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JW658 綾南川の戦い

【景行征西編】エピソード29 綾南川の戦い


第十二代天皇、景行けいこう天皇てんのう御世みよ

西暦82年、皇紀こうき742年(景行天皇12)12月。

景行天皇こと、大足彦忍代別尊おおたらしひこおしろわけ・のみこと(以下、シロ)の一行は、人をおそくまった。

ここは、宮崎県国富町くにとみちょう本庄ほんじょう犬熊いぬぐま

地図(犬熊:犬熊公民館)
筑紫行幸参加者名簿

そして、地元住民の「ピエール」が、衝撃発言をおこなうのであった。 

ピエール「かしらったから、終わりって考えてませんでしたか? そうは、問屋とんやおろしませんよ。熊襲くまそ八十梟帥やそたけるが攻めて来てます。」 

シロ「なに?!」 

ナッカ「馬鹿、言っちゃいけませんよ。『日本書紀にほんしょき』では、熊襲くまそ平定へいていは完了してるっす!」 

野見のみ「もしや? 伝承が?」 

ピエール「その通りです。宮崎県綾町あやちょう南俣みなみまたに、熊襲くまその軍が攻め込んできたんですよね。きっと、残党ざんとうじゃないかと思いますが・・・。」 

地図(宮崎県綾町南俣)

シロ「ここより、更に、西か・・・。」 

こうして、一行は、熊襲くまそ軍を迎え討つべく、西へと移動した。 

もち「綾町あやちょう南俣みなみまたの台地に、じんいたんやじ。」 

百足ももたり「そして、にしき御旗みはたを立てもうした。」 

舟木ふなき「それゆえ、この台地は、錦原にしきばると呼ばれるようになりもうした。」 

ワオン「二千年後の錦原にしきばる運動うんどう公園こうえんのあたりにござる。」 

地図(錦原運動公園)

やぁちゃん「あっ! 台地の南、綾南川あやみなみがわの向こう岸に、敵がじんいておりまする!」 

シロ「二千年後の本庄川ほんじょうがわ南岸なんがん・・・ということじゃな?」 

やぁちゃん「御意ぎょい。」 

地図(南岸の敵)

いっくん「ん? 敵のはたが・・・。」 

シロ「如何いかがした?」 

いっくん「南岸の五ヶ所ごかしょに、旗を立てるんですけどね、これって、なんか、意味あるんかな・・・と思いまして・・・。」 

ヤヌシ「おおいに有るなり! 五ヶ所ごかしょに旗を立てたので、五ヶ所ごかしょと呼ばれるようになったなり!」 

シロ「こちらも負けておられぬぞ! 十本の旗を立てよ!」 

ウナ「こうして、北岸ほくがん十ヶ所じゅっかしょに旗を立てたので、十ヶ所じゅっかしょと呼ばれるようになりもうした。」 

ピエール「ちなみに、地元の人は、五ヶ所ごかせ十ヶ所じゅっかせと呼んでます。」 

夏花なつはな「ん? 雨がってまいりましたぞ。」 

たっちゃん「は・・・はげしくなってきたぞ!」 

影媛かげひめ「あっ! 南岸の方へ、水があふしましたよ!」 

タケ「熊襲くまそたちが、あわてふためいておる。」 

シロ「今じゃ! 矢の雨を降らせよ!」 

ピエール「こうして、矢でちをかけ、見事、敵を撃退したのでした。」 

モロキ「ん?」 

シロ「如何いかがした?」 

モロキ「二千年後の地図を見ていたのですが、おかしいところが有りまして・・・。」 

もち「どこが、おかしいんや?」 

モロキ「錦原にしきばる運動うんどう公園こうえんから、南にくだると、綾南川あやみなみがわに出るのですが、その橋の南詰みなみづめの西側が五ヶ所ごかしょ、東側が十ヶ所じゅっかしょとなっておりまする。」 

地図(五ヶ所、十ヶ所)

カヤ「どちらも、南岸ということですね?」 

シロ「これは、いったい、如何いかなることじゃ?」 

ピエール「じつは、何度も洪水被害にったため、大工事がおこなわれたんですよ。」 

えっさん「それで・・・川の流れが変わったと?」 

ピエール「そうなんですよ。ビックリですよね?」 

シロ「ともかく、熊襲くまそを追い払うことが出来た。では、高屋宮たかや・のみやもどろうぞ。」 

ピエール「そう言わずに、襲国そのくにまで進むべきだと思いますよ。」 

シロ「ん? なにゆえじゃ?」 

タケ「もしや、伝承は、まだまだ有るということか?」 

ピエール「その通りです。熊襲くまそのみなさんも、やる満々まんまんみたいですし、行くべきだと思いますよ。」 

シロ「そ・・・そうなるのか・・・。」 

やぁちゃん「行っても良いのではありませぬか? 私も、鹿児島県に行ってみたかったのです。」 

リトル「うぎゃぎゃ!」 

タケ「ふむふむ・・・皇子みこが、今後の下調したしらべのためにも、行ってみたいともうしておるぞ。」 

シロ「そ・・・そういうことならば、いたかたあるまい。では、行こうぞ!」 

こうして、一行は、襲国そのくにに向けて進軍したのであった。

一方、熊襲くまその陣営では・・・。

熊襲くまそたちがさわいでいた。

すなわち、初登場の川上かわかみ(以下、カワ)、弟建おとたける(以下、おとたけ)である。 

カワ「いやぁ、すごいいくさだったね。まさか、あんなに強いとは思わなかったよ。」 

おとたけ「強い? 兄さん? なに、言ってんだ? 偶々たまたまだろ? 水があふれてきたんだぜ?」 

カワ「でも、はたかずって、重要だったのかな?」 

おとたけ「重要だろ? 旗がおおほうが勝つらしいぜ。」 

カワ「迷信めいしんじゃないのかい?」 

おとたけ「どっちにしろ、次は、勝たないとな!」 

どうなることやら・・・。

次回につづく

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