比呂暇太郎(13) 世界初!「広島缶詰王国」で誕生した、むき身のみかんの缶詰!
最近「缶切り」使うたことある?
もうすぐ 梅雨じゃのう
わしゃあ エアコンの「除湿」を
よう使うけえ
そろそろ フィルターの掃除を
せにゃあ いけんのう……
元気しとる?
わしじゃーや
比呂暇太郎じゃあや!
こないだの
ナポリタン 作ろうと思うてからの
近所のスーパーに トマトの缶詰
買いに行ったんじゃけどの
ホールやら ペーストやら
国産やら イタリア産やら
ようけあって 迷うてしもうたィや
ほいじゃけど
最近の 缶詰は
引っ張ったら パッカーンって 開く
「イージーオープン」タイプのやつが多いのう
便利になったもんじゃあ!
ほいじゃけど
孫には 「缶切り」の使い方を
教えといてあげたいのう
そう言やあ スイス・アーミーナイフにも
「缶切り」がついとったのう
ほれ 下の写真の 一番上についとるやつィね
ほいでから
コンビーフの缶詰は「巻き取り式」の鍵でから
クルクル回すやつじゃったのう
ありゃあ きっと 孫が 面白がるじゃろうのう
広島の「缶詰業」は軍需向けに始まったんじゃ!
戦前の広島県は 日本一の「缶詰王国」じゃった
って知っとった?
前にも言うたが 広島の宇品港は
日清・日露戦争に出征する兵士の 出発地じゃったし
呉には 海軍があったけえのう
じゃけえ 陸軍やら 海軍やらに
「缶詰」を納品する会社が
広島には ようけ あったのィね
ほいじゃあ
「缶詰王国 広島」を築いた
代表的な 広島出身の方々を
たちまち 4人だけ 紹介してみようかの!
一人目は 脇 隆景(わき たかかげ)さんじゃ
脇さんは 明治10年代のはじめに
旧安芸郡海田市町(現海田町)で
広島で初めての「缶詰工場」を創立しちゃったんよ
明治16年(1883) 東京上野で開かれた 水産博覧会に
缶詰を出品して 表彰されちゃってから
明治18年(1885)には 広島の陸軍第五師団に
「牛肉の缶詰」の納入を 始めちゃったんじゃ
中国山地では ようけ牛を 飼っとったけえの
二人目は 逸見 勝誠(へんみ かつまさ)さんじゃ
逸見さんは 明治13年(1880)に
西条(現東広島市)で 缶詰業を始めちゃってから
その後 東京で缶詰やらパンやらの販売事業で
会社を大きゅうしちゃったんよ
ほいでから
明治21年(1881)に「逸見山陽堂」を創立しちゃったんよ
これが 現在の「株式会社サンヨー堂」さんになるわけィの!
逸見勝誠さんの 息子さんで
斧吉(おのきち)さん 言う方がの
広島県内で ようけ穫れよった
桃 ビワ 洋ナシ などの缶詰を
次々と発売しちゃっての
昭和11年(1936)に「フルーツみつ豆」の缶詰を
考案しちゃってから
えらい ヒット商品になったのィね
みかんの缶詰で世界に飛躍した広島の缶詰業
三人目は 加島 正人(かしま まさと)さんじゃの
加島さんは 豊田郡大長町(現呉市)の出身でからの
ほれ 「大長みかん」って あるやろが あすこィや
昭和2年(1927)に 世界で初めて
「剥き身」のみかんの缶詰の 製品化に
成功しちゃったんよ
それまでの「みかんの缶詰」言うたら
外皮がついたままのミカンを 丸ごと缶詰にしとったんと!
加島さんは
みかんだけに「ミカンセイ」じゃった
「アルカリ剝皮法」の技術を「カンセイ」させて
薬品の力で「剝き身」のミカンを つくったのィね!
外皮を剝いてから
バラした みかんの果房をの
ザルに入れて 「薬品槽」の中に
ジャブジャブ 浸けながら
左右に揺らすとの
お互いの摩擦で
薄皮が つるっ! と剝けるんよ!
この「薬品で薄皮を溶かす」言うのんが
えらい 画期的な 大発明じゃったんよ!
四人目は 廿日出 要之進(はつかで ようのしん)さんじゃ
廿日出さん 言うひとは 加島さんと同郷でからの
このふたりが タッグを組んで
この世界初の「剥き身のみかんの缶詰」を
売り出すことに したんとィね
廿日出さんが「みかんの缶詰」のサンプルを
イギリスに 持ち込んでみたらの
案の定 バカ受け!!でからの
ほいじゃけえ 日本の「みかんの缶詰」は
世界中に 輸出されることになったんよ!
こがいしてから
多くの人々の 努力のお陰で
明治のおわりころから 昭和10年代ころまでは
広島県の缶詰生産量は
なんと「日本一」になっとったんじゃ!
昭和13年ころには 広島県内には
缶詰工場が 81か所もあったんと!
じゃけえ 広島は「缶詰王国」じゃったのィね
最初は 陸軍や海軍に納めとった「缶詰業」が
国内の民需だけ じゃのうて
とうとう 海外にも進出して
戦前の日本の「輸出産業」にまで
成長しとったんじゃの!!
今は 世界で「日本食ブーム」じゃけえ
これからも
日本の美味しい 食べ物を
どんどん 輸出したら ええと思うがの!
尚、表紙のイラストは どんむ|note さん 作成のものを
お借りしました。誠に有難うございました。
参考資料1:ひろしま郷土資料館だよりNo86「広島缶詰物語」
参考資料2:公益財団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会HPより「みかん缶詰製造工程」
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