カフェバグダッド

中東コラムニスト。エジプト、イランに在住9年。中東の深さを、文化、歴史を交えて紹介。「…

カフェバグダッド

中東コラムニスト。エジプト、イランに在住9年。中東の深さを、文化、歴史を交えて紹介。「季刊アラブ」(日本アラブ協会発行)編集委員。ウェブストア https://cafebaghdad.booth.pm/ 執筆依頼などは、kubo3070★gmail.com (★→@)まで。

マガジン

  • 世界と日本をつなぐ人たち

    世界に存在する素晴らしいモノ、コトを日本に届けてくれる人を紹介していきます。アラビア書道の美を理論的に説明する本田孝一さん、ペルシャの幻の陶芸技法「ラスター彩」を現代によみがえらせた美濃焼の大家、加藤卓男・幸兵衛両氏など。日本とのかけ橋にならんとしている外国出身者の方々も紹介していきたいと思います。

  • 中東シネマ倶楽部

    中東(オリエント)地域の映画レビュー、映画祭リポートをお届けします。

  • カフェバグダッドニュース

    プレスリリースを含め、カフェバグダッドについての過去のお知らせなどをまとめています。

  • ワールドシネマ・レビュー

    カフェバグダッドが鑑賞した中東関連以外の各国映画のレビューが収録されています。

  • カフェバグダッド20年史

    2004年に設立された「カフェバグダッド」の歴史を振り返ります。サブストーリーとして、SNS発展史との関係を記した連載も収録しています。

最近の記事

甘味好きのワンダーランドをめぐる…岡崎伸也さんトーク④(お菓子編)=おわり

岡崎伸也さんのトルコ料理トークの紹介も、これで最終回。お菓子編となる。ここでは、見出しにした料理名については、なるべく日本語に翻訳して書いてみた。ところが、お菓子について書き進めるいたところ、お菓子については、日本語に置き換えるのが難しいものが多いことが分かった。それだけユニークで、多言語での説明が難しいということなのだろう。確かに、ロクムは「ゆべし」とか、バクラヴァは「パイ」とか、そんな言い換えもよくみられるが、何かしっくりこないのだ。 まあ、可能な範囲で日本語に置き換え

    • 野菜こそが、トルコ料理の主役…岡崎伸也さんトーク③(野菜料理編)

      東京・西荻窪の「旅の本屋のまど」で先日行われた、「食で巡るトルコ」出版を記念した岡崎伸也さん(写真右。左は版元の「阿佐ヶ谷書院」の島田真人さん)のトークイベント。 https://note.com/cafebaghdad/n/n9963872eadc2 プロジェクターを使って岡崎さんが解説した料理の数々を、本人の許諾を受けて写真付きで紹介してきた。①肉料理、②魚料理ときて3回目は、野菜料理になる。(※は、私のコメント) アーティーチョークの詰め物(エンギナル・ドルマス)

      • 地中海、黒海でとれる豊富な魚介類を味わう…岡崎伸也さんトーク②(魚料理編)

        東京・西荻窪の「旅の本屋のまど」で7月18日に行われた、「食で巡るトルコ」の著者、岡崎伸也さんのトークイベントの内容をダイジェストで紹介。 1回目の①では肉料理。2回目の②は、魚料理を振り返っていく。※は、私のコメントになる。 イカフライ(カラマル・タワ) 揚げる時、衣に炭酸水を入れるとカリッとした仕上がりになる。ソースが独特で、ヨーグルトに酢を加え、パンも入れる。トルコの居酒屋メイハネの定番メニュー。 ※メイハネでついつい頼んでしまう。ビールに合う「鉄板」のおつまみ。

        • 山も海も、広いトルコが育む多彩な郷土料理…岡崎伸也さんトーク①(肉料理編)

          東京・西荻窪の「旅の本屋のまど」で、「食で巡るトルコ」の著者、岡崎伸也さんのトークイベントがあったので、これは外せないと思い、行ってきた。 岡崎さんは、島根県益田市出身。現在は岡山市在住とのことで、去年の出版以降、初の東京でのトークイベントとなった。「のまど」さんのほか、7月20日には、世田谷区のトルコ工芸品セレクトショップ「ワサビ・エリシ」さんでも、トークイベントがあるようだ。いずれにしても首都圏で岡崎さんの話を聞ける貴重な機会。 その、岡崎さん、もともと地元の益田市で

