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東京国際映画祭2024まで1か月...中東映画のラインナップは

2024年の東京国際映画祭(TIFF)は、10月28日~11月6日の日程で開催される。9月25日、出品作品を発表する記者会見が、映画祭の主会場でもある東京・日比谷のミッドタウンで開かれた。主なフォロー対象の中東関連映画のラインナップを紹介したい。

コンペティション部門

「士官候補生」(アディルハン・イェルジャノフ監督)

市山尚三プログラムディレクターも話していたが、今年の映画祭は中国など東アジアの作品が多いのが特徴だ。コンペ部門でいうと、いわゆる中東の作品はゼロ。イスラム圏ということでいうと、このカザフスタン作品が唯一ということになる。士官学校に入学した少年の視点から、軍内部の暴力・虐待をホラー仕立てで描く作品。

アジアの未来部門

「昼のアポロン 夜のアテネ」(エミネ・ユルドゥルム監督)
トルコの女性監督のデビュー作。母を探し地中海沿いの古代遺跡のある町を訪ねた女性が主人公の「ファンタジー風味」(市山さん)の作品。カメラがとらえた風景もすばらしいという。

「冷たい風」(モハマッド・エスマイリ監督)
イラン映画。雪山で登山隊が遭難し、男性遺体が発見されるが、それをきっかけに15年前の別の事件が浮上。主任調査官の主観ショットがほとんどという「斬新なスタイル」(プログラムディレクター・石坂健治さん)の作品。

「シマの歌」(ロヤ・サダト監督)
共和制から社会主義に移行する1978年のアフガニスタンを舞台に、対照的な生い立ちの女子大生が、その後の内戦で翻弄されるというストーリー。監督は、女性解放運動家でもあるという。

「春が来るまで」(アシュカン・アシュカニ監督)
監督デビュー作のイラン映画。夫の自殺を受け入れられず、夫がまだ生きているかのように振る舞う妻の話。

ワールド・フォーカス部門


「スウェーデン・テレビ放送に見るイスラエル・パレスチナ 1958-1989」(ヨーラン・ヒューゴ・オルソン監督)
30年にわたりスウェーデン国営テレビで放映されたイスラエル・パレスチナ関連番組を編集し、イスラエル・パレスチナ問題の起源と推移を検証するドキュメンタリー。

ウィメンズ・エンパワーメント部門

「10セカンズ」(ジェイラン・オズギュン・オズチェリキ監督)
トルコ映画。名門高校生徒の退学処分をめぐり、正体不明のカウンセラーと母親の一触即発の戦いを描く。

「マイデゴル」(サルヴェナズ・アラムベイギ監督)
イランに暮らす10代のアフガニスタン人女性が保守的な家族や敵対的な周囲に逆らい、プロのムエタイ選手になる夢を追い求める。

「私の好きなケーキ」(マリヤム・モガッダム監督、べタシュ・サナイハ監督)
テヘランに暮らす主人公マヒンの静かな生活は、友人とのお茶をきっかけに変化。他者とのつながりを取り戻す。やがてそれは思いがけないロマンスと忘れがたい一夜を誘う。

以上。中東映画については、開幕までに関連情報を随時アップしていきたい。なお、このカフェバグダッドnoteでは、「中東シネマ倶楽部」というマガジンを更新している。関心のある方はチェックしてみて欲しい。例年通り、東京国際映画祭で見た中東映画レビューは、こちらに順次収録していくつもりだ。

開幕まであと1か月。今年もどんな映画との出会いがあるか、とても楽しみだ。






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