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プロレスから学ぶ物語論〜現実と虚構の狭間の物語 閑話01b共通幻想理論〜プロレスラーはなぜ「世界最強」を求められたのか。後編
「世界最強」論
今でこそ競技が違う選手に「世界最強」を求めるのはナンセンスだと認知されているが、格闘家やプロレスラーの強さを「フィジカル」でしか推し測れなかった時代の産物である。
要するに「肉体がより大きい奴が強いよね」というイメージに基づく理屈なわけだ。
この論拠では技術論が一切無視されているので、同じ競技の階級制とは似て非なる考え方なのだが、一般的なイメージでも「体重差」は強さの指
プロレスから学ぶ物語論〜現実と虚構の狭間の物語 11ヒールには思わせぶりな「ニックネーム」がよく似合う〜悪役の形容詞。
プロレスラーのニックネーム
プロレスラーには様々なニックネーム(形容詞)がある。
新日本プロレスなら「燃える闘魂」に始まり、「革命戦士」「人間山脈」「皇帝戦士」「破壊王」「野人」「猛牛」「レインメーカー」「制御不能のカリスマ」のような個人を形容するものから、複数のレスラーを世代やチームでくくる「闘魂三銃士」「トンガリコーンズ」「第三世代」などがあったりする。今は複数のレスラーを形容する単
プロレスから学ぶ物語論〜現実と虚構の狭間の物語 10タッグマッチには「長編の物語」が全て詰まっている〜物語は二人いれば完結する?
プロレスの「最初の物語」
プロレスにおける「物語の始まり」とは、どこにあたるのか?
入門テストから練習生時代、デビューから海外武者修行と、シングルプレイヤーとしてのイベントは多々あるが、入門テスト合格後の展開としてはほとんど個人差はない。どちらかというと「物語が始まる前」のチュートリアル的な印象に近い。むしろ入門テストに不合格した人間が他団体や海外に渡航し、紆余曲折を経てデビューにこぎつ
プロレスから学ぶ物語論〜現実と虚構の狭間の物語 08ユニット編成が変わる時「ストーリー」は動き出す〜物語のバリエーションはそれほど多くない。
プロレスの「ストーリー展開」
プロレスにおいて試合外で展開される「ストーリー」は大まかに分けて二種類ある。
一つはレスラー個人に属するもので「海外武者修行」や「凱旋帰国」、「キャラクター・ファイトスタイルの変更」がそれに当たる。これは#05、06である程度、説明したので今回は省く。
もう一つは所属する軍団(ユニット)の内外におけるいざこざや対立である。これにベビーフェイスとヒール、どち
プロレスから学ぶ物語論〜現実と虚構の狭間の物語 06理想の「ヒロイン」は強いチャンピオン?〜ヒロインは追いかけられるものである。
プロレスと「恋愛模様」
プロレスにおいて物語論的な「キャラクター」としての役割があるとすれば、それは「チャンピオンになる前」が「主人公」で、「チャンピオンになった後」が「ヒロイン」となる。
この場合の「ヒロイン」とは当然、男か女かという些末な問題ではない。プロレスにおいてチャンピオンに挑戦するということ、負け続けているレスラーに向かっていく姿勢は「フィクションの恋愛」における「振り向いて
プロレスから学ぶ物語論〜現実と虚構の狭間の物語 04プロレス実況は「フィクションの語り方」に似ている〜レスラーの情報をいかに無駄なく説明できるか。
「プロレス」を説明する難しさ
プロレスの実況は「プロレス」を説明するための一つの表現方法である。
小説には小説の、まんがにはまんがの、映画には映画の観せ方や伝え方、表現方法があるように、プロレスを誰かに魅力的なものとして説明するために「プロレス実況」ほど適したものはない。そして数あるスポーツ実況の中でも、プロレスの実況は「フィクションの表現方法」と親和性が高い。
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