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とりとめのない感想文

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本が中心になるとは思います。
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#かんそうぶん

口笛とまばたき

口笛とまばたき

最近読んだ本の話

紙↑Kindle↓

2冊とも重松清さんの本で、積読と言うか昔読んだけどあんまり記憶に残っていなかったもの、だと思う。

「四十回のまばたき」は売れない翻訳家が妻に不倫されて奥さんが事故で死んでその妹の季節性うつ病みたいな子(耀子)と寝て子どもができて、翻訳した本の原作者のチェーンソーが似合いそうな熊みたいな男に気に入られて励ましあってなんだかいい感じって感じの話。
耀子の言う

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僕の中の壊れていない部分/白石一文(2)

僕の中の壊れていない部分/白石一文(2)

感想文を書くためにパラパラと再読しているわけですが、やっぱりすごい本だなあと思います。
だって、直人にも枝里子にも雷太にもほのかにも、大西夫人にも朋子にも拓也にも寺内にもパクイルゴンにも、どこかで共感できてしまうから。
共感というよりかは、私の中に彼らがみんな住んでいるかのような、そんな錯覚を起こす。そう感じるように、誰もが共感してしまうように書かれているのかな、なんて思ったりもするけれど、私はま

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僕の中の壊れていない部分/白石一文(1)

僕の中の壊れていない部分/白石一文(1)

7年くらい積読だった本。
そろそろ本棚をどうにかしなければならないので、読み終わった本は人にあげたり図書館に寄贈したりしようと思う。Amazonとかブックオフで売ってもいいけど、好きな本は届いてほしい人に届いてほしいし、まずは知人から布教していきたい。16年くらいお世話になってる区も好きだから、好きな区の好きな図書館に好きな本があるといいな、とも思うし。まあ単純に売るのが手間だっていうのもある。た

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個人的な体験/大江健三郎(3)

個人的な体験/大江健三郎(3)

文庫↑
Kindle↓

読み終わりました。

この小説のプロットとかテーマとかについて私に語れることはほとんどありません。
だって私は子どもを産んだことも産ませたこともないし、その子どもが脳に異常を抱えていたなんて経験ももちろんないし、ていうかまだ独身だし。玉山鉄二ください。

だからなんというか、妻やその義両親との関係性に悩んだり、子どものために夢を諦めなければならないと落胆したり、異常のある

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個人的な経験/大江健三郎(2)

個人的な経験/大江健三郎(2)

文庫↑Kindle↓

主人公のバードは、アフリカ旅行を夢見ていた。けれども赤ん坊ができたのでそれを諦めかけていた。
けれども。
生まれてみるとその赤ん坊は脳ヘルニアだった。
脳みそが飛び出ていて、ちょうど頭がふたつあるように見える、らしい。

なかなか大変そうだなあなんて思っている暇もなく、医者や看護婦(古い本なので婦という表記)はバードを嘲笑する。可哀想とか大変そうとかではなく、あんな子どもを

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個人的な経験/大江健三郎(1)

文庫↑Kindle↓

まだ読みかけなんですけど、とりあえず書いてみようと思います。

今は主人公のバードが火見子の部屋でウイスキーを流し込んでいるあたりです。
そこで火見子は「多元的な世界」について語る。
ーー人は生きるか死ぬかの経験をしたとき、今生きていると認識している自分とは別に、死んだ方の自分もまたいて、その死んだ自分をとりまく世界も存在して、そんな、死んだ世界も並行して進んでいっていてー

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ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか/アレン・ネルソン

紙の本↑Kindle漫画↓

午前中に図書館へ出向いたら、この本と再会した。

中学生の頃、学校の図書の先生(司書さんという認識はまだなかった)がお昼休みになると、中学校舎のカフェテリアと呼ばれる、飲食スペースのようなところにお勧めの本をいくつか持ってきてくれていた。

私の通った女子校は生徒の半分以上が男みたいな髪型をし、スポーツをやっていない子はほとんどおらず、まあとにかく活発で落ち着きがなく

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