カフェバグダッド

中東コラムニスト。エジプト、イランに在住9年。中東の深さを、文化、歴史を交えて紹介。「…

カフェバグダッド

中東コラムニスト。エジプト、イランに在住9年。中東の深さを、文化、歴史を交えて紹介。「季刊アラブ」(日本アラブ協会発行)編集委員。ウェブストア https://cafebaghdad.booth.pm/ 執筆依頼などは、kubo3070★gmail.com (★→@)まで。

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記事一覧

文学フリマ大阪紀行…岐阜にはじまり奈良で終わる

東京以外で開催される文学フリマには、いつも滞在を前後に延長して、開催地周辺の物見遊山もしている。イベントに参加してZINEを売ってトンボ帰りでは、もったいない気がす…

秋は文学フリマの季節…大阪、札幌、福岡へと巡業します

年々、夏の暑さが厳しさを増すような気がして、秋が待ち遠しく感じるようになっている。9月の天候はどんな感じなのか、気にはなるが、来週から巡業のシーズンに入る。文学…

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欧州在住のクルド人社会の現実描いたトルコ映画…「二番目の妻」

日本に暮らすクルド人たちへのヘイトスピーチがますます醜悪さを増している。そうした言動を取る人たちは、いったいどれだけクルド人について知っているというのだろうか。…

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イラクの少数派ヤジーディ、女性たちの戦い…「バハールの涙」

イラクの宗教的少数派ヤジーディが、ISの奇襲攻撃を受け、多くが殺害されたり、拉致され監禁される惨事が起きてから、この8月で10年がたった。10年という時間は短いようで…

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自爆攻撃にかりたてる「絶望」描く…パレスチナ映画「パラダイスナウ」

 イスラエルによるガザ攻撃が延々と続いている2024年の夏。肉親・親戚・友人を失ったパレスチナ人の絶望感の大きさは計り知れないものがある。イスラエルがガザ空爆の根拠…

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朝鮮半島の土俗的精神世界とホラー・エンタメの融合…韓国映画「憑依」

韓国映画は、昔よくみていたが、長くごぶさただった。韓国映画に限らず、ホラーとか、オカルト系もほとんどみることがない。だから、この「憑依」を見て、いろいろと新鮮に…

幻想的ドキュメンタリー「古代都市シャフレ・スーフテ」

東京イラン映画祭の最終日(3日目)。アフガニスタン国境近くの荒涼とした土漠で発掘が進められるシャフレ・スーフテ遺跡の発掘の様子を、当時の古代都市の人々の暮らしを再…

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聖地でよみがえった親子の愛...イラン映画「前約束なしで」

「東京イラン映画祭」の2日目。前日はペルシャ湾岸を舞台にした、ジリジリとした暑さを感じる作品だったが、この日は、主人公の女性が暮らすドイツと、冬か秋のイラン北東…

戦争を少年の視線から描く-イラン映画「ヤドゥ」

「東京イラン映画祭」が今年も始まった。東京・港区のリーブラ・ホールを会場に、3日間で7作品が上映される。在京イラン大使館の文化部局が毎年開催しているもので、予約不…

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問題提起といやしの「合わせ技」…ノルウェー映画「ヒューマン・ポジション」

氷河が作り出したフィヨルド地形に囲まれた美しい街、ノルウェー・オーレスンが舞台。病気休職を経て、地元新聞社に復帰した女性の仕事とプライベートを、北欧の風景や街並…

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甘味好きのワンダーランドをめぐる…岡崎伸也さんトーク④(お菓子編)=おわり

岡崎伸也さんのトルコ料理トークの紹介も、これで最終回。お菓子編となる。ここでは、見出しにした料理名については、なるべく日本語に翻訳して書いてみた。ところが、お菓…

野菜こそが、トルコ料理の主役…岡崎伸也さんトーク③(野菜料理編)

東京・西荻窪の「旅の本屋のまど」で先日行われた、「食で巡るトルコ」出版を記念した岡崎伸也さん(写真右。左は版元の「阿佐ヶ谷書院」の島田真人さん)のトークイベント。…