        甘味好きのワンダーランドをめぐる…岡崎伸也さんトーク④(お菓子編)=おわり

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        記事

          自然とともに生きている、クルド人の「芯」描く…クルド映画『別れ』

          クルド人が多く暮らす街としても知られる埼玉県川口市で、今年もSKIPシティ国際Dシネマ映画祭が開かれている。首都圏で上映される、中東に関係した映画をフォローしている私にとっては、今年の注目作は、トルコのクルド人であるハサン・デミルタシュ監督の「別れ」。外せない作品だ。ということで、雨雲ただよう天気の中、川口のトルコ料理レストランで朝食の腹ごしらえをした後、映画祭会場を訪れた。 上映後のティーチインで監督自身が明らかにしたことだが、この作品は、監督の自伝的な作品だ。クルド人も

          自然とともに生きている、クルド人の「芯」描く…クルド映画『別れ』

          新聞コラムに20年の歩み紹介…食を入り口に「一歩先への懸け橋に」

          12日付の毎日新聞夕刊コラム「憂楽帳」で、カフェバグダッドの20年の活動が紹介された。 ここに記事全文を貼り付けることはできないことをご理解いただきたい。ブログ「カフェバグダッド」を開始した2004年までさかのぼって紹介いただいた。カフェバグダッドの歴史については、以下のnoteマガジンも参照してもらえればと思う。2つの連載記事で構成されている。 これらは、最新刊のZINE「中東カフェを旅する」にも収録されている。ZINEには、さらに20年間の経緯をまとめた年表も載ってい

          新聞コラムに20年の歩み紹介…食を入り口に「一歩先への懸け橋に」

          「文学フリマ東京38」で買った本、買えなかった本

          2021年から毎回、出店し続けている「文学フリマ東京」。自分が作ったZINE(同人誌)を販売することが当初の目的だったが、他の出店者のブースを見て歩くのも大きな楽しみになっている。自店を離れて出歩けるのは共同出店者がいたり、売り子の手伝いをしてくれる人たちがいてくれるからでもある。改めて感謝。共同出店には、相乗効果とか、店の文脈形成とか色々メリットはあると思うのだが、自分も1人の客になって会場を歩きまわることが可能になる、という点も大きい。 ということで、まず、今回買った本

          「文学フリマ東京38」で買った本、買えなかった本

          初の参加者有料開催、「文学フリマ東京38」雑感

          文学フリマ東京への参加は、2021年11月23日の初回以来、6回目になる。きのう、5月19日に東京流通センターで開催された「文学フリマ東京38」について、気づいたことをあれこれ書いてみたい。 【参加者も有料に】 前回と比べた最も大きな変化は、参加者からの1000円の入場料徴取だろう。にもかかわらず、会場はかなりの混雑ぶりになった。正式な集計値は把握していないが、実感としては過去最多クラスなのではないか。 結果として、入場無料か有料かどうかは、入り込み者数の動向にあまり影響

          初の参加者有料開催、「文学フリマ東京38」雑感

          長崎に投下された原爆と深くつながる街…映画「リッチランド」

          米西部ワシントン州にひろがる大自然の中で、第二次世界大戦末期、長崎に投下された原爆の原料、プルトニウムが作られた。そこで働く人々のために作られた街、リッチランド。地名は、何か示唆的でもある。 アイリーン・ルスティック監督のドキュメンタリー作品は、1943年から1987年まで稼働した核燃料生産拠点「ハンフォード・サイト」に働く人々のために作られた街、リッチランドが舞台。そこに暮らす人々とアメリカの核開発の関わりの歴史を丹念につづった「叙事詩的な」作品だ。 リッチランドにある

          長崎に投下された原爆と深くつながる街…映画「リッチランド」

          20年・10年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談③

          比呂 さっきも話した、ボスのピーターですけど、おみやげに肖像画をたくさん買ってきてくれるんですよ。モロッコに旅行行った時も買ってきてくれて。そこにあるモロッコの王様(の肖像画)は、全部ピーターからの寄贈です。たくさんあります。 カ なんていうか、貢献がすごいですね。 比呂 貢献した人です。顕彰しないといけない、ピーターは。 指導者の肖像画を集め始めたのは、国、というものにものすごく意識的だったからと思う。私が帰国子女だった、ってのがある。国に対する意識がすごく高いんですね

