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歴史小説への愛や、好きな作品・作家を語ってください!

急上昇の記事一覧

【歴史小説】天昇る火柱(9)「宗益」

この小説について  この小説の主人公は、赤沢新兵衛長経という男です。  彼は、信州の小城に庶子として生まれ、田舎武士として平凡な一生を送るはずでした。  しかし彼には、二十歳近くも年の離れた兄がいました。  兄は早くに出家して家督を放り出すと、諸国を放浪し、唐船に乗って明国にまで渡ってゆきました。  そして細川京兆家の内衆となり、やがて畿内のほとんどを征服することになります。  神も仏も恐れぬ破壊者、赤沢沢蔵軒宗益。  その前に立ちふさがるのは、魔王・細川政元への復讐に全

祀られているのは猫ではない

書店で「猫」にまつわる作品を見かければ必ず手に取ってしまう。 我が家に猫を迎えてから、私はすっかり虜になってしまった。 この夏「猫君」を読んだというのに、また書店で呼び止められたようだった。 「読んでみやぁ。面白いでね。」 「おから猫」西山ガラシャ 表紙イラストの真ん中で白黒の毛の猫が踊っている。 文庫本の帯に描かれた金鯱の上でその猫が 「願ってみやぁ。全部叶えたるでね。」 と言っている。名古屋弁で。 巻末で書評家の大矢博子さんが解説している。 登場する「おから猫神

【歴史小説】花、散りなばと 1/6【加筆修正・リマスター版】

 この度、kindleで初の作品集『室町・戦国三都小説集』を発売させていただきました!  それに当たり、一番古い作品だった「花、散りなばと」を一部加筆修正いたしました。  主な変更点は、 ●ルビの追加 ●細かな言葉遣い です。  やはり現代からすると馴染みのない言葉、地名、人名などが頻出する割にはルビが少なかったため、もう少し読みやすくなればと思い、ルビを増やしました。  また、いくつかの箇所について、当時の雰囲気を壊さない言い回しに変え、文章全体を整えました。 (Kin

【歴史小説】『塞王の楯』と『黒牢城』を読みました【いまさら第166回直木賞受賞作】

先般、第166回直木三十五賞(2021年下半期)を受賞された今村翔吾さん著『塞王の楯』と、米澤穂信さん著『黒牢城』が文庫化されました。 どちらも「城」を舞台にした作品ということと、元々歴史小説は好きなジャンルということもあり、受賞のニュースを見た際は両作品とも気になっていました。 両作品の文庫化を機に購入して読んでみたのですが、いざ読んでみたらまったくテイストの異なる「歴史(?)小説」となっており驚きました。 (もちろん、どちらも素晴らしい作品で楽しめました) 今回は、

日記:9/20(金) ・何も成長できていない・スキルに自信を持てない自分に危機感しかない💦 →時間だけがただただ過ぎていくことが怖い⏰ ・確実に出費が少なくなってきた💛 →毎日の支出源をカットして、月内予算の目標を絶対達成したい! ・3連休を有意義に活用して、今後の仕事に活かす✨

JW665 北の国から

【景行征西編】エピソード36 北の国から 第十二代天皇、景行天皇の御世。 西暦83年、皇紀743年(景行天皇13)5月。 景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、熊襲を平定し、高屋宮に滞在していた。 二千年後の宮崎県宮崎市や西都市の辺りである。 そこに、ある人物がやって来た。 三輪の君の大友主(以下、オート)である。  オート「エピソード663以来にございます。」  シロ「度々の使い、大儀である。して、此度は、何があった?」  オート「蝦夷が攻め

【読書日記R6】9/24 噂の皇子と蝶の公達「噂の皇子/永井路子」「蝶として死す/羽生飛鳥」

同じ物でも光の当て方で できる影は異なります 同じ物でもナイフの当て方で 切り口は異なります 私が歴史小説を好む理由の一つは、今まで自分が描いてきた人物像、事実の見え方ががらりと一変する、魔法のような瞬間を味わいたいからということがあります。 小説を通じて、いくつもの魔術を楽しませてもらってきましたが、その原点のひとつが「噂の皇子」です。作者は私の心の師匠、永井路子さん。中高生の頃に著作を読み漁り、私の歴史観の基礎を作ってくださいました。 噂の皇子 永井路子 著 文春

