ダイスロール

夕暮れ時の勝負運は、今日に限って僅かに足りていなかった。
ミスドのシュガーレイズドが食べたくなって、ジャージからデニムに履き替えた途端ににわか雨が降り出した。それまでの時の歩みの実感が湧いていなかったのは、時計の電池交換を怠ったからだとばかり思っていたが、どうやらそうでもなかったらしい。

約束を取り付け、予定時間の7分前に現地に到着するように時間を計算して、ロータリーを突っ走り、どうにかしてエンカウントを果たす。バタバタして過ごしていた金曜日のおかげで、二、三日分のコミュニケーションを一度に使い果たした。

ふと思ったのは、SNSも現実世界での立ち回りも、仕事モードプライベートモードをはっきりと分けすぎている。仕事モードというのは、仕事に限らず、コミュニケーション全般とアクティブな活動をひっくるめての総称としてだ。躁と近いようで同じではないもの。

不可侵で決して並ぶことがない双方を使いこなせなくても、使い分けてはいる。
というのも、仕事モードは営業日と似ているように見えたからで、仕事モードは毎日使うことはできないし、それを社会はもちろん受け入れる。それがシステムだから。

土曜日曜は世間体の公休にプライベートモードを重ねた。店のシャッターを閉じ、何にも頼らず、頭が横になったままの体制でひたすらに過ごした。力の入れ方を忘れるほどには脱力していた。散歩程度で日が沈む様子でも見ようと思ったら、雨が降ってくる。力が入りきらないし、「しょうがない」と言い切れる理由ができた。

気変わり地点を逃したと捉えるか、丸二日のプライベートモードを味わう権利を得たと捉えるか。選んでしまえばそれまでで、ラッキーなのか、自己嫌悪になるのかもここで枝分かれしていく。どうにでもなれと投げやりな今の自分には必要のない議論だ。いっそのこと、じゃんけんで決めてほしい。またはダイスロールで。

自分を甘やかしてご褒美に使わせていただきます。