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とりとめもないこと

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忘れたくない日々の些事について
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#エッセイ

3月28日、日曜、雨のち晴れ。

3月28日、日曜、雨のち晴れ。

うまく眠りにつけないとき、わたしはお香を焚く。

なんて言うと小洒落たナイトルーティンのように聞こえるかもしれないが、お香の何がいいって秋田のおばあちゃんちの匂いがすることだ。

「おばあちゃんちの匂い」とは、つまりお仏壇が置いてある畳部屋で放たれていた、お線香の香り…。どんな香りに癒やされようが自由でしょう。

アロマキャンドルにしたってそう。「アロマ」の部分ではなく、「キャンドル」の火が消える

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春はあけぼのなのか問題

春はあけぼのなのか問題

この頃の、早朝。

毛布にくるまるような寒さがなくなって太陽のぽかぽかした光を浴びたとき、虫やら草花やら、生命の息吹が聞こえるようで、朝がやって来たのが嬉しくって「春はあけぼのだなぁ」と感じる。

しかしながら、気付く。

ついこの間まで、冬は冬で玄関を出てまだ汚されていないみずみずしい空気に触れて、「やっぱり冬はつとめてですねぇ先輩」と思っていた。

「どっちも早朝ですやん・・・?!」ど

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心からハハハと笑うために。

心からハハハと笑うために。

もう、顔はほぼ泣いていた。

どうしてメンヘラ全開の日に六本木まで行って“グルイン”とやらに参加しないといけないのか。
こんなに生き生きしていない目で、「はじめまして〜」なんてさいあくだ。
それでもどうにか無理やり目を細くして口角上げて、「そうですね、マラソン大会は冬だけでなく夏にもやってほしいです」なんて言ってしまった。マラソンは本当に好きだし嘘ではないけれど。(何のグルインかはご想像にお任せし

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誤読を疑う、という慎み。

誤読を疑う、という慎み。

むかし、恋人との別れ際にわたしがLINEで放った一言で、相手を不愉快な気持ちにさせてしまったことがあった。

彼からの返信には、「その言葉が悲しい」とあった。

性格の構成要素を原材料名のように並べるとしたら、まちがいなく一番頭に「やさしさ」がきて「思慮深い」もトップ5にくるような人だったから「悲しい」という言葉を選んだのだろうけれど、きっと悲しさだけじゃなくて、内心ふざけんなこのアマァッ!なんて

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ペットよりもキケンなものもの

ペットよりもキケンなものもの

「ひとり暮らしのアラサー女子が猫を飼い出したらいよいよ危ない」なんて話があったりする。

猫なんていう可愛くてか弱い存在と暮らしてしまったら寂しさを感じなくなって、恋愛から遠のいてしまう、そして婚期を逃してしまう、という、ざっくりそんな意。

わたしは動物があまり得意ではないので、そもそもペットOKのマンションには絶対に住まないけれど(可愛げがなくてざんねん。たぶん、幼稚園の遠足でひよこまみれの囲

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特筆すべきことがない日。

特筆すべきことがない日。

noteという場所で書く上で、決まり事がある。誰に決められたわけでもない、自分で設けたマイルール。

それは「嘘は書かない。正直に、ありのままの気持ちを書く」ということ。

そんなこんなで、ぶっちゃけ、控えめに言って、今日はまるっきりネタがない。

一昨日ついに引っ越しをしたんだけれども、特段感傷に浸ることもなかった。社会人になって、初めての一人暮らしを経験した清澄白河。「清くて澄んでる白い河」と

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「お金のために働く」の意味

仲良しの女の子とふたりで話していると、「私たちって本当に考え方真逆だよねぇ」なんて話になったりする。

「類友」という言葉があるように、どこかしら自分と共鳴する部分があるからこれだけ一緒にいるのだろうけれど、単なる気持ちいい共感だけでは物足りないのは、異なる価値観をもっと知りたいという好奇心から来てるのかもしれない。どうしたってないものねだりで、自分が持ち得ないものを持っている人に惹かれてしまう。