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地中海、黒海でとれる豊富な魚介類を味わう…岡崎伸也さんトーク②(魚料理編)

東京・西荻窪の「旅の本屋のまど」で7月18日に行われた、「食で巡るトルコ」の著者、岡崎伸也さんのトークイベントの内容をダイジェストで紹介。 1回目の①では肉料理。2…

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山も海も、広いトルコが育む多彩な郷土料理…岡崎伸也さんトーク①(肉料理編)

東京・西荻窪の「旅の本屋のまど」で、「食で巡るトルコ」の著者、岡崎伸也さんのトークイベントがあったので、これは外せないと思い、行ってきた。 岡崎さんは、島根県益…

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自然とともに生きている、クルド人の「芯」描く…クルド映画『別れ』

クルド人が多く暮らす街としても知られる埼玉県川口市で、今年もSKIPシティ国際Dシネマ映画祭が開かれている。首都圏で上映される、中東に関係した映画をフォローしている…

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新聞コラムに20年の歩み紹介…食を入り口に「一歩先への懸け橋に」

12日付の毎日新聞夕刊コラム「憂楽帳」で、カフェバグダッドの20年の活動が紹介された。 ここに記事全文を貼り付けることはできないことをご理解いただきたい。ブログ「カ…

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文学フリマ大阪紀行…岐阜にはじまり奈良で終わる

文学フリマ大阪紀行…岐阜にはじまり奈良で終わる

東京以外で開催される文学フリマには、いつも滞在を前後に延長して、開催地周辺の物見遊山もしている。イベントに参加してZINEを売ってトンボ帰りでは、もったいない気がするからだ。とはいえ、これだけ長旅になったのは初めてのこと。

今回の文学フリマ大阪(9月8日開催)では、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、奈良県を1週間かけて回った。車を運転して移動し、大都市にはほとんど足を踏み入れず、いわゆる郊外のよう

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秋は文学フリマの季節…大阪、札幌、福岡へと巡業します

秋は文学フリマの季節…大阪、札幌、福岡へと巡業します

年々、夏の暑さが厳しさを増すような気がして、秋が待ち遠しく感じるようになっている。9月の天候はどんな感じなのか、気にはなるが、来週から巡業のシーズンに入る。文学フリマへの出店が続くのだ。

まず、9月8日の日曜日には、大阪で。

文学フリマ詳細情報⤵
https://bunfree.net/event/osaka12/

1昨年(9月25日)、昨年(9月10日)に続いて3回目。会場は天満橋駅近くの

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欧州在住のクルド人社会の現実描いたトルコ映画…「二番目の妻」

欧州在住のクルド人社会の現実描いたトルコ映画…「二番目の妻」

日本に暮らすクルド人たちへのヘイトスピーチがますます醜悪さを増している。そうした言動を取る人たちは、いったいどれだけクルド人について知っているというのだろうか。故郷を離れてくらす彼らがおかれている状況、彼らの心情について、少しでも考えることがあるのだろうか。SNSに口汚い言葉を書き連ねる時間があるなら、ぜひ、鑑賞してもらいたい映画を紹介したい。2020年に開催されたイスラーム映画祭で上映された作品

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イラクの少数派ヤジーディ、女性たちの戦い…「バハールの涙」

イラクの少数派ヤジーディ、女性たちの戦い…「バハールの涙」

イラクの宗教的少数派ヤジーディが、ISの奇襲攻撃を受け、多くが殺害されたり、拉致され監禁される惨事が起きてから、この8月で10年がたった。10年という時間は短いようで長く、その後、中東では、パレスチナ・ガザでの惨劇などが発生し、ISが犯した数々の蛮行は、特に、現地から遠く離れた日本では、すでに歴史の彼方にかすんでしまっている感も否めない。

そうした歴史を少しでも思い返してもらいたい、という気持ち

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自爆攻撃にかりたてる「絶望」描く…パレスチナ映画「パラダイスナウ」

