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エッセイ集

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#エッセイ

薔薇色の夢

薔薇色の夢

美しい香りにかこまれている
平凡なわたし
いつかはこんな花々に囲まれていたい
ガーデニングをして
ニワトリや子馬や
動物たちにかこまれて
くらしたい

ここにはたくさんの人が
薔薇を見るため
訪れているけれど
いつかはひとりで

噴水近くのベンチで
このエッセイをかいている

風が強い日。
ここまで飛沫が飛んでくる
頬や唇にひんやりしては
消えてゆく

果てしない夢を
平凡な日々に
調和しているよ

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きみの哲学と浮き雲

きみの哲学と浮き雲

きみの哲学が好きだ

やさしい水のような
冷たくも熱くもなく
その時の気分だけを
満たすものではないこと

おだやかな波のように
果てしなく広がる海に
抗うことなく
美しい音楽を伝えていること

いつかきみと話してみたい
カチコチと
時の音が揺する
浮き雲のうえで

レコードは何をかけようか
最近聞いてる音楽を
君にきかせてあげたい
まだ誰も知らない
j-popを

胡座をかいて
関係のない世界の

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夜の価値

夜の価値

夜の方が素敵な言葉たちが
表に出てきていることが多い

私の詩の大半は夜にかいたものが多いような気がする
覚えてないけど

ふわふわ浮いて踊ってる言葉が
脳の中を駆け巡ったり、
目の前を横切ったり、

それをつかまえては
苦しくないように整列させて、
言葉たちが穏やかに自由にいれることに気を遣いながら、
詩をつくりだす

夜の不思議

きっと宇宙にいちばん近い時間

そう思わざるをえない
わたしに

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汚れてしまえ

汚れてしまえ

どんなに幸せにしても
君の白目はまっしろなの
それが美しくて
憎くて
憧れで
君のからだから引きちぎって
今日に掲げて
未来へ駆け抜けていきたい
そうすればこの目も汚れてぼく色になる
キラキラな未来も
汚れてしまえ

茶埜子尋子

内宇宙的恋愛観

内宇宙的恋愛観

恋愛するなら夜がいいねって
恋人に言ったの
今度はなにを言い出すんだと
頭を傾げて、いつもどうりの、


夜であれば
きみは見えなくて
誰のものでもなくなって、
僕のものでもなくなるの

同じくぼくも見えなくて
誰のものでもなくなって、
君のものでもなくなるの

地球から放り出された星の粒みたいに

夜は小さな内宇宙

もう目を開けても
真っ暗闇の世界だ

抱きしめてるのは君?
感触はあるよ

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はじめて田原坂に行った話

はじめて田原坂に行った話

中学校くらいかな、
父が出かけるの好きで
休みの日はしょっちゅうどこかへ連れて行かれていた
ある日のドライブ先が、
田原坂だったのだ

田原坂にはいる向かいの道側に
まんじゅう屋さんがあって、
最後はそこに寄って帰ろうね、なんて
話しながら、
田原坂公園へ続く山道を登った

一の坂、二の坂という看板があって
どんどん上へ登っていくんだけど、
なんかね、すごく厳かな感じっていうか、
重い色をしていて

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ポエムの主人公になりたい、って話

ポエムの主人公になりたい、って話

ながれ星に乗って旅をしたり

(首元がリボンできゅっとなってるワンピース着て)

都会が見渡せる窓にブランコみたいに腰掛けて夜にかえる光をみつめたり

(傍らには珈琲、カラフルな部屋のソファーに茶トラの猫が眠ってて)

古いピアノがある教会で17時になったらトロイメライを弾くおじさんに出会って毎日通うようになったり

(イメージはイギリスの田舎町の鄙びた教会、少しずつ教えてもらって弾けるようになっ

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メガネ革命

メガネ革命

ふと思った
って言うか、
言葉になった
っていうか

色眼鏡を付けた方が綺麗にみえるって

夏に母の実家に帰って、
いとこ達と遊びに出かけた時のこと

2台か3台で行って、
わたしは兄貴の車に乗ったんだ
助手席

はい、って

Ray-Banの青色のサングラス

えーかっけー、こんなの持ってんだ
しゃれてるね

やろ

兄貴は別の黒いサングラスをかけた

ちょっとイケイケになれる気がして
うきうき

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透明が好き

透明が好き

好きな色はなに?って
聞かれたら
透明が好きってこたえたい
そんな余裕のある
自分でいたいだけ

いや、ちがうの
本当はもっとちゃんと考えてたけど、
書こうとしたら、止まっちゃった

できるなら、
色も
意味も
形もこえて
透明が好きになりたい

見えないものも
大事にしたいし、
きっとそっちの方が
世界は広い

月日の流れ

気持ちの流れ

枯葉 舗道 自転車

目に留まる色んなものにも
透明

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1月19日金曜日の話

1月19日金曜日の話

今日の晩御飯は水炊き
私がお皿を拭いている横で
祖母が一生懸命にお肉やら野菜やら
一生懸命にぶった斬っている
81歳、祖母、
わたし同じ歳なったらって考えると
骨付きの鶏肉ぶった斬るなんてできない、

てゆーか誰が食べるのよ、そんな量、、

祖父、祖母、父、母、わたし、妹
人数は足りてるけど、

みんな歳、とったよ、、

わたしの小さい頃から変わらない
晩御飯の量
食卓いっぱいに料理が並ぶのが

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雪が降る夜

雪が降る夜

雪が降る夜
2024年1月23日23時52分

初めて見た
こんなに明るい夜
雪が降る夜って
こんなに明るいんだ

子どものまんまの心が
はしゃいでる
降ったりやんだり
手前のゆらゆら雪を見たり
奥のごうごう雪を見たり
もう30分も飽きずに
眺めてる

九州に住んでるから
雪に馴染みがなくて、
小さい頃から夢みてた
大人になったら北海道に行って
さっぽろ雪まつりを見るんだ!って
現在進行形だけど

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過呼吸の音、生きているよ

過呼吸の音、生きているよ

不健康な黒い内蔵の中みたいだった
人間の恨みつらみの僻み妬みの禁足地に
足を踏み入れてしまった
汚い色して蠢いてる
汚れた言葉で遊んでる
酸素も足りない、
涙も足りない、
心もすべて足りなかった
手のひらでも掬えないくらいの
空気を肺いっぱいに吸い込もうとする
今のことだけに精一杯で
出すものも出せずに
無数の星をみる
渦にのまれていく
爆音のなかで死んでいく
新しい心音
体はすでに黒曜石と化して

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青いやさしい看板

青いやさしい看板

今なら誰かの言葉で簡単に
死ねる気がする
意味のない爽やかな言葉でさえ
藁人形に刺す釘のように
深く黒い鋭いもののように感じる
そんな自分が嫌だよ
分かってるけど
分かってるの
吹き出す気持ちは止まらないし
あの時の一瞬の出来事がこびりついている
錆びて腐って血の味がする
ああ、自分の気持ちだけで
死ねるな
ひとみを涙で覆いつくしながら
真っ直ぐな一本道を
ぐしゃぐしゃと走るんだ
そうしてほんとに

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光へ

光へ

誰にも知られないまま沈んでいた
うまく生きているように沈んでいた
のに
友が言うんだ
君の友達であることが誇らしいんだ
言葉ではうまく伝えられないけれど、と
うまく生きている自信はあったのに
わたしは生きている心地がしなかった
その言葉でわたしが一人死んだ
亡霊が死んだんだ
息苦しくなった
溺れている死んでしまう
必死にもがいて無我夢中で
光の射す方へもがいた
わたしの痺れた腕を引っぱりあげて

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