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東京近辺の喫茶店

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2022年9月の記事一覧

北村早樹子のたのしい喫茶店 第15回「南千住 coffeeオンリー」

北村早樹子のたのしい喫茶店 第15回「南千住 coffeeオンリー」

文◎北村早樹子

 わたしは大阪のことは嫌いだが、西成のことだけは愛している。西成? となる方もいらっしゃるかもしれないので簡単に説明すると、西成とは大阪にある日雇い労働者の街で、ドヤと呼ばれる簡易宿泊施設が立ち並んでいる、ちょっと特殊な街だ。だいたい一泊500円~2000円くらい。ホテルとうたってはいるが、殆どは日雇い労働者や生活保護のじいさんが住居として使っている。ひと部屋だいたい三畳一間(狭

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北村早樹子のたのしい喫茶店 第17回「本所吾妻橋 珈琲専門店デルコッファー」

北村早樹子のたのしい喫茶店 第17回「本所吾妻橋 珈琲専門店デルコッファー」

文◎北村早樹子

 2週続いて個人的な色恋沙汰を綴ってしまうことを、まずはお許しいただきたい。
 少し前まで、わたしは浅草在住の60代の小説家とお付き合いしていた。いえ、在住というと少し語弊があるかもしれない。なぜなら彼は家ではなく、浅草の雷門のすぐ向かいにある自遊空間、要するにネットカフェで暮らしていたからだ。自分は小説を書くだけだから、家はいらない、パソコンと椅子があれば事足りる、というたいへ

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北村早樹子のたのしい喫茶店 第18回「御徒町 純喫茶丘」

北村早樹子のたのしい喫茶店 第18回「御徒町 純喫茶丘」

文◎北村早樹子

 はじめて煙草を吸ったのは、17歳のときだった。当時大阪の高校生だったわたしは、柄にもなく大阪のひっかけ橋という橋の上で弾き語りをしていて、そこで仲良くなったえっちゃんという絵描きの女の子に憧れていた。えっちゃんはとてもおしゃれで、ピアスがたくさんあいていて、美人で、音楽や漫画に詳しくて、全然違う高校だったのだけど、仲良くなったわたしはよくえっちゃんの家に遊びに行っていた。
 

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