マガジンのカバー画像

手記

167
日常そのもの
運営しているクリエイター

2021年4月の記事一覧

ダイスロール

夕暮れ時の勝負運は、今日に限って僅かに足りていなかった。
ミスドのシュガーレイズドが食べたくなって、ジャージからデニムに履き替えた途端ににわか雨が降り出した。それまでの時の歩みの実感が湧いていなかったのは、時計の電池交換を怠ったからだとばかり思っていたが、どうやらそうでもなかったらしい。

約束を取り付け、予定時間の7分前に現地に到着するように時間を計算して、ロータリーを突っ走り、どうにかしてエン

もっとみる
転ばずとも届かずとも

転ばずとも届かずとも

考えて作り直す時間を抜きにすれば、文章としてのつながりを再考して煮詰める手順を抜かせば、半永久的に文字を並べることはできるのだろうか。付け焼き刃ながらでも、流れと言い回しを瞬時に接続することができるのだろうか。長考するだけで外に出せないまま、パンク寸前の私ならどこまでいけるのか。早打ち将棋の要領で、もしくは高速餅つきのようにいくのだろうか。

これは挑戦である。早速やってみよう。

-------

もっとみる
精一杯の伸びをしたのなら

精一杯の伸びをしたのなら

結果として伸びてしまった髪は、天然と人工のパーマでぐるぐると耳の下まで落ちている。視界は依然として暗いままだった。

只者ではなさそうな雰囲気に自分が甘えていて、振るわなかった結果すらも、「最優秀をまっすぐに獲得するよりも、味わい次第だからそれで良ければそれでいい」と肯定し続けた。否定しうる存在を否定し続けた。歪んだ自己肯定が始まっていた。正しい伸びしろは案内せず、心の擦り減りが最小限になるように

もっとみる
勿忘草はオレンジ色には染まらない

勿忘草はオレンジ色には染まらない

明日がやってくるのを拒む夜は、朝ごはんに食べてもらいたいはずのパッケージに身を包んでいる食パンをガサゴソと取り出して、きな粉ペーストを塗って食べる。
「夜食」と聞くとちょっとだけ罪悪感が生じるのは、いつからか勝手に意識するようになっただけのバイアスでしかなくて、朝を絶対的な正義と信じて疑わないから、夜に疎外感を与えるために誰かが仕向けた罠に見えてくる。

近所の安いスーパーが閉店した21時過ぎ。小

もっとみる
川崎情動

川崎情動

京浜東北線に乗り、窓際に凭れて激しく切り替わっていく背景をぼんやりと視野に入れておく。
「好き」と「興味がない」の二枚しか手元にない私は、電車の窓越しの一面性だけでも、一度も訪れたことがないような街を躊躇せずに好きだと思える。

スクランブル交差点は渋谷の所有物ではない。
JRの改札から放り出されて川崎駅を突き進むと、ロータリー付近の一車線を無理なく流すために信号が置かれている。白線から飛び出せな

もっとみる
春模様をアーカイブして

春模様をアーカイブして

倉庫を丸ごと借りたようなでっかい箱の中にこれでもかと並べられた古着。
ヨレてダボついたワイドデニムが、ハンガーにかけられて整列させられている。

どんなスタイリングが好きかと聞かれた場合には、ボタン付きシャツを着てネクタイを付けるスタイルが好きだと答える。
自由であり無限の選択肢があるっていうのに、わざわざシャツを合わせるのが好きだ。良い意味で捻くれているのだと、見ただけでなんとなくわからせるには

もっとみる

だるまさんとの攻防

映画館の気分の日に限って雨がしきりに降っていて、インドアでゆっくりしていたい日には太陽が顔を見せる。

太陽とだるまさんがころんだをしている間、互いが活発になる瞬間はゲームが終わるまで、見つけ出すことができない。振り返っても振り返っても停止しているにもかかわらず、距離はなぜか縮んでいる。
負けず嫌いな一面が顔を出し、一度振り返るにしても戦術を交えて、タイミングをずらそうと試みてはいるが、小手先のパ

もっとみる

2020年度の総括

みなさん、お疲れ様です。新年度のスタートの調子はいかがでしょうか。

お!いい返事が聞こえてきました。良かった。みなさんの活躍を私は願っていますよ。

さて、私ごとながら、2020年度を振り返ってみます。

とは言っても前半は自粛に自粛で思い出がないので、なかったことにしても気づかないのでカットします。

ニューノーマルを受け入れて、何かしようかなと思っていたところで、noteを始めました。夏頃の

もっとみる