見出し画像

JW657 熊も討たれる

【景行征西編】エピソード28 熊も討たれる


第十二代天皇、景行けいこう天皇てんのう御世みよ

西暦82年、皇紀こうき742年(景行天皇12)12月。

景行天皇こと、大足彦忍代別尊おおたらしひこおしろわけ・のみこと(以下、シロ)の一行は、熊襲くまそ討伐とうばつした。

ここは、高屋宮たかや・のみや

現在の宮崎県宮崎市みやざきしか、西都市さいとしのあたり。

地図(高屋宮)
筑紫行幸参加者名簿

前回の市乾鹿文いちふかや(以下、ふうか)の死に、一行は動揺どうようしていた。 

カヤ「うう・・・姉上あねうえ・・・(´;ω;`)ウッ…。」 

シロ「許せよ・・・『カヤ』・・・。」 

もち「こんげなコツになるとは・・・(´;ω;`)ウゥゥ。」 

野見のみ「して、『カヤ』殿どのは、如何いかがなされますか?」 

カヤ「えっ?」 

シロ「ここにとどまれば良い。姉のかたきと共にたくないともうすのであれば、何処いずこへとってもかまわぬ。」 

カヤ「『あちし』は、親も姉も失いました。もう行くところがありませぬ。どうか、ここに置いてくださりませ。」 

シロ「あいわかった。」 

するとそこに、一人の男がやって来た。

「ピエール」という名前にしたい。 

ピエール「あのう? お取込中とりこみちゅうもうわけないんですけどぉ。」 

モロキ「何奴なにやつじゃ!」 

ピエール「あっ! あやしいものじゃありません。犬熊邑いぬくま・のむらの住人です。」 

シロ「犬熊邑いぬくま・のむら?」 

いっくん「いきなり、なんやねん?」 

ピエール「じつは・・・『おい』たちのむらで、たいへんなことが起きてまして・・・。」 

小左おひだり「たいへんなこと?」 

ピエール「いたくまが、時々、出て来ては、人々をおそってるんですよ。」 

シロ「熊が!? では、らねばならぬな。」 

ピエール「ありがとうございます!」 

唐突な登場の新キャラと共に、一行は、犬熊邑いぬくま・のむらへと向かった。 

夏花なつはな「して、犬熊邑いぬくま・のむらとは、二千年後の地名でもうせば、何処いずこになるのじゃ?」 

ピエール「宮崎県国富町くにとみちょう本庄ほんじょう犬熊いぬぐまって地名になります。犬熊いぬぐま公民館こうみんかんが有るあたりですね。」 

地図(犬熊邑:犬熊公民館)
犬熊公民館

ウナ「して、熊の住処すみかなどは、わからぬのか?」 

ピエール「むらは、黒山くろやまに有りますので、その山に住んでおります。」 

おやた「山? 二千年後の地図を見ても、山らしきモノが見当みあたらぬが?」 

ピエール「公民館こうみんかんの北に広がる住宅地なんですが、昔は、山だったみたいです。」 

影媛かげひめ「なるほど・・・。」 

そこに、紙面の都合で、熊が現れた。 

くま「ぐおぉぉ!」 

ナッカ「熊、出てきたっすよ!」 

シロ「われまかせよ! この矢をらえっ。」 

「シロ」が矢を放った瞬間・・・。

バキッ! 

ヤヌシ「あっ! 弓が三つに折れてしまったなり!」 

シロ「なっ!?」 

舟木ふなき「あっ! いかくるった熊が、無防備な大王おおきみに、おそからんとしておる!」 

シロ「ぐぬぬぬ・・・。」 

くま「ぐおぉぉ!」 

ワオン「あっ! そこに、一匹の白い犬がけてまいりましたぞ!」 

シロ「ん? 真白ましろ?!」 

真白ましろ「ワンワン! ワンワン!」 

くま「ぐおぉぉ!」 

えっさん「真白ましろが、飛びかかっていきますぅ!」 

タケ「そのまま、熊の喉元のどもとらいついたぞ!」 

ピエール「伝承では、見知らぬ白い犬が出てくるんですけど? どうなってるの?」 

たっちゃん「そんなことを言っている間に、真白ましろが、熊をころしたぞ!」 

真白ましろ「ワンワン!」 

シロ「おお! 真白ましろ! でかした! でかしたぞ!」 

ルフィ「キキッ! キキキッ!」 

やぁちゃん「おお・・・『ルフィ』も、真白ましろの活躍をよろこんでおりますよ。」 

リトル「うぎゃう! うぎゃぎゃ!」 

タケ「ふむふむ・・・真白ましろ、よくやった・・・ともうしておるぞ。」 

シロ「真白ましろは、神の使いかもしれぬのう。よし! 三つ折りの弓をめ、白い犬こと、真白を神としてあがたてまつろうぞ。」 

ピエール「こうして、まつられたところには、三弓原みつゆみばるという地名が付きました。やしろの名前は、三弓宮みつゆみぐうです。」 

シロ「二千年後ものこっておるのか?」 

ピエール「はい。日吉ひよし神社じんじゃとして残ってますよ。この伝承も、神社に伝わるモノです。」 

地図(日吉神社)
日吉神社:祭神
日吉神社(鳥居)
日吉神社(拝殿)

真白ましろ「ワンワン!」 

ピエール「ちなみに、白い犬が、真白ましろというのは、あくまで、この物語のオリジナル設定ですので、あしからず。」 

シロ「真白ましろでも良いではないか?」 

ピエール「伝承の改竄かいざん、ダメ、ゼッタイ!」 

シロ「あ・・・あいわかった。」 

いっくん「ほな、高屋宮たかや・のみやもどりますか?」 

ピエール「それも、ダメ、ゼッタイ!」 

シロ「なにゆえじゃ?」 

ピエール「かしらったから、終わりって考えてませんでしたか? そうは、問屋とんやおろしませんよ。熊襲くまそ八十梟帥やそたけるが攻めて来てます。」 

シロ「なに?!」 

新たな戦いが始まる。

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?