聖地でよみがえった親子の愛...イラン映画「前約束なしで」
「東京イラン映画祭」の2日目。前日はペルシャ湾岸を舞台にした、ジリジリとした暑さを感じる作品だったが、この日は、主人公の女性が暮らすドイツと、冬か秋のイラン北東部マシュハドを舞台にした作品。イランの国土の広さや気候の多様さを感じさせる。
30年会っていなかった父の死の知らせを受けた主人公が、父が残した遺産を確認するため、晩年を過ごしたマシュハドへひとり息子と一緒に向かう。マシュハドは、イスラム教シーア派イマーム(指導者)の霊廟がある宗教的な聖地。歴史的なイスラム建築の修復をしていたという父の知られざる一面を、主人公は知ることになる。導いてくれるのは、父に世話になったという1人の建築技師。
ストーリーが複雑で、筋についていくのに苦労したが、聖地マシュハドの伝統建築群や霊廟の内部、マシュハド郊外の自然、人々の生活や文化も織り込まれていて、そうした映像美も楽しめる作品だった。いつもながら、イラン文化センターのイラン専門家、森島さんの映画解説もありがたかった。
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