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断捨離できなかったものは大事に使い込め。

断捨離できなかったものは大事に使い込め。

4月にお引越しするので、着々と断捨離せねばです。コンマリさんは「心がときめく(spark joyする)ものは取っておけ」という。ところがその「心がときめく」って感覚が結構難しい。人が恋に落ちた時の「好きってなんなのよ?!」状態。普段から他人や世間の意見を耳を傾けすぎたり、感情に蓋をしてしまう癖がついている人にとっては特にしんどい作業だろう。

私は何においても捨てることが苦手だと自覚している。(こ

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本当に話すことが苦手なのか

本当に話すことが苦手なのか

プレゼンというものに苦手意識がある。特に立ちながらスクリーンに写したパワポを指して進める形式なんてもってのほかだ。

中学生の頃から、学校の教室(一人一人の表情がよく見渡せるサイズの空間)において人前で話ことが大の苦手だった。今でも忘れられないけれど、なんかの読書感想文をクラスのみんなの前で発表した時、声の震えが止まらなくて「感極まって泣いちゃった?!」とざわつく始末だった。大学生になってからもそ

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あえて、深刻に考えすぎない

あえて、深刻に考えすぎない

卒業・入学、仲良しの友だちの引越し、身内の突然の病、突然の異動・・・昔から今日の今日まで、そしてきっとこれからも、生きている限り変化は避けられない。

外部環境の変化に応じて、自分も無自覚のうちに変わっていく。

社会に出てからはなおのこと、変わり続けられないものは淘汰されるのじゃぁあ!という理論の下、世界は弱肉強食であることを痛感させられるシーンも少なくない。

葉っぱの色は変わるし花はいつか枯

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迷ったときの、愛せるかどうか。

迷ったときの、愛せるかどうか。

昨日は藤沢に住む男友達とその彼女(私の数年来の親友)と飲んで、そのまま友人宅にお泊りした。彼氏のとなりにいる彼女は、終始とっても笑顔で嬉しかった。

彼女に限らず、親友+その彼氏+私、というおじゃま虫構図がたびたび成立するのだけれど、そういうときのカップルふたりのおもてなし精神には感服する。

今朝はのんびり起きて、グリーンブックを観に行くというふたりと別れ、私は気を取り直して物件探し2日目。

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運命の物件を求めて 〜神奈川編〜

運命の物件を求めて 〜神奈川編〜

物件探しは骨が折れる大仕事だ。

来る日も来る日も賃貸物件サイト「スー●」やら「ホー●ズ」やらをチェックしては比較して、こんなにも物件がありふれてるのにどうして理想の子に出会えないのよーーとくたびれてしまう。

昨日もちょこっとほのめかしてしまったが、東京は大好きだけれど休みの日くらいは都会の喧騒から離れて生活したいという欲望がわりに強まっていた。

自転車を10分ほど飛ばせば海辺に着いて(ここ

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キレイなものは遠くにあるからキレイなのか

キレイなものは遠くにあるからキレイなのか

東京湾にまたがるレインボーブリッジ、隙間なくそびえ立つビル群、てっぺんで点滅するあかい航空障害灯(高層ビル上の赤いライト、こんなふうに言うらしい)、ネオンのように光り流れるヘッドライト・テールライト。 

幼稚園に通いながら毎週楽しみに観ていた月9において、いいムードなふたりは大抵レインボーブリッジを眺めてた。
(当時、SMAPファンの母には「外では月9にハマってるなんて言っちゃダメよ」と躾られて

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ハーゲンダッツ様へのお願い

ハーゲンダッツ様へのお願い

「女の子の日」の前はどうしたって食欲が暴走している。

自宅にて、どうしてもハーゲンダッツの新作が食べたかった。

どしゃ降り雨の中、パジャマの上にウールコートを羽織って(これだから冬はラクチン)、最寄のコンビニはセブンイレブンかなファミマかなとおそらく50mほどの違いであるのに真剣に考えて、大通りを一本またいだセブンイレブンだと判断、家を飛び出した。

友達に勧められてからずっと頭の片隅にあった

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