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青いやさしい看板



今なら誰かの言葉で簡単に
死ねる気がする
意味のない爽やかな言葉でさえ
藁人形に刺す釘のように
深く黒い鋭いもののように感じる
そんな自分が嫌だよ
分かってるけど
分かってるの
吹き出す気持ちは止まらないし
あの時の一瞬の出来事がこびりついている
錆びて腐って血の味がする
ああ、自分の気持ちだけで
死ねるな
ひとみを涙で覆いつくしながら
真っ直ぐな一本道を
ぐしゃぐしゃと走るんだ
そうしてほんとに
ここがどこかなんて
分からなくなって
まあとりあえず走ればいっかって
夕方までに帰ればいっかって
え、どう帰ればいんだっけって
ああ、もう帰らなくてもいっかって、
しっかり前もみれなくなって
よそ見ばっかりしてる視線に入る
青いやさしい看板
青いやさしい看板が
どうしても私のことを
心配らしい
そんな私もほっとしている気がして
私は居場所があったんだって
君の言うとおりに帰るんだ
君だけだよいつも同じ心を持っているのは
どんな気持ちも自分勝手な気持ちだなって
そう心に落とせるのも君がいるから
私の心のあおい線を
いまだに傷つけていないのも君がいるから
いつもありがとう、
いつも近くにいてよ、


茶埜子尋子

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