          20年・10年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談③

          静謐な風景の中の痛々しい心理劇…フランス映画「落下の解剖学」

          予備校に通っていた時代の友人と久しぶりに会って会食していた時に勧められた作品。カンヌ映画祭の最高賞「パルムドール」受賞作。勧められた時には、この作品のことを知らなかったのだが、公式サイトをチラ見した段階では、コーエン兄弟監督作の米映画「ファーゴ」みたいな?と反射的に思い、その友人も否定しなかったので、そんな感じかな、と思って劇場に行ったのだが、かなり色合いの異なる作品だったように思う。 スランプに陥っている作家が、自宅から謎の転落死を遂げる。他殺か、自殺か、事故死なのか、を

          静謐な風景の中の痛々しい心理劇…フランス映画「落下の解剖学」

          20年・10年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談②

          カ 1997年、私は東京にいて、新聞記者をしていました。1991年に新聞社に就職して、1997年に国際報道を担当する外報部という部署に異動しました。 比呂 それは何歳の時ですか。 カ 29歳ですね。 比呂 その前は、別の部署。 カ 地方ですね、金沢とか、地震があった能登半島の珠洲、輪島とかで働いていました。 比呂 そういう地方に行ってから外報部に行く。 カ それが、だいたい新聞社のパターンです。いわゆる「海外特派員」を目指していたので、ようやく自分の夢に届くところ

          20年・10年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談②

          20年・10年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談①

          4月3~7日の5日間にわたり、東京・荻窪のライブスペース「Sugar Cube」にて開催されたイベント「カフェとプロパガンダ」。カフェバグダッド設立20年と、比呂啓さん主宰の「"ゼロ"プロパガンダン展」10周年の記念イベントだった。ここで行われたトークショーの一部を、順次テキスト化していきたい。臨場感を少しでも味わっていただけたらと思う。まずは、5日に行われた比呂さんとカフェバグダッドが、それぞれの歴史を振り返った回から。 比呂 今日は、平日の昼間にもかかわらず、わざわざ来

          20年・10年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談①

          未来に進んでいくための指針…20年の節目にZINEを発行します

          コロナ禍が人生のなんらかの転機になった人は多いのではないか。私も、ある意味そうだ。外に出歩けなくなって空いた時間を使い、捨てずにとっておいた諸々の資料などをスキャンしてクラウドに保存するという作業を黙々と続けた。選別作業の中で、必然的に過去を振り返ることになった。 そんな中で、文学フリマなどに一緒に出展していた、映像ディレクターの比呂啓さんから、「カフェバグダッドが20周年になるなら、記念イベントを一緒にやりませんか」と誘われた。比呂さんは、世界の指導者の肖像画を収集して自

          未来に進んでいくための指針…20年の節目にZINEを発行します

          イランの大自然の中で、夢の実現に格闘する女性…「メークアップ・アーティスト」

          イランの映画監督、ジャファール・ナジャフィ監督のドキュメンタリー作品。イラン南部ザグロス山脈の遊牧民に嫁いだ女性が、メークアップアーティストになる夢を実現させるため、保守的で伝統的な価値観にどっぷりつかる夫をあの手この手で説得していく、という物語。東京・渋谷の「ユーロライブ」で開催されたイスラーム映画祭の最終日に鑑賞した。過去には、2021年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映されたことがある。 舞台はおそらくチャハルマハール・バフティヤーリー州。夫婦ともに一帯に暮らす遊

          イランの大自然の中で、夢の実現に格闘する女性…「メークアップ・アーティスト」

          歌あり踊りあり、それでいて深い社会批評…エジプト映画「炎のアンダルシア」

          イスラーム映画祭がきのう終了した。今回、鑑賞したのは計5本。1本づつレビューを書いて、noteに開設しているマガジン「中東シネマ倶楽部」にアップしている。ここでは、最終日の23日にみたうちの一本、エジプト映画「炎のアンダルシア」について。 この作品、個人的に強い思い入れがある。1997年の制作で、日本では翌年の1998年にフランス映画社の配給で公開された。私は当時、東京で英語で書く新聞記者をしていて、この映画について取材をしたことがあった。 最も印象に残っているのは、エジ

          歌あり踊りあり、それでいて深い社会批評…エジプト映画「炎のアンダルシア」