴ』
山本文緒追悼その2で『シュガーレス・ラヴ』(集英社)を読んだ。「小説すばる」の連載だったので、集英社から単行本が出て、集英社文庫になったが、現在は角川文庫。ぱっと見たところ、多くの山本文緒作品が角川文庫に集約されているようだ(一部ドル箱的な作品が文藝春秋と新潮社に残っている)。
主に女性が苦しむ病気をテーマとした短編集。扱われているのは骨粗鬆症、アトピー性皮膚炎、便秘、突発性難聴、睡眠障害、生理
毎日読書メモ(171)『シーソーモンスター』(伊坂幸太郎)
伊坂幸太郎を新刊で追い続けるのは結構大変なので(図書館で予約して待っているといつまでも順番が回ってこず、他の本の予約が出来なくなる)、あんまり新刊情報に敏感になりすぎないように気を付けているのだが(と言いつつ今日の新聞に『ペッパーズ・ゴースト』の書評が出てきたのが気になる、すごく気になる)、一昨年刊行された『シーソーモンスター』(中央公論新社)が図書館の棚にあるのを見て、うわ、存在すら気づいていな
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