JW664 拝鷹天神

【景行征西編】エピソード35 拝鷹天神 第十二代天皇、景行天皇の御世。 西暦83年、皇紀743年(景行天皇13)5月。 景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、熊襲を平定するため、襲国(今の鹿児島県)を訪れていた。 ここは、鹿児島県の高屋宮。 肝付町北方の天子山。  シロ「ついに、襲国を平定したぞ!」  やぁちゃん「おめでとうございます。残党狩りも終わったのですね?」  シロ「その通りじゃ。」  いっくん「ほな、国中に帰られるんですね?」  シ

清和源氏の興亡⑨

永保3年(1083年)、源義家は陸奥守として奥州に下向した。 康平5年(1062年)に、父の源頼義が陸奥守の任期を満了してから、21年ぶりの陸奥下向である。 この間、義家は出羽と陸奥を避けてきたとしか言いようがない。 あるいは義家は、この機を待っていたのかもしれなかった。 美濃で同族の源氏と何度か争い、完全にではないにしろ河内源氏の優位を示した。白河天皇との間に、個人的なと言っていい主従関係を築いた。 関東から畿内まで、河内源氏が武士の主君か、または河内源氏が優位に

JW663 国見をしよう

【景行征西編】エピソード34 国見をしよう 第十二代天皇、景行天皇の御世。 西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)12月。 景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、熊襲を平定するため、襲国(今の鹿児島県)を訪れていた。 ここは、鹿児島県の高屋宮。 肝付町北方の天子山。  えっさん「して、残党狩りは、順調にあらしゃいますか?」  シロ「うむ。そうであろうな。」  えっさん「そうであろう? 曖昧な物言いにあらしゃいますなぁ。」  シロ「詳らかな伝承

JW662 三つ目の候補地

【景行征西編】エピソード33 三つ目の候補地 第十二代天皇、景行天皇の御世。 西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)12月。 景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、熊襲を平定するため、襲国(今の鹿児島県)に来ている。 前回は、城に籠る熊襲を討ち、オリジナル設定で、頭となった、川上(以下、カワ)と弟建(以下、おとたけ)が降伏したのであったが・・・。  カワ「それで? これから、どうするの?」  シロ「うむ。船路を進もうと思うておる。」  いっくん「

飛鳥に行きたいな

 大学は関西だったので。  この風景にはノスタルジーがあります。  青年期に心破れるとここを訪れたものでした。  学生時代はバイクが主な交通手段だったんで。  バイクであちこちを巡りましたが。なかでももっと真剣に回遊するべきであったと。後々に後悔したのが京都、奈良でした。  学習塾を経営している頃は、毎夏でここを回って資料写真を撮影して、夏期講習で活用したものでした。  まずは京都を巡りまわって。  交通機関とレンタサイクルで充分に回れるほどに、平安京はコンパクトで観光しや

後白河法皇㉙

『平家物語』では、義経の「鵯越の逆落し」に より平家勢が一気に崩れたように描いている。 しかし義経が払暁に奇襲をかけ、範頼軍が生田口で午前6時に攻撃をかけたなら、義経の奇襲と範頼の攻撃にはほとんどタイムラグがないことになる。 それで平家勢がしばらく攻撃をしのいだのなら、義経の奇襲は、すぐには平家勢の総崩れにはつながらなかったことになる。 鵯越の逆落しは、敵の平家の本陣に、小数の源氏の拠点を作ったようなものだった。 僅か70騎の、義経の源氏の奇襲は、緒戦こそ平家を大いに動揺さ

日経平均株価が史上最高値を付けている時に株を買い始める人って何なの。狂気?