自爆攻撃にかりたてる「絶望」描く…パレスチナ映画「パラダイスナウ」

 イスラエルによるガザ攻撃が延々と続いている2024年の夏。肉親・親戚・友人を失ったパレスチナ人の絶望感の大きさは計り知れないものがある。イスラエルがガザ空爆の根拠にするパレスチナ武装組織による「テロ」については、なぜ彼らがそうした攻撃をするのか、についてよく考える必要がある。2007年春に日本で公開された「パラダイスナウ」という映画は、まさにその点を描いた作品だ。以下は、2007年4月9日に、当

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朝鮮半島の土俗的精神世界とホラー・エンタメの融合…韓国映画「憑依」

朝鮮半島の土俗的精神世界とホラー・エンタメの融合…韓国映画「憑依」

韓国映画は、昔よくみていたが、長くごぶさただった。韓国映画に限らず、ホラーとか、オカルト系もほとんどみることがない。だから、この「憑依」を見て、いろいろと新鮮に感じることも多く、飽きずに楽しむことができた。普段は、中東地域に関連した、特に社会派系作品をもっぱら鑑賞しているのだが、こうした国もジャンルも違う作品もたまにはいい。気持ちも、映画をみる視点も変わる。

祈祷師の家系の医師で、除霊と称した儀

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幻想的ドキュメンタリー「古代都市シャフレ・スーフテ」

幻想的ドキュメンタリー「古代都市シャフレ・スーフテ」

東京イラン映画祭の最終日(3日目)。アフガニスタン国境近くの荒涼とした土漠で発掘が進められるシャフレ・スーフテ遺跡の発掘の様子を、当時の古代都市の人々の暮らしを再現する映像を交えて紹介するドキュメンタリー。

発掘に参加するイタリア人考古学者なども登場。地の果てといいたくなる場所で国際的な研究が行われている、ということにまず驚いた。

研究でおぼろげながら分かってきた、古代都市の実像も興味深い。映

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聖地でよみがえった親子の愛...イラン映画「前約束なしで」

聖地でよみがえった親子の愛...イラン映画「前約束なしで」

「東京イラン映画祭」の2日目。前日はペルシャ湾岸を舞台にした、ジリジリとした暑さを感じる作品だったが、この日は、主人公の女性が暮らすドイツと、冬か秋のイラン北東部マシュハドを舞台にした作品。イランの国土の広さや気候の多様さを感じさせる。

30年会っていなかった父の死の知らせを受けた主人公が、父が残した遺産を確認するため、晩年を過ごしたマシュハドへひとり息子と一緒に向かう。マシュハドは、イスラム教

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戦争を少年の視線から描く-イラン映画「ヤドゥ」

戦争を少年の視線から描く-イラン映画「ヤドゥ」

「東京イラン映画祭」が今年も始まった。東京・港区のリーブラ・ホールを会場に、3日間で7作品が上映される。在京イラン大使館の文化部局が毎年開催しているもので、予約不要、鑑賞無料ということもあり、イランという国を映画というメディアを通じて機会として、定着してきた感がある。

初日、「ヤドゥ」という作品をみる。イラン・イラク戦争(1980-1988)をヤドゥという名の少年を主人公に描いた作品だった。開戦

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問題提起といやしの「合わせ技」…ノルウェー映画「ヒューマン・ポジション」

問題提起といやしの「合わせ技」…ノルウェー映画「ヒューマン・ポジション」

氷河が作り出したフィヨルド地形に囲まれた美しい街、ノルウェー・オーレスンが舞台。病気休職を経て、地元新聞社に復帰した女性の仕事とプライベートを、北欧の風景や街並みとともに描く。女性は記者として、ある事件をきっかけに消息を絶った難民申請者の行方を追いかけている。

と、書くと、社会派作品の範疇という印象にもなるが、みていて、そういう雰囲気がほとんどない、静かで淡々としたタッチの不思議な映画だった。美

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甘味好きのワンダーランドをめぐる…岡崎伸也さんトーク④(お菓子編)=おわり

