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春夏秋冬のはなし

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‪(*´◒`*).。o○春夏秋冬をテーマにした小説
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浮かれたくなるから沈んでいくの

浮かれたくなるから沈んでいくの

 薄手のコートを出して、黒のダッフルコートはクリーニングに出した。四月になって、吹く風はまだ冷たいけれど町は確実に春だった。
 一昨日見た満開の桜は美しかったし、柔らかい日差しを浴びながら飲むカフェラテも美味しい。それなのに、僕ときたら今日死のうが興味もないような顔でコーヒーショップで一人座っているのだ。

 広げた本を読むでもなくぼうとしていた僕の耳に鈴の音が聞こえて、待ち人の来店を知らせた。

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一月の二人

一月の二人

「うーさむいー」

「暖房つけるから、効くまで布団にでも潜ってな」

 帰るなり文句を言う未来に、僕が言う。
 コートを二人分。かける場所がないから、カーテンレールにハンガーをかける。
 ストーブをつけると、ブブッと音がして中で小さな火がついた。
 上着がないことでの身体の軽さ、ゆっくりと部屋が暖まっていく時間、外の喧噪が遠のく空間。テレビをつけると、聞くでもなく音が心地よく静寂を埋めた。

「布

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まったく嫌な六月だ

まったく嫌な六月だ

 梅雨が明けたとニュースが言った。雲の流れが速くなり、空の顔色はすこぶる良さそうで、反比例するように紫陽花はその鮮やかさを失いつつある。

「もう、一年の半分終わっちゃうよ」

 絵の具で塗りたくったような青空を見上げながら、瑠衣が言った。

「寂しいな」

 言葉とは裏腹に、少しだけ高揚したような声音で瑠衣は続ける。
 僕はあえて少しだけ呆れた顔を作って、ため息混じりに応える。

「寂しいかねえ

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綺麗な記憶は塗り替えて

綺麗な記憶は塗り替えて

「見て、もう黒くなってきた」

 七分袖をまくりながら君が言うから、僕は笑った。

「まだ六月なのに、日焼けするの早いね」

 太陽が手加減を忘れる夏には少し早い、六月の晴れた日。もう数年前のことなのに、俺は鮮明にあの日を思い出す。今年もその日が来た。

「先輩って、彼女つくらないんですかー?」

 後輩が叫ぶように尋ねてきた。社用車はエアコンの調子が悪く、窓を全開にして走らせている。

「つくれ

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夏の夢みる生活

夏の夢みる生活

 ベランダの窓を開けると、ムワッと重たい空気と一緒にくぐもった音が入ってきた。

「そういえば花火大会だね、今日」

 振り返って、ベッドで本を読む彼に言う。

「そうなんだ」

 ぺらっとページをめくる音。

「うん、なんか音、聞こえる」

「ほんとだ」

 会話の度に視線はこちらに向いて、そして数瞬の後で本に戻る。
 私はフローリングに座り込む。ヒンヤリしていて気持

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七月の海はまだ冷たいけど

七月の海はまだ冷たいけど

 夏の海といっても、七月の入りではまだ冷たい。晴天の昼間だというのに砂浜にいるのは僕と彼女の二人しかいなかった。
 僕は後ろから彼女の背中を見ていた。彼女は裸足で濡れた砂の上に立って、時折さらいにくる波の冷たさにきゃっとかひゃっとか声をあげていた。
「気持ちいいかい」
 声をかけると彼女は首だけで振り返って、にひひと笑った。
「冷たくて笑っちゃう」
 どういう感情なのかと、僕が考える間に彼女はパシ

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