──『絶望とか渇望とか、変えたい現実がそこにあるけれども変えられない中で    言葉で代々的に世界を創り出した時に、言葉は圧力を増すのだと思います』── ☆☆☆  2024年2月26日(月)。21時22分。  「ちっちゃな頃だけ優等生 気付いたら大人になっていた   Lifeのような思考回路 持ち合わせる訳もなく   遊び足りない   何か足りない   何も足りない   全て足りない   困っちまうこれは誰かのせい?   システマチックに酩酊するmeter   それもそ

JW661 拍子川の戦い

【景行征西編】エピソード32 拍子川の戦い 第十二代天皇、景行天皇の御世。 西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)12月。 景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、それぞれの城に籠る、熊襲の川上(以下、カワ)と弟建(以下、おとたけ)を攻めたが、失敗に終わる。 そこで、神楽を演奏し、敵をおびき出す作戦に切り替えたのであった。 ちなみに、オリジナル設定ではあるが、隼人城に籠るのが『おとたけ』で、上井城に籠るのが『カワ』である。  野見「さぁさぁ! 大いに

御相伴衆~Escorts 第一章 第104話 暗躍の行方9~仮初の花嫁②

ジェイス「おはようございます。よろしいでしょうか?王子、女美架姫様」 暁「おはようございます」 王子「おはよう、ジェイス、暁殿」 姫「おはよう、ジェイスさん、暁・・・?目が赤いですね。特に、ジェイスさん」 ジェイス「いえ、ちょっと、調べものに夢中になってしまいまして、申し訳ございません」 姫「暁も、少し、疲れてませんか?」 暁「あ、そんなこと、ございませんよ。・・・今日も、良いお天気のようですね」 ジェイス「ご予定は、そのまま、ランサム礼拝堂のご見学でよろしいでしょうか

書籍レビュー: 『草原の風』 by 宮城谷昌光

### 書籍レビュー: 『草原の風』 by 宮城谷昌光 本記事のイラストは私が書きました。  **プロット概要:** 『草原の風』は、後漢の光武帝となる劉秀の若き日々を描いた歴史小説です。物語は、劉秀が王莽の治世下で成長し、やがて反乱を起こして漢王朝を再興するまでの過程を追っています。彼の学生時代や、様々な人物との出会いが詳細に描かれています。 **キャラクター開発:** 劉秀は、柔和で優しい青年として描かれていますが、物語が進むにつれて彼の内面の強さとリーダーシッ

伝説のドラマ『坂の上の雲』の再放送が始まったぞ!

小説『坂の上の雲』の再放送が始まった。 見よ!この錚々たる俳優陣を! 僕はこの小説が大好きなので、少し語りたい。 まず、僕がこの小説に出会ったきっかけだが、それがドラマだった。 当時から歴史が好きだった僕は、司馬遼太郎の小説を何冊か読み、すっかり司馬史観()のとりこになっていた。 そんな中『坂の上の雲』のドラマが始まった。 冒頭のナレーション、 でもう心が捉えられ、何としても小説も読みたいと思った僕は近くの本屋という本屋を探し回り、結局高知市内の大きな本屋まで連れ

『詩』大御舟(おおみふね)が死んでいる

大御舟が死んでいる 広い湖の向こう岸近く 少し浅瀬になったあたりに 半ば身を横たえて 波に洗われるまま 私は湖のこちら側で 水のなかに降りてゆく 階段状の石のひとつに 腰を下ろして 無限の時を じっと釣り糸を垂れている 草履の指先を波が洗う 向こう岸に横たわった 御舟を洗う同じ波が 岸から少し離れて葦が生えていて 葦の隙間から 丸く弧を描く白い帆が ゆっくりと 右から左へ動いてゆくのが見える 私はそれを気まぐれに <時間>と名づけることにしよう 私はこの地に宮を建て 青

御相伴衆~Escorts 第一章 第103話 暗躍の行方8~仮初の花嫁①

 それからの五日間、女美架姫は、アーギュ王子にランサム国内を案内してもらい、愉しい日々を過ごした。地元ということで、外出の時、二人は、ランサム王室付きのSPに守られる形で、移動した。  側近のジェイスと暁は、打ち合わせを兼ねて、王宮に残っていた。理由としては、例の諜報員からの連絡待ちだった。話をしていれば、いいのだろうからと、ジェイスは、暁を思いやり、お茶とお茶菓子を準備していた。暁の弟、軍属の空軍少尉で、パイロットオフィサーの辛は、その姉とランサムの王子の側近のいる、隣の

