記事一覧
“完璧なセットリスト”とは何か──200曲以上の引き出しを持つGRAPEVINEが設計した今
7月8日、Zepp DiverCityで行われた「GRAPEVINE tour2021」を観た。
この日は、東京に4回目の緊急事態宣言発令が宣言された日。適用は7日12日以降ではあったものの、「もしかするとライブがキャンセルになってしまうのではないか」という直近の不安と、「いつまでこんな日々が続くのか」という将来への不安を改めて覚えた瞬間でもあった。
雨のなか、お台場へ向かう。なんとか無事にラ
「これは水です」 ウォレスの卒業式スピーチの要約と考察
GRAPEVINEの15thアルバム『ROADSIDE PROPHET』に、「これは水です」という曲が収録されている。
「これは水です(原題:THIS IS WATER)」は、作家のデヴィッド・フォスター・ウォレスが2005年、ケニオン大学で行った卒業式スピーチのタイトルだ。
このスピーチは2010年、タイム誌で「ベストワン」と評されたことで有名になった。また、GRAPEVINEファンであれば
社会の痛みはどこにあるのか? 女性蔑視発言、BLMから考える"文脈の解釈"
森会長の問題発言、そして謝罪会見からおよそ1週間が経過し、2月12日、辞任を表明するに至った。
関連ニュースをチェックするなか、私が時折利用しているニュースサイトのコメント欄では、ある一定数の同意見があることに気づいた。
それは「“老害”というくくりをやめろ」という、ある種の抗議意見だ。
もちろん、不必要に無関係の人間を傷つけるべきではない。また、あらゆる意見はインクルーシブされるべきだと考
#12. くだらない未来だってわかってるけど
7月に「男性脳・女性脳とジェンダーの関係」という記事を書いた。
SEO効果もあって(現時点で「男脳 女脳」で検索順位1位)、今私が公開している記事では、直近1ヵ月で最も読まれているものだ。
この記事は、「話を聞かない男、地図が読めない女」に代表されるような、従来の男脳・女脳の価値観に疑問を呈す内容になっている。そして、先人の研究結果などを引用させていただくかたちで、男脳・女脳は生来的なものでは
#11. 女性が主体性を持つと叩かれるのか
先週、ATSUGIと日本モンキーセンターのSNSが炎上した。
前者は、タイツフェチイラストを使ったプロモーションで、後者は、女性の来場客の年齢差にふれる投稿をしたことで、それぞれ「性的搾取」「女性蔑視」と紐づけられ広まっていった(ただし、個人的には大多数がいわゆる“ツイフェミ叩き”のツイートだったように思う)。
この件に関してはさまざまなテレビ・ネット番組で取り上げられているが、今いちしっくり
Snow Manに沼落ちした理由
自粛期間中、ジャニーズの新人アイドルグループ「Snow Man」にハマった。
気づけば頭のてっぺんまで“Snow Man沼”にズブズブだった。いわゆる“沼落ち”である。
生まれてこのかた、ジャニーズアイドルにハマったことは一度もなかった。ジャニヲタの友人もいたのだが、どんなにヲタ直伝のレクチャーを受け、曲を聴き、出演番組を見ても、まったく感化されなかった。なので「一生ジャニーズにハマることはな
#9. あなたには答える義務がない
先日、ロリエの炎上について記事を書いた。
このような記事では、できるだけ客観的事実に基づいて書こうと思っている(結論の部分などにはどうしても主観が入るが...)。ただし、もちろん個人的に思うところはたくさんあって、そういう主観的意見を垂れ流す場として「10分でnote」の枠を使っている。
というわけで、ロリエ炎上の件について、思うところを徒然と書いていく。
まず、今回の炎上は「やっぱりな」に
私は笑わないことにした
1年ほど前だろうか。Twitterでとあるリプライを見かけた。何に対してのリプライだったのか定かでなはいのだが、確かフェミニズム的な文脈だったと思う。
そのリプライは、このような内容だった。
「そんなに嫌だったなら、その時直接言えばよかったじゃないですか」
私はこの言葉を、今も事あるごとに反芻している。なぜならこれは私にあてられた──いや、おそらく"空気を読む"ことと引き換えに、何かを犠牲に
#8. 人類最大の敵は“二項対立”だ
ダイバーシティという言葉が世に広まって、もう3年くらい経つだろうか。
その概念に出会い、多様な人々を目の当たりにするなかで、個人的にはかなり意識的に訓練したことがある。
それは“二項対立からの脱却”だ。
正義と悪に落とし込まないこと。いいか悪いかで話さないこと。YESかNOかだけで終わらないせないこと。理解できないことの先へ行く勇気と知性を持つこと。
当初は気を抜くと、すぐに二項対立の考え
#7. 思い出装置としての「ギリちゃんねる」
片桐仁さんのYouTubeチャンネル「ギリちゃんねる」が好きだ。
片桐家の父・仁さん、長男・太朗くん、次男・春太くんが、「片桐家の男3人で何かやる」をテーマに、絵を描いたり工作をしたりするチャンネルである。
一人称が“兄(あに)”の優しくて聡明な太朗くん、素直で自由でちょっとアバンギャルドな春太くん、そして、ときに息子に罪をなすりつける大人気ない仁さん(笑)など、個性が立っていておもしろい。ま
#6. 脳の性差とテクノロジー
先日、「男性脳・女性脳とジェンダーの関係」という記事をアップした。5500字くらいあるのだが、ここに書かなかったことがある。
それは、博報堂DYメディアパートナーズがなぜこれを研究したのかーーつまり、なぜ未来に“男女差”の価値を見出したのか、という疑問である。
確かに「これは女用!」とシステムを一括設定するほうが簡単(=低コスト)だろう。しかし、時代と市場はパーソナライゼーションに向かっている