だるまさんとの攻防
映画館の気分の日に限って雨がしきりに降っていて、インドアでゆっくりしていたい日には太陽が顔を見せる。
太陽とだるまさんがころんだをしている間、互いが活発になる瞬間はゲームが終わるまで、見つけ出すことができない。振り返っても振り返っても停止しているにもかかわらず、距離はなぜか縮んでいる。
負けず嫌いな一面が顔を出し、一度振り返るにしても戦術を交えて、タイミングをずらそうと試みてはいるが、小手先のパターン違いで引っかかるほどやわじゃない。
負けたくないと燃えているのは本心か童心か。とっくに勝負の世界から身を引いた自分としては、勝敗なんてどちらでもいいから早いこと決着をつけて太陽と一緒に帰りの道を歩きたい。同じ方向を向いて歩きたい。
明日の天気を相談して、合わせながら予定を立ててみたい。口裏を合わせて雨を引き止めてみたい。天変地異を書き換える役を担ってみたい。
空想が浮かぶごとに振り返る。まだ太陽は根気強く停止している。片目だけしっかりと瞑り、もう片方で影が伸びている様子を微かに感じ取った。
だるまさんがころんだは、また次の日にスタートラインからやり直すことになった。
自分を甘やかしてご褒美に使わせていただきます。