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自由に思考する

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本質、真理を知りたい
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解像度って高ければ良いというものではない

解像度って高ければ良いというものではない

どうも私は解像度を上げることに集中しすぎていたよう。逆でした💦

むしろ解像度を落としてふんわりみることが大事なのです。上の絵画のように野菜に集中すると人の顔を見落とします(アルチンボルドの絵を逆さにした)。

「解像度を上げる」って物事を分析する手段としてポジティブに捉えられますよね。でも副作用もあるんです。

花瓶に活けられたバラを見る。解像度を高くしていくとひとつの花弁(はなびら)の色の濃

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医療行為の同意書。内容が多すぎて本質が伝わらない

医療行為の同意書。内容が多すぎて本質が伝わらない

患者さんの目が死んでいる・・・私の話を聞いていない目でございますわ。

説明用紙にチェックや下線を引きながら一方通行でくどくど話まくる私。滑稽ですね。どっと疲労感に包まれます。

ですよね〜。難解な話を畳みかけられてもね。

私はかなりくどく説明するタイプ。

でね。失敗するんです。特に高齢者。

1〜10まで伝えるべき内容(重要度も1>>5>>10)があります。すべて説明すると消化不良でひとつし

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「可能性」ではなく、「蓋然性(確率)」で議論しよう

「可能性」ではなく、「蓋然性(確率)」で議論しよう

自分の日本語の使い方が間違っていたことを知りました。それは「可能性」という言葉。あなたはご存知でしたか?

「シャーロックseason1episode1」で英語勉強中。

日本語訳で
「蓋然性(ガイゼンセイ)」と表示された表現。

日本人としても、あまり馴染みがないコトバです。

シャーロックが

蓋然性としては、その携帯電話を犯人が持っている。

と述べます。

ここでは、「犯人が持っている確率

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医師は裁判官か?行動歴・知性・キャラに基づいて治療の可否を勝手にジャッジするのは許されるか?

医師は裁判官か?行動歴・知性・キャラに基づいて治療の可否を勝手にジャッジするのは許されるか?

「私の父です。まぶたが下がっていて見えていないようなんです。眼科では視力は問題ないと言われました」

高齢、かつ重度の眼瞼下垂だった
眼瞼下垂がひどくて、横方向のスリット程度にしか目が開いていない80代の男性。息子が連れてきました。加えて重度の難聴もち。

手術の話をしても、聞いていない(聞こえていない)(補聴器をつけているが)様子。紙に書いて説明しても見えてなさそう(下垂がひどい)です。歩行もま

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あなたの右の親指と鼻、どちらをなくすのが困りますか?

あなたの右の親指と鼻、どちらをなくすのが困りますか?

冨士森良輔先生のおはなし。

もうコレ以上説明の余地はありません。

アハ体験をいただきました。顔を扱う外科医と共有したい価値観です。

教科書を守破離する

教科書を守破離する

教科書が正しいとは限らないこのイラスト。わたしが医師になったばかりの時に購入したテキスト(形成外科手術書改訂第3版、南江堂、1999)に引用、掲載されているもの。(初版が1969年)

眼瞼挙筋腱膜と隔膜が瞼板上縁前面で合流しつつ瞼板に付いています。相当にデフォルメされています。

一方近年見るイラストでは腱膜と隔膜と瞼板との関係は下の図のごとくで、少なくとも2022年現在の形成外科医師の理解はこ

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まだ本質でないところで消耗してるの?

まだ本質でないところで消耗してるの?