伊達政宗㉟

「先祖の願いではなく、我が望みにござりまする」政宗は答えた。

¥100

旅行とかよりも、引きこもってKindleを読んだりインターネットで勉強したほうが楽しくない? 令和は引きこもりの方が勝ち組なんじゃないの。

──『眼が良い人は、眼の悪い人の気持ちが分からない    言葉無くしては、眼鏡も    眼が良い人にとっては眼が悪くなる道具にしかならず   眼が悪い人にとっては眼が良くなる道具になる    言葉が無ければ、互いに互いを否定して物事は争いだら けになるだろう』── ☆☆☆  2024年2月21日(水)。21時28分。休みの日。精神科に行った日。  気温が高い。暑いね。  こんにちは。井上和音です。  何を書いてもいいという場なので書きま

JW660 隼人城と上井城

【景行征西編】エピソード31 隼人城と上井城 第十二代天皇、景行天皇の御世。 西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)12月。 景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、熊襲を平定するため、襲国(今の鹿児島県)に来ている。 熊襲の川上(以下、カワ)と弟建(以下、おとたけ)は、それぞれの城に籠り、抵抗の姿勢を見せるのであった。  タケ「大王? 副将に任じられた『リトル』様は、どちらの城を攻めれば、よろしゅうござりまするか?」  シロ「そ・・・それが・・・。

【歴史小説】天昇る火柱(6)「胤栄」

この小説について  この小説の主人公は、赤沢新兵衛長経という男です。  彼は、信州の小城に庶子として生まれ、田舎武士として平凡な一生を送るはずでした。  しかし彼には、二十歳近くも年の離れた兄がいました。  兄は早くに出家して家督を放り出すと、諸国を放浪し、唐船に乗って明国にまで渡ってゆきました。  そして細川京兆家の内衆となり、やがて畿内のほとんどを征服することになります。  神も仏も恐れぬ破壊者、赤沢沢蔵軒宗益。  その前に立ちふさがるのは、魔王・細川政元への復讐に全

『散文詩あるいは物語詩』その朝の金吾中納言

霧が足元へ、後から後から斜面を這い登ってくる。盆地というよりほとんど谷になっている戦場は、濃い霧の中にあって何も見えない。おまけに雨だ。 九月というのに、冷気が足先を締め付ける。足軽どもに、じっとしてろと言ってやりたい。寒いのはわしとて同じなのだ。震えているのは武者震いなのか寒さなのか、自分でもはっきりしない。別にどちらでも同じことだが。 そなたの思う通りにやればよい、京のお母様はそうおっしゃった。今更殿下に気兼ねすることなど何もありはせぬ。もちろん私にも。そなたのご苦労は

「竜馬がゆく」≒「○○○○」論

皆さまに質問です。 日本における「国民的作家」の「国民的代表作」をひとつ挙げるとしたら? 私は夏目漱石「こころ」と答えます。老若男女を問わず誰もが知っていて、読んだことのある人が圧倒的に多いから。いまでも文庫本がコンスタントに売れているし、迷いは皆無です。 しかし「もう一作選んで」といわれたら悩みます。頭に浮かぶのは宮沢賢治「銀河鉄道の夜」か司馬遼太郎「竜馬がゆく」。太宰治「人間失格」も入れたいけど「国民的」にカテゴライズするのは違う気がします。いい意味でアウトローとい

清和源氏の興亡⑧

白河天皇の母は、藤原道長の四男藤原能信の養女藤原茂子だった。 摂関家の女性で、白河天皇自身、関白藤原師実の養女、藤原賢子を中宮とした。 白河帝の父の後三条天皇は、白河天皇の皇統が続くのを望まなかった。藤原北家御堂流(藤原道長の系統)の血を引く白河天皇やその皇子で皇統が続いては、藤原摂関家の力が強くなってしまうからである。 そのため白河帝の即位に際し、後三条帝は第二皇子の、自分と源基子の間に生まれた実仁親王を皇太弟とした。 さらに念の入ったことに、後三条天皇は実仁親王の

御相伴衆~Escorts 第一章 第101話 暗躍の行方6~ランサム編

 女美架姫を待たせていた時―――  ジェイス、暁と、その弟のパイロットの辛を、隣室に呼び寄せたアーギュ王子は、これからの大切な極秘の流れを、この従者達に話し、理解と協力を求めることにした。 「スメラギの厨房の職員たち、解りますか?暁殿」 「え?・・・あ、はい、気の良い皆様です。各国料理がお上手で、私のレシピの御菓子なども、少しの説明で、再現してくださいます」 「ここだけのお話です。来て早々で、申し訳ないが、皆様に協力して頂きたいのです。よく、聞いてください。これから、暁殿