甘味好きのワンダーランドをめぐる…岡崎伸也さんトーク④(お菓子編)=おわり

岡崎伸也さんのトルコ料理トークの紹介も、これで最終回。お菓子編となる。ここでは、見出しにした料理名については、なるべく日本語に翻訳して書いてみた。ところが、お菓子について書き進めるいたところ、お菓子については、日本語に置き換えるのが難しいものが多いことが分かった。それだけユニークで、多言語での説明が難しいということなのだろう。確かに、ロクムは「ゆべし」とか、バクラヴァは「パイ」とか、そんな言い換え

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野菜こそが、トルコ料理の主役…岡崎伸也さんトーク③(野菜料理編)

野菜こそが、トルコ料理の主役…岡崎伸也さんトーク③(野菜料理編)

東京・西荻窪の「旅の本屋のまど」で先日行われた、「食で巡るトルコ」出版を記念した岡崎伸也さん(写真右。左は版元の「阿佐ヶ谷書院」の島田真人さん)のトークイベント。

https://note.com/cafebaghdad/n/n9963872eadc2

プロジェクターを使って岡崎さんが解説した料理の数々を、本人の許諾を受けて写真付きで紹介してきた。①肉料理、②魚料理ときて3回目は、野菜料理にな

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地中海、黒海でとれる豊富な魚介類を味わう…岡崎伸也さんトーク②(魚料理編)

地中海、黒海でとれる豊富な魚介類を味わう…岡崎伸也さんトーク②(魚料理編)

東京・西荻窪の「旅の本屋のまど」で7月18日に行われた、「食で巡るトルコ」の著者、岡崎伸也さんのトークイベントの内容をダイジェストで紹介。

1回目の①では肉料理。2回目の②は、魚料理を振り返っていく。※は、私のコメントになる。

イカフライ(カラマル・タワ)

揚げる時、衣に炭酸水を入れるとカリッとした仕上がりになる。ソースが独特で、ヨーグルトに酢を加え、パンも入れる。トルコの居酒屋メイハネの定

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山も海も、広いトルコが育む多彩な郷土料理…岡崎伸也さんトーク①(肉料理編)

山も海も、広いトルコが育む多彩な郷土料理…岡崎伸也さんトーク①(肉料理編)

東京・西荻窪の「旅の本屋のまど」で、「食で巡るトルコ」の著者、岡崎伸也さんのトークイベントがあったので、これは外せないと思い、行ってきた。

岡崎さんは、島根県益田市出身。現在は岡山市在住とのことで、去年の出版以降、初の東京でのトークイベントとなった。「のまど」さんのほか、7月20日には、世田谷区のトルコ工芸品セレクトショップ「ワサビ・エリシ」さんでも、トークイベントがあるようだ。いずれにしても首

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自然とともに生きている、クルド人の「芯」描く…クルド映画『別れ』

自然とともに生きている、クルド人の「芯」描く…クルド映画『別れ』

クルド人が多く暮らす街としても知られる埼玉県川口市で、今年もSKIPシティ国際Dシネマ映画祭が開かれている。首都圏で上映される、中東に関係した映画をフォローしている私にとっては、今年の注目作は、トルコのクルド人であるハサン・デミルタシュ監督の「別れ」。外せない作品だ。ということで、雨雲ただよう天気の中、川口のトルコ料理レストランで朝食の腹ごしらえをした後、映画祭会場を訪れた。

上映後のティーチイ

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新聞コラムに20年の歩み紹介…食を入り口に「一歩先への懸け橋に」

新聞コラムに20年の歩み紹介…食を入り口に「一歩先への懸け橋に」

12日付の毎日新聞夕刊コラム「憂楽帳」で、カフェバグダッドの20年の活動が紹介された。

ここに記事全文を貼り付けることはできないことをご理解いただきたい。ブログ「カフェバグダッド」を開始した2004年までさかのぼって紹介いただいた。カフェバグダッドの歴史については、以下のnoteマガジンも参照してもらえればと思う。2つの連載記事で構成されている。

これらは、最新刊のZINE「中東カフェを旅する

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