「電気メスを使いますか?」
「皮膚縫合は何針ですか?」
「皮下縫合は何個入りますか?」

結論から言うとこれらは本質からは遠い事項です。
外科行為においての本質とは、「患者のトラブルをより安全に解決すること」ととりあえず仮定します。

「より本質に近いところ」と「本質から遠いところ」を同列にして気にしていると、本質を見失うリスクがあります。まずは幹(基礎、下地)を知り、それから枝葉を見ることです。

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「顔面移植」をうけた21歳の女性が提起する数々の課題

「顔面移植」をうけた21歳の女性が提起する数々の課題

自殺に失敗し顔を失った少女の願い――「何が起きてもそれは一時的なことだと信じて。物事は良くなっていくから」ーNewsweek日本版

脳の損傷を避けたケイティは一命をとりとめるも顔の大部分を失っていました。太ももの皮膚やスネの骨で顔を再建しましたが「人の顔」ではありません。顔面移植の機会を手に入れ、一大決心をして踏み込むことになります。顔の皮膚だけではありません。上顎、下顎、軟口蓋、歯列も含まれる

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患者にメタ視点を与える仕事は医師引退後にできるかも

患者にメタ視点を与える仕事は医師引退後にできるかも

人間の死亡率は100%。どんなにあがいても死というゴールに向けて人生を歩みます。

医学が進歩して多くの病を克服したものの、やはり最後は何かしらの(医学の力の及ばない)病(やまい)に倒れます。

外科的アプローチ、内科的アプローチに限界が訪れます。病との戦いに敗れる日が必ず。(美容整形なども当然限界があります)

その患者を救うのは何でしょう?さじが投げられておしまいでしょうか?

そこにメタ視点

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もう、不気味の谷(uncanny valley)を超えた。映像世界ではね。

もう、不気味の谷(uncanny valley)を超えた。映像世界ではね。

不気味の谷現象=uncanny valley

イラストやロボット業界の話。

人間を表現するのにリアリティーを追求すると、あるレベルから不気味さが増して、負の感情が芽生え、親近感が減るというもの。
例えば、ペッパー君は親しみを覚えますね。

一方、リアルなヒト型ロボットは怖いです。蝋人形やマネキンが動き出したものと想像してください。

石黒浩先生のアンドロイド。進化です。リアルすぎて不気味の谷底

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漂う魅力とは?

漂う魅力とは?

今は昔。10年ほど前。外来診療の場に70代女性がお越しになりました。当時30代のワタシがドキドキするほどの魅惑と品格を携えております。でもね。顔の皺、皮膚の質感は年齢相応です。

いったい何が違うのでしょうか?

所作、姿勢です。

扉の締め方、椅子への座り方、かばんの置き方、かばんから手帳を取り出す仕草、そして話し方(言葉の選び方、愛嬌)、表情の作り方。

オーラともいうべきパワー。「好き」と思

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健康問題の啓発は大きな罪を内包する

健康問題の啓発は大きな罪を内包する

現代医療の罪。まぶたが下がっている人を見ると治してあげたいという気持ちになります。一方本人は気づいていません。教えてあげるべきでしょうか?

答えはNo。病気を認識しなければそこに「苦」は存在しません。認識した途端に「苦」になります。

健康問題の啓発って大きな罪を内包しているのです。

美容医療、予防検診事業もおなじ。多少の豊かさや寿命を得ることにはなるでしょうが、一方失うものも少なくないように

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存在しない人を想像し知覚する事

存在しない人を想像し知覚する事

緊急事態宣言やマンボウが発令されるたびに、17年後(2030年)の高校卒業アルバムの集合写真からひとりまたひとりと人影が消えていきます。

2020年から3年間の対策による出生減は14.7万人です。

https://www.bicea.e.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/2022/12/Chiba_Marriage_Birth_20221130.pdf

存在す

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虚構の中で生きるほうが幸せだろうか?

虚構の中で生きるほうが幸せだろうか?

2023年現在。現実と虚構が入れ替わりつつあります。

ソメイヨシノの現物を見てください。
色をよく観察してください。桃色ですか?

見れば見るほど限りなく白に近いことがわかります。

しかし我々の脳内では"桃色"で刷り込まれています。なぜかといえばポスターやらSNSは赤く彩られた桜に満ちているから。

リアルな白い桜を見ても心が動きません。

もはや白い桜が「桜」でなくなってしまいました。
だか

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