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内宇宙的恋愛観



恋愛するなら夜がいいねって
恋人に言ったの
今度はなにを言い出すんだと
頭を傾げて、いつもどうりの、



夜であれば
きみは見えなくて
誰のものでもなくなって、
僕のものでもなくなるの

同じくぼくも見えなくて
誰のものでもなくなって、
君のものでもなくなるの

地球から放り出された星の粒みたいに


夜は小さな内宇宙

もう目を開けても
真っ暗闇の世界だ

抱きしめてるのは君?
感触はあるよ
だけど、なんだか
分からないんだ

僕はぼくを忘れて
体を忘れる
君はどうなったのだろう

広く世界があるようで、
息が詰まるような感覚で、
漂いながら浮かんでる
何となくだけど、
この世に生まれ落ちる前の
子宮の中にいるみたい

誰かわからないような温もりに
ドキドキして
唇にあたる熱にときめいてる
誰なんだろうね
君みたいな誰かなんだろう

そして

そのうち宇宙の光のたまだけに
照らされて
気を遣って


そうなるまでは

止まれの横断歩道も
進めの青信号も

そうなるまでの
リハーサル

人工物に照らされている今夜は
手順をおってキスをして、
お手本通りの営みを

いけたらいいね、
宇宙の内側



茶埜子尋子

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