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2024年6月の記事一覧

【短編小説】学校に行かなかった日の話

学校までの道のりを重たい足を引き摺りながら歩く。朝八時の匂いはなんでこんなにも憂鬱を含んでいるのだろう。

溜め息を吐いてみるもいつもより多めに体から無くなった分の空気を吸うのが億劫で溜め息を吐くのもやめた。

それでもなるべく学校のことを考えないように、ゆっくりと流れる景色に目をやった。

白い蝶が私の前をひらひらと覚束無い様子で飛んでいった。

学校に行きたくなかった。

その日は特に。日直だ

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全てが無常なら、瞬間は永遠になるのか

全てが無常なら、瞬間は永遠になるのか

 ドストエフスキー『地下室の手記』にリーザという娼婦が出てくる。当時のロシアの娼婦というのは、今の「風俗嬢」とは全く違い、地位が低く、悲惨な人生の人たちだった。
 
 リーザは、自分を買った客である主人公の男に、自慢をしたくて、ある手紙を見せる。それは彼女に思いを寄せる学生からのラブレターだ。
 
 彼女が主人公に手紙を見せたがったのは、自分は今はこんな風に落ちぶれた身分だが、かつては決してそうで

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福田恆存と三島由紀夫の違い

福田恆存と三島由紀夫の違い

 福田恆存の思想について知りたくて図書館に行ってきました。三島由紀夫全集の中の対談が載っている巻を取り出し、ぱらぱらと読みました。
 
 福田について知りたくて三島との対談を読んだのは、どうやらその対談で福田の思想が鮮明になりそうだ、と踏んだからでした。
 
 結果から言うと、福田の言わんとする事の理解も深まったとは思いますが、それ以上に、三島由紀夫についても理解が深まった気がします。
 
 福田

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神無くして原罪あり  ー芥川と太宰ー

神無くして原罪あり  ー芥川と太宰ー

 福田恆存を読んでいたら、日本近代文学について述べたところで「日本の近代文学は神は不在だったが、原罪はあった」というような文章に出会い、(そうだよなあ)と考え込んでしまった。
 
 私が知っている限りでは太宰治が当にそういう状況を体現していた。太宰がキリストというものへの関心を示し続けたのは、太宰において、そして日本近代文学においては「神はいないが原罪はある」という状況だったからだ。
 
 神はい

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スタヴローギンが感じた存在論的な恐怖——亀山郁夫氏『『悪霊』神になりたかった男』より

スタヴローギンが感じた存在論的な恐怖——亀山郁夫氏『『悪霊』神になりたかった男』より

ドストエフスキーの全作品でもっとも危険とされる「スタヴローギンの告白」(小説『悪霊』より)。作家の全人格が凝縮されているこのテクストには、人間の〈堕落〉をめぐる根源的ともいえるイメージが息づいている。文学のリアリティとは何か。人間にはどのような可能性が秘められているのか。ロシア文学研究者の亀山郁夫氏が小説『悪霊』の中の「スタヴローギンの告白」について徹底的に解明しているのが本書『理想の教室 『悪霊

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おやしみ

心細くて独りだって思って、不安で眠れなくてnoteをひらいたら、相互さんの投稿があって、あぁ、みんなも同じ今日を生きてたんだよなぁ(当たり前)って思った。

おつかれさま、だし、ありがとう
今日も生きててくれてありがとう

あなた方が頑張って生きてくれているから、私も頑張ろうと思えます。