Progateなら統合失調症の私でもプログラミングを理解できた

──『さあ全然未来の話をしよう』── ☆☆☆  2024年2月17日(土)。21時34分。いい気温。  ツイッターでコンパス戦闘摂理解析システムの動画を見ていたらしたくなってきた。  リロードが長くてしていないけれど。  もうやっているゲームがPokémonSleepだけになった。大人になったのか。  でも特に暇ではない。  こんにちは。井上和音です。  午前中はTOEICに向けてキクジュクをやりました。キクタン英熟語の略ですね。知らない英熟語がいっぱいいっぱい

トーハク『神護寺展』…2人の天才、空海さんと最澄さんが出会った場所−高雄山寺−

東京国立博物館(トーハク)では、2024年7月17日から9月8日までの会期で、特別展『神護寺…空海と真言密教のはじまり』が開催されています。そんな神護寺展について、書こう書こうと思いつつ、なかなか手を付けられず、手を付けてからも数週間が経ちますが、ちょこちょこと追記&修正を重ねつつも、あと会期が1週間しかないのにまだ完成に至っていないので、もう「えいやぁ!」とアップすることにしました。そんな感じで今回“も”ダラダラとしたnoteです。 神護寺……関東で生まれ育ったわたしには

後白河法皇㉘

もっとも、当時義経に同行していた三善康信が根回しをしたのかもしれない。元々貴族である康信なら、後白河法皇にも作戦の概要を伝えることができただろう。そもそも康信の同行は、対朝廷外交を引き受けてのことだった。 義経は丹波路を進み、六甲側から平家に攻撃をかけた。この経路についても源氏の首脳部は知っていたはずである。 もっとも、首脳部といっても全ての武将が知っていた訳ではない。 梶原景時は作戦の概要を知っていた可能性が高いが、一ノ谷の戦いでは範頼軍の侍大将の土肥実平と交代してい

【歴史小説】天昇る火柱(5)「天女」

この小説について  この小説の主人公は、赤沢新兵衛長経という男です。  彼は、信州の小城に庶子として生まれ、田舎武士として平凡な一生を送るはずでした。  しかし彼には、二十歳近くも年の離れた兄がいました。  兄は早くに出家して家督を放り出すと、諸国を放浪し、唐船に乗って明国にまで渡ってゆきました。  そして細川京兆家の内衆となり、やがて畿内のほとんどを征服することになります。  神も仏も恐れぬ破壊者、赤沢沢蔵軒宗益。  その前に立ちふさがるのは、魔王・細川政元への復讐に全

JW658 綾南川の戦い

【景行征西編】エピソード29 綾南川の戦い 第十二代天皇、景行天皇の御世。 西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)12月。 景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、人を襲う熊を討ち取った。 ここは、宮崎県国富町本庄の犬熊。 そして、地元住民の「ピエール」が、衝撃発言をおこなうのであった。  ピエール「頭を討ったから、終わりって考えてませんでしたか? そうは、問屋が卸しませんよ。熊襲の八十梟帥が攻めて来てます。」  シロ「なに?!」  ナッカ「馬鹿

読書嫌いだった私が年100冊以上の本を読むようになった話

子どもの頃、本をまったく読まなかった。 マンガすら読まない。 とにかく、座ってページを開くという行為が楽しくなかった。 それよりも、テレビを見る。ゲームをする。その方が圧倒的に楽しい。 今思えば本当に残念な過ごし方をしていた。 小学校高学年~中3くらいまでの間は、大体、夏休みに読書感想文というのを書かされる。 本嫌いだった私はとにかくこれが苦痛で、どうにかこれを楽に終わらせられないかと悩み、次のようなことをやって乗り切っていた。 薄く、読みやすく、ある程度自分が知ってい

【読書】人はいくつになっても成長できる~『極楽征夷大将軍』(垣根涼介)~

室町幕府を興した足利尊氏の物語です。第169回直木賞受賞作です。 ↑kindle版 図書館でかなりの期間、予約待ちをした末に受け取ったのですが、本を開いた瞬間、ちょっと後悔しました。約550ページある上、2段組み? 読了に結構時間がかかりそう……。 でも読み始めたら、文章が読み易く、テンポも良いので、心配は薄らぎました。尊氏の弟の高国(後の直義)の視点と、高師直の視点が交互に出てくるのも、気分転換になるというか、長編独特の何となくダレた感じになるのを防いでくれます。

中国古代史の歴史小説なら宮城谷昌光先生!

三国志や古代中国の歴史に興味を持っている人におすすめしたのが、宮城谷昌光先生の歴史小説作品です。 歴史に忠実でありながら、人間に焦点を当てられていて、とても面白いので、おすすめです。

アラフィフ設計者の読書記録【8月】

今月から、月イチで読書記録を投稿していきます。8月は、9冊読みました。 【読書生活の振り返りメモ】 酷暑で自宅時間が長く、厚めの本にもチャレンジできた 彬子女王のエッセイ、平野さんの新書、中竹さんのリーダー論から生き方について多くの学びを得た 国牢城 米澤穂信 米澤さんの直木賞受賞作。直木賞にハンデあるらしい歴史小説の点でも、受賞した当時に話題となった本。文庫化されてずっと気になっていて、この夏にようやく手に取って読んだ。 歴史フィクション+ミステリーの書き味で、黒

JW656 熊襲、討たれて

【景行征西編】エピソード27 熊襲、討たれて 第十二代天皇、景行天皇の御世。 西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)12月。 景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の寵愛を受けた、市乾鹿文(以下、ふうか)は、襲国に帰国していた。 出迎えたのは、彼女の父、厚鹿文(以下、あっくん)と、迮鹿文(以下、さかお)である。  ふうか「父親が二人? どういうことなの?」  あっくん「『おい』にも、ようわからん。」  さかお「まあ、どっちかの娘じゃろう。」  ふうか「そ

JW657 熊も討たれる

【景行征西編】エピソード28 熊も討たれる 第十二代天皇、景行天皇の御世。 西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)12月。 景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、熊襲を討伐した。 ここは、高屋宮。 現在の宮崎県宮崎市か、西都市のあたり。 前回の市乾鹿文(以下、ふうか)の死に、一行は動揺していた。  カヤ「うう・・・姉上・・・(´;ω;`)ウッ…。」  シロ「許せよ・・・『カヤ』・・・。」  もち「こんげなコツになるとは・・・(´;ω;`)ウゥ

JW659 鷹と御先祖様

【景行征西編】エピソード30 鷹と御先祖様 第十二代天皇、景行天皇の御世。 西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)12月。 景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、熊襲を平定するため、襲国(今の鹿児島県)に向けて進軍をつづけていた。  シロ「して、ここは何処じゃ?」  やぁちゃん「専寿寺にござりまする。」  シロ「ん? 寺? 仏の教えの社であったな?」  やぁちゃん「左様にござりまする。宮崎県小林市の細野にある、お寺にござりまする。」  シロ「さ

清和源氏の興亡⑦

ここに、清原貞衡という人物が登場する。 名前から見て清原氏で、清原武則の子あたりかと思うと間違えてしまう。 武則の娘婿、または武則の孫の真衡、さらに真衡の父、つまり武則の子である清原武貞の別名という説もある。 そして武則の娘婿だった場合、貞衡は岩城則道の子で、母は源頼義の娘徳姫だという。 これはちょっと信じられない。この徳姫についても、平正済室という説、清原成衡室説もある。 どういうことかを簡単に説明すると、清原氏は岩城氏になろうとしていたということである。それも取

55歳 バツ2男の土方歳三を少し語る

私は司馬遼太郎先生の「燃えよ剣」を読んで土方歳三のファンになった それから、しばらくは土方歳三を描いた小説 土方歳三を特集した歴史雑誌は全て買い読み漁った 土方歳三と言う男に興味が尽きない なぜか私は「ナンバー2」とポジションに憧れと魅力を感じる 「○○の片腕」と言われてみたい・・・ トップに立つことよりも トップに立つ人を支えたい・・・と思う 上に立つ人の全幅の信頼を得て傍で支える  なので私は先頭をきって皆を引っ張っていくことはできない 後輩や部下の扱いがわ

【Kindleで読む!黒船来航】『ペリー提督日本遠征記』が面白い!

ただいまこちらを読んでます。 コテンラジオで高杉晋作を聞いて幕末が熱いなと。 その流れでこちらの本を発見。 ちなみに僕は学生時代、歴史苦手でした。。 たまに角川の書籍ってセールやるんですよね。 『ペリー提督日本遠征記』、Kindleで500円くらいに値下がりしていて購入。 パラパラとページをめくっていたんですが、こちら合本版1100ページ超。半端じゃない。 冒頭は眠くなるばかりで高速ページめくり。 ペリー一行が中国から琉球に来た頃から俄然面白くなってきました。

投資を学ぶ✨ ✅トータルリターン:ファンドが対象期間にどれだけ値上がり(値下がり)したかを示す📝 ウエルスアドバイザーでは、分配金(税引前)はすべてファンドに再投資されたものと仮定して計算し、複数年のリターンは年率表示とのこと📝 ※基準価額の単純な騰落率とは異なる点には要注意🔖

【歴史小説】天昇る火柱(4)「西方」

この小説について  この小説の主人公は、赤沢新兵衛長経という男です。  彼は、信州の小城に庶子として生まれ、田舎武士として平凡な一生を送るはずでした。  しかし彼には、二十歳近くも年の離れた兄がいました。  兄は早くに出家して家督を放り出すと、諸国を放浪し、唐船に乗って明国にまで渡ってゆきました。  そして細川京兆家の内衆となり、やがて畿内のほとんどを征服することになります。  神も仏も恐れぬ破壊者、赤沢沢蔵軒宗益。  その前に立ちふさがるのは、魔王・細川政元への復讐に全

JW655 熊襲対策協議会 

【景行征西編】エピソード26 熊襲対策協議会 第十二代天皇、景行天皇の御世。 西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)11月。 景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、高屋宮を建設した。 ここは、宮崎県宮崎市。 そして、一行は、12月5日、高屋宮にて、熊襲対策協議会を開いたのであった。  ナッカ「ちょっと待ってくださいよ! 高屋宮って、諸説有りでしたよね? なんで、宮崎市っていう、曖昧な表現になってるんすか?」  シロ「諸説有りだったからじゃ。」 

JW653 南へ

【景行征西編】エピソード24 南へ 第十二代天皇、景行天皇の御世。 西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)10月。 景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、ついに、土蜘蛛を平定した。 ここは、禰疑野。 二千年後の地名で言うと、大分県竹田市の今や菅生の辺り。  シロ「では、国摩侶よ。これからも、この地のこと、頼むぞ。」  国摩侶「かしこまって候。」  ナッカ「ちなみに、後の世のことになるんすけど、この地で、大王を祀る社が建つんすよ。」  シロ「何

JW654 高屋宮

【景行征西編】エピソード25 高屋宮 第十二代天皇、景行天皇の御世。 西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)11月。 景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、ついに、宮崎県に入った。 ここは、宮崎県延岡市の西階町。  野見「して、大王? これより、如何なされまするか?」  シロ「うむ。まずは、高千穂に行宮を設けようと思うておるが・・・。」  ナッカ「思ってるが・・・何すか?」  シロ「そのまえに、詣でたい社がある。」  舟木「その社とは?」 

後白河法皇㉗

後白河法皇は、義経と謁見した。 (小柄じゃな) 目の前の白洲で、鎧直垂を着て平伏している若者を見て、後白河法皇は思った。 挙措が田舎じみていない。 (義仲とは違う) 義仲は全身が精気でできているような男だった。 しかし義経は動きはきびきびしているが、義仲のような覇気は感じない。 義経の脇に、中年の男が控えている。 梶原景時である。 「こたびはようやった、追って褒美を取らすぞ」 後白河法皇が2人に声をかけたが、 「院、恐れながら」 景時が声を挙げた。「我

JW652 禰疑野の戦い

【景行征西編】エピソード23 禰疑野の戦い 第十二代天皇、景行天皇の御世。 西暦82年、皇紀742年(景行天皇12)10月。 土蜘蛛討伐を目指す、景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、まず、青と白を討ち取った。 ここは、稲葉川上流。 大分県竹田市市用の辺り。  シロ「つつがなく、青と白を討つことが出来た。次は、打猨、八田、国摩侶の三人じゃ。」  ナッカ「速攻を仕掛けるんすね?」  シロ「その通りじゃ。我らが、北に現れたことに、敵は、慄き